セラミックで広がるコンテンポラリー ダイバーズウオッチの世界――ブランパン「フィフティ ファゾムス バチスカーフ」最新作

<取材・撮影協力>
ブランパン(BLANCPAIN)

セラミックは、高級時計の素材として欠かせない存在となりつつある。一方、この可能性に満ちた素材を使いこなせているブランドは数少ないのが現状だ。その中で、現存する時計ブランドとして世界最古級の歴史を持つ【ブランパン(BLANCPAIN)】が、待望のセラミックブレスレットを完成させた。これによって「フィフティ ファゾムス バチスカーフ」に新しく複数のフルセラミックウオッチが加わることとなった。本稿では、ブランパンのセラミックの革新性と共に、稀代のダイバーズウオッチ“バチスカーフ”にフォーカスを当てる。

新型セラミックブレスで素材開発でも存在感を発揮

 

すでにご存知の通り、ブランパンのフィフティ ファゾムスは1953年にダイバーズウオッチを定義した名機である。深海の水圧に耐える優れた防水性能をはじめ、リューズ解放に伴う様々なリスクを低減する高精度の自動巻きムーブメントの搭載、ダイビング機材などから発せられる磁気から時計を守る耐磁性能、そして潜水経過時間を報せる逆回転防止ベゼルと、現代に通じる各種スペックはすべてフィフティ ファゾムスが築いたものだ。また、こうした本格的なスペックは各国の軍関係者から注目を集め、腕時計でありながらダイビングショップでも販売されていたという。そして1956年、普段使いできるダイバーズウオッチとして新規開発、発表されたのがバチスカーフだった。


↑かつてのフィフティ ファゾムス バチスカーフ。男性向けの普段使い用(右側)、そして女性用小型モデル(左側)

 

この名前は、スイスの物理学者オーギュスト・ピカールが発明した小型の深海探査艇に由来。サイズもオリジナルの直径42mmに対して、37mmで設計されていた。フィフティ ファゾムス誕生60周年の節目、2013年より再展開されている現行モデルは主に43.6mmと38mm2サイズから、機能も素材も豊富な選択肢が揃う。いずれもリキッドメタルで記したスケールを持つセラミックインサート(トップリング)を装備。もちろんフィフティ ファゾムスと同じく、フライバッククロノグラフは水中でも操作できる。バチスカーフであっても、ダイバーズウオッチとしての性能に抜かりはないのだ。


↑ブランパン「フィフティ ファゾムス バチスカーフ コンプリート カレンダー ムーンフェイズ」Ref.5054-0153-01S 386万1000円

 

そして、いよいよこの度加わることになったセラミックブレスレットモデルである。一般的な他社製品が十分な隙間を設けて割れや欠けなどのリスクを回避するのに対し、ブランパンのそれは、パズルのピースの凹凸を合わせたような独自形状を果敢に踏襲。連結ピンには最高品質のグレード23チタンを採用した。硬度の異なる素材の組み合わせで摩耗を防いでいるのである。ケースについては従来通り一切メタルを使わないセラミック製。ブレスコマにも言えることだが、高硬度のセラミックを得るために必要な高温焼成の過程で起こる収縮まで考慮したうえで300m防水ダイバーズウオッチのスペックを保つのは、いまさらながら驚異的。これらの新作により改めてブランパンの技術力の高さを思い知った。


↑ブランパン「フィフティ ファゾムス バチスカーフ コンプリート カレンダー ムーンフェイズ」Ref.5054-0140-01S 386万1000円

 

高硬度かつしなやかなセラミックブレスレット!


