スリムでエレガントな最新グランドセイコー「SBGW297」の魅力を老舗時計店の店主が解き明かす

日本を代表する高級時計として知られる【グランドセイコー(GRAND SEIKO)】は、文字盤の仕上げやケースのフォルム、搭載ムーブメントなどで違いがあり、バラエティ豊かなラインナップを魅力のひとつとしている。海外でも急速にシェアを拡大しているこの国産ブランドを、全国でも限られたグランドセイコーマスターショップとして取り扱う大阪・心斎橋「やぶ内時計舗」の藪内正己社長は、どう評価しているのだろう。注目のニューモデルとともに解説してくれた。

 

グランドセイコーはブランド独立化以降、新たなユーザーの獲得に成功している


↑やぶ内時計舗の5代目店主、藪内正己さん。同店は創業は明治5年(1872年)という国内きっての老舗時計店

 

(藪内さん)「当店で扱っているブランドの中でも、もっとも問い合わせ件数が多いブランドの一社がグランドセイコーです。2017年にセイコーブランドから独立したことで、よりハイクラスなブランドへと発展したことをきっかけに、国内だけでなく海外の方からお問い合わせが来るほどの人気ぶりです。スイスブランドに勝る技術も伝統もあり、ネームバリューも伸びています。国産の雄が再び脚光を浴びるようになったことは、業界としても喜ばしいことです」


↑やぶ内時計舗のグランドセイコーコーナー。新作から定番モデルまで、厳選された売れ筋コレクションが並ぶ

 

―― ひと昔前のグランドセイコーというと、ビジネスウオッチとして認識しているヒトが多かったように思えます。

「もちろんスーツに似合う腕時計の代表的ブランドであることは変わりないですが、現在ではプライベートな時間に着用を楽しむ腕時計としても有力な候補となっている印象です。依然としてシンプルなデザインの3針モデルが人気ですが、他のブランドとは異なる個性をさり気なく備えているのがポイントです。あらゆるファッションに合わせていただきながら、自分らしさみたいなものをしっかりアピールできる。グランドセイコーはそのようなポジションの高級時計として年齢を問わず支持を集めています」


↑グランドセイコー ヘリテージコレクションの最新作となる「SBGW297」&「SBGW299」。藪内さんが注目するニューモデルだ

 

―― トータルでのバランスの良さが魅力。グランドセイコーのイメージチェンジは成功しているわけですね。

「トレンドを先取りするグランドセイコーの新たな一面を見せてくれる新作として期待しているのが、放射模様の文字盤を備えるSBGW297です。ブランドにおけるデザインのルーツとされている『44GS』(1967年登場)を参考に、使いやすさや現代的な要素を加味して開発された『44GS現代デザイン』を採用している最新作となります。また、腕時計の本質を突いたヘリテージコレクションの最小サイズである点も、流行を捉えた良い選択といえるでしょう」


↑屏風や扇子をモチーフにしており、日本の美をエッセンスとして取り入れたデザイン。小振りなケースを採用しており、スーツやジャケットの袖口にスマートに収まりやすい

 

時代のニーズを巧みに捉えたプロダクトにハイクオリティな自社キャリバーを融合

―― 小さめの機械式時計が好まれる傾向にある昨今、シェアウオッチとしても使える36.5mm径のグランドセイコーは人気が集まりそうです。

「そして、手巻きキャリバーを搭載していることもSBGW297の特徴のひとつです。ユーザーご自身が生命を吹き込むようにリューズを回してゼンマイを巻き上げ、その駆動と鼓動を楽しむ。ひと手間かかる代わりに、いっそう親しく感じていただけることでしょう。機械式時計本来の楽しみを、ぜひこのモデルを通して体感いただきたいですね。加えて、手巻きのメリットとしてローターを備えていないぶんケースをスリム化でき、ブレスレットを含めて高いフィット感が得られるモデルとなっています。きっとどなたでもご満足いただけることでしょう」


「SBGW297」が搭載するキャリバー9S64は、グランドセイコーのマニュファクチュールムーブメント。グランドセイコースタジオ 雫石にて組み立てられている

 

―― SBGW297が搭載しているキャリバー9S64も、静的精度において平均日差プラス5秒~マイナス3秒という「グランドセイコー規格」をパスしており、優れた精度を実現しています。

「その精度面の安心感とともに、従来に比べてパワーリザーブがおよそ1日ぶん長くなって約72時間持続となったこともメリットです。手巻きですから、一度に巻き上げられる量が多いことは使いやすさに繋がります。コンパクトなのにロングパワーリザーブという実用性の高さが、グランドセイコーの哲学を表しています」


↑藪内さん曰はく、グランドセイコーの強みは卓越したセイコースタイルと自社キャリバーの存在にあると語る

 

―― 一方で文字盤に目を向けると、直線的な放射型打ち模様が圧倒的な存在感です。これを共通として、陰影が強く出るホワイト(SBGW297)と精悍なイメージのダークブルー(SBGW299)の2色を用意しています。デザインやサイズからして、ペアウオッチとしても提案できそうですね。

「最大の特徴である文字盤は、『44GS』で確立されたデザイン文法『セイコースタイル』にヒントを得て、平面の連なりから作られている放射パターンとなっています。とはいえこの装飾は時刻の読み取りに差し障るものではなく、多面カットを施した植字インデックスと長く美しいドルフィン針の構成によって、十分な視認性が保たれています。あえてカレンダー表示を省いた点も、このエレガントなスタイルと読み取りやすさを追求してのことでしょう。機械式時計が初めての方から、すでに複数本を所有されていらっしゃる方まで、気軽にお使いいただけるグランドセイコーとなっています。まずはご試着いただき、そのサイズ感や文字盤の作りの良さを実感していただきたい逸品です」

 


「グランドセイコー ヘリテージコレクション 44GS 手巻メカニカル SBGW297」 69万3000円/手巻き(自社製Cal.9S64)、毎時2万8800振動、約72時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース&ブレスレット、ボックス型サファイアガラス(内面無反射コーティング)。直径36.5mm、厚さ11.6mm。10気圧防水。

 


「グランドセイコー ヘリテージコレクション 44GS 手巻メカニカル SBGW299」 69万3000円/手巻き(自社製Cal.9S64)、毎時2万8800振動、約72時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース&ブレスレット、ボックス型サファイアガラス(内面無反射コーティング)。直径36.5mm、厚さ11.6mm。10気圧防水。

 

やぶ内時計舗 フェア情報

「やぶ内時計舗」では、2023年12月末まで「グランドセイコー フェア」を開催。期間中にグランドセイコーを購入すると、ノベルティが贈呈される。さらに60回無金利ローンのサービスも実施。

 

取材協力【やぶ内時計舗】


住所:大阪府大阪市中央区博労町4-3-12
TEL:06-6253-6110
営業時間:11:00~20:00
定休日:水曜
https://www.yabuuchi.co.jp/

 

Text/山口祐也(WATCHNAVI編集部) Photo/鈴木謙介

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