最新限定【SLGW005】グランドセイコーで初めて10振動手巻きムーブメントを実現した「45GS」が最新技術で蘇る〈150年以上続く老舗時計店による解説〉

<取材・撮影協力>
やぶ内時計舗

国内だけでなく、今や世界で知られる高級時計となったのが日本謹製の【グランドセイコー(GRAND SEIKO)】だ。優れた技術を持つ職人によって組み立てられる最高峰の国産時計について、明治5年(1872年)創業の大阪・心斎橋の老舗「やぶ内時計舗」の5代目店主、藪内正己さんが最新作「SLGW005」を代表例にその魅力を語ってくれた。

 

真のマニュファクチュール、グランドセイコーの歴史をひも解くカギ「45GS」と10振動手巻きキャリバー」

(藪内さん)「ここ心斎橋は外国からの旅行者も多いエリアで、グランドセイコーを探しておられる方も多いです。日本を代表する高級時計として世界的に認められていることはとても誇らしいことですね。文字盤の表現力でも脚光を浴びているブランドですが、時計らしいシンプルで堅実なデザインも根付い人気の理由です」


↑やぶ内時計舗の店主、藪内正己さん。国内外の高級時計の歴史を熟知し、優しい語り口で解説してくれる。

 

読み取りやすさのために考え抜かれた控えめなフェイス。機能美と装飾美を兼ね備えるグランドセイコーは、まさに侘び寂びの文化を具現化したような存在といえる。

「この11月に発売開始となるSLGW005もまた、発売当時のグランドセイコーらしい意匠を再現した注目作です。ドーフィン針とアプライドインデックスはいずれも多面カットを用いた立体的な形で、鏡面仕上げの部分が程よく光を反射して視認性を高めています。加えて、“45GS”という歴代の中でもエポックメーキングなモデルをデザイン復刻しており、ダイヤル上にはSEIKO(12時位置)、当時の書体で再現したGSロゴやHI-BEAT、振動数を意味する36000、そしてオリジナルの開発地である第二精工舎のマーク(いずれも6時位置)があしらわれています。日付表示が省かれていることも、オリジナルデザインへの敬意の表れといえるでしょう」


↑グランドセイコーの最新作「グランドセイコー ヘリテージコレクション 45GS復刻デザイン 限定モデル SLGW005」。

 

45GSが世に登場したのは1968年。前年には、日本の美意識を投影したグランドセイコースタイルを確立した44GSがリリースされており、45GSはこの流れを汲んでいる。SLGW005はこれに倣い、歪みのない鏡面を連ねたフラットな表面とケースサイドのカーブが特徴的なエッジの利いたケースを採用。光と陰が生み出す独自の美と実用性を、絶妙なバランスの上に成り立たせている。


↑1968年に発表された45GS「キャリバー4520」モデル。

 

「そして、45GSの時にブランドで初めて達成した手巻きのハイビートキャリバーも再現されています。今回搭載しているキャリバー9SA4は、オリジナルと同じく精度の安定化をもたらす毎秒10振動(毎時3万6000振動)の仕様ですが、ツインバレル(動力ゼンマイを格納する香箱が2個)を搭載していることもあって80時間パワーリザーブを実現しています。もちろんグランドセイコー規格(平均日差−3~+5秒以内などの自社精度基準)に準拠しており、優れた精度を誇ります。これらは時代のライフスタイルから生み出されたモダンなスペックといえます」


↑実用性に沿って進化させたグランドセイコースタイルが光る。

 

半世紀以上を経て復活したグランドセイコー用の手巻きメカニカルハイビートとなるキャリバー9SA4は、クロノメーターよりも厳格なグランドセイコー規格の精度条件や、独自技術のデュアルインパルス脱進機によって効率よく動力を調速機構に伝えるメカニズムの装備など、まさにユーザーに寄り添う機能が目にとまる。そして現在の重要な要素となっている“美観”も、抜かりないと藪内さんは語る。


↑Watches and Wonders Geneva 2024で発表され、注目を集める「キャリバー9SA4」を搭載。グランドセイコーの手巻き式ハイビートムーブメントの登場は久しぶり。

 

「キャリバー9SA4は、シースルーバックから見えるクオリティも楽しんでいただけます。製造地、グランドセイコースタジオ 雫石の近くを流れる雫石川の流れを表現した繊細なストライプ模様の仕上げが施されており、ダブルブリッジに支えられた超高速振幅するテンプをご堪能いただけます。手巻きですから、ゼンマイの巻き上げ具合が把握できるパワーリザーブインジケーター(ブルースチール針)の存在も便利です。リューズを回してその巻き上げを行う際には、バレルに取り付けられた角穴車とコハゼが嚙み合って作動しますが、これがまるで鳥が啄む姿の様で見ていて飽きることがありません。心地よい感触と音も魅力です。ちなみにこの鳥は、盛岡市のシンボルとして市が制定した鳥で、製造地の雫石でも見ることができるセキレイをイメージしているとのこと。こうしたストーリーを持たせたこだわりのディテールも、SLGW005の見どころです」


↑クロコダイルレザー製のブラックストラップとの組み合わせがクラシカルな雰囲気。

 

正確さ、見やすさ、美しさといった時計の本質を突くグランドセイコーの歴史を語るうえで、外すことのできない45GS。これを最新の技術で再現したSLGW005もまた、ブランドの歴史をさらに輝かせる逸品である。長年に渡りグランドセイコーを正規販売してきた「やぶ内時計舗」ならば、その魅力を存分に解き明かしてくれる。

「普段はアップルウオッチなどのスマートウオッチを利用されている時計好きの方も増えています。そのような方がゆったりとした時が流れる休日を過ごすための時計としても、手巻きのSLGW005をご提案したいですね。ローターがないぶん自動巻きよりもスリムで装着しやすく、ハイビート固有のリズム音に浸ることができ、シースルーバックから鑑賞できるゼンマイを巻く際のユニークな作動や、時刻表示に特化した45GS譲りのピュアなデザインにより、グランドセイコーにおけるネオヴィンテージモデルと表現できる洗練された印象です。ぜひ店頭で、外装の美しさや手巻きの感触を味わっていただきたいですね」

 


「グランドセイコー ヘリテージコレクション 45GS復刻デザイン 限定モデル SLGW005」 134万2000円/手巻き(自社製Cal.9SA4)、毎時3万6000振動、約80時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース、クロコダイルストラップ、ボックス型サファイアガラス(内面無反射コーティング)。直径38.8mm、厚さ10.4mm。3気圧防水。世界限定1200本(うち国内425本)。2024年11月9日発売開始。

 

やぶ内時計舗「グランドセイコー フェア開催

「やぶ内時計舗」では、2024年12月末まで「グランドセイコー フェア」を開催。期間中、グランドセイコーの腕時計の購入者にノベルティをプレゼント。最大60回までの無金利ローンも用意。

 

【やぶ内時計舗】大阪、心斎橋の時計・宝石専門店


住所:大阪府大阪市中央区博労町4-3-12
TEL:06-6253-6110
営業時間:11:00~20:00
定休日:水曜
https://www.yabuuchi.co.jp/

 

Text/山口祐也(WATCHNAVI編集部) Photo/鈴木謙介

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