↑セラミックのブレスコマがほぼ隙間なく連なる様子は、その製造の難しさを知る人ほど驚くはず。コマのサイズに応じて位置が決まっているため、組み立てはすべて手作業で行う。バックルと同じグレード23チタンのピンや、コマの見えない部分は複雑に成型された特許取得構造となっている。

ムーンフェイズの月の表情にも要注目


↑ブランパンのムーンフェイズといえば、月に描かれた表情が特徴。精悍なフルブラックセラミックの中でも、さりげなく存在を主張する。ブレスのヘアライン仕上げと呼応する文字盤のサンレイ仕上げの調和も見事。

NAC処理を施した18Kゴールドローター装備


↑多彩な表示を組み込んだ定番Cal.6654.Pは、プラチナ合金コーティング(NAC)加工を施した18Kゴールドローターを装備。非磁性素材のシリコンひげゼンマイは毎時2万8800振動し、パワーリザーブは72時間を確保。

 

ブラックセラミックに映えるグリーンのカレンダーモデル


↑ブランパン「フィフティ ファゾムス バチスカーフ コンプリート カレンダー ムーンフェイズ」Ref.5054-0153-01S 386万1000円

小窓のデイ・マンス表示、ポインターデイト、ムーンフェイズ表示を備えたコンプリートカレンダーのダイアルにサンレイグリーンカラーを採用。43.6mm径ケースとブレスレットはブラックセラミック製。シースルーバックからは自社製の自動巻きCal.6654.Pの動きが確認できる。逆回転防止ベゼルのトップにグリーンセラミックをセットし、全体の統一感をもたせた点も秀逸だ。セラミック製ブレスレットのほか、セイルキャンバスストラップかNATOストラップの選択できる。

スペック:自動巻き(Cal.6654.P)、毎時2万8800振動、72時間パワーリザーブ。セラミックケース(シースルーバック)&ブレスレット。直径43.6mm、厚さ14.1mm。30気圧防水。

 

ブルーとブラックの共演で魅せるコンプリダイバーズの新境地


↑ブランパン「フィフティ ファゾムス バチスカーフ コンプリート カレンダー ムーンフェイズ」Ref.5054-0140-01S 386万1000円

コンプリートカレンダーのブルーサンレイモデルにもフルセラミックが登場。リキッドメタルでダイビングスケールが記された逆回転防止ベゼルはセラミック製。この素材は耐傷性が高く素材表面の美しさを長年にわたってキープするだけでなく、非アレルギー、軽量、腐食しにくいなど、非金属ならではの数多くのメリットを有する。ブレスの登場でさらにその恩恵が受けられるようになった。

スペック:自動巻き(Cal.6654.P)、毎時2万8800振動、72時間パワーリザーブ。セラミックケース(シースルーバック)&ブレスレット。直径43.6mm、厚さ14.1mm。30気圧防水。

 

最高峰の素材と技術で理想の時計を作り続ける

1953年の誕生当時からすでに本格仕様における完成形であったフィフティ ファゾムス。その性能をより多くの人が楽しめるように考案されたバチスカーフは現在、最新技術によりさらなる進化を遂げていることが、今回の新作でお分かりいただけただろう。驚くべきは、こうした素材の製造までブランパンが独自に作り上げている点。スウォッチ グループに属していながら他社に依存せずインディペンデントで時計を開発し続けているのだ。新型セラミックブレスレットが量産に不向きであることは明らか。だが、たとえ時間がかかっても最高峰の素材と技術を用いて妥協なく理想を追い求める。その姿勢こそブランパンの時計製造の美学なのだ。


↑ブランパン「フィフティ ファゾムス バチスカーフ コンプリート カレンダー ムーンフェイズ」Ref.5054-0153-B52A 272万8000円

フィフティ ファゾムスの定番仕様であるセイルキャンバスストラップを、セラミックケースのグリーンモデルにセット。ともに頑丈な素材を組み合わせることで、より実用的なダイバーズウオッチに仕立て上げている。

スペック:自動巻き(Cal.6654.P)、毎時2万8800振動、72時間パワーリザーブ。セラミックケース(シースルーバック)、セイルキャンバスストラップ。直径43.6mm、厚さ14.1mm。30気圧防水。

 

問い合わせ先:ブランパン ブティック 銀座 TEL.03-6254-7233 https://www.blancpain.com/ja

※価格は記事公開時点の税込価格です。

Text/水藤大輔(WATCHNAVI) Photo/戸田嘉昭(Piledriver)

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