航空時計で最も重要なスペックは、まず第一に、真上から降り注ぐ太陽光下でも瞬時の視認性に優れていること。さらには耐久性や耐磁性、計算尺ほか計時精度etc.。20世紀初頭から果敢な挑戦を続けてきた4ブランドとその傑作を紹介します。
①IWC
IWC は1936年に製作した最初の航空時計に続き、1940年には軍用基準に適合した「ビッグ・パイロット・ウォッチ52T.S.C」を製作したブランド。当時としては先進的な耐磁性を両機はすでに備えており、早くから耐磁性の重要性を知っていたといえます。現在もその歴史は継承され、耐磁性に優れるパイロットウオッチを多数輩出しています。
IWC
ビッグ・パイロット・ヘリテージ・ウォッチ 48
Ref.IW510301
162万円
1940年に登場した名機の復刻版。旧タイプの文字盤など、スタイリングを忠実に再現しながら48㎜ケースにチタンを採用して軽量化を達成。軟鉄製インナーケースで耐磁性を確保しながら、一部シースルーバックに仕上げました。8日巻き。世界限定1000本。手巻き。
オリジナルと同じ55㎜径仕様のビッグ・パイロット ・ウォッチ 55/181万4400 円。直営ブティックのみで世界100本限定発売。
ビッグ・パイロット・ウォッチの耐磁構造。ムーブメントを軟鉄製インナーケースで覆い磁気をブロックします。限定モデルもほぼ同じ構造です。
②ゼニス
エル・プリメロ以前、軍用や航空時計のブランドとして名を馳せていたゼニス。1909年には〝航空術の生みの親〞ルイ・ブレリオが英仏海峡横断飛行に成功し、その腕には視認性に優れたゼニスの時計がありました。これら歴史的な系譜を受け継ぐのがパイロットタイプ20シリーズで、同社のなかでも絶大な人気を集めています。
ゼニス
パイロットタイプ20〝GMT〞
Ref.03.2430.693/21.C723
87万4800円
文字盤に「PILOT」の文字を入れられるのは、商標を持つゼニスだけ。その広い空間に古典書体のインデックスや大型の時分針、存在感あるGMT針などを配し、高次元の視認性を得ています。48㎜径。
ケースバックには航空黎明期のレシプロ機が描かれています。
グローブをしたままでも操作しやすい大型のオニオンリューズを採用。
瞬時の視認性を追求したゼニスと優れた耐時性を誇るIWC。どちらも航空黎明期を支えたブランドなだけに、その傑作パイロットウオッチを腕にする意義は大きいです。時代を超えて愛される不変のスタイルなので、一生モノとしても魅力的です。