商都・大阪で150年以上も続く「やぶ内時計舗」の店主が注目する本格派のフランスウオッチ&ドイツウオッチ

創業1872年の大阪の老舗時計店「やぶ内時計舗」の店主、藪内正己さんに本格時計について話をうかがい、その魅力を掘り下げて解説する連載第2話。今回は、知る人ぞ知る実力派のフレンチブランドと、ラインナップの幅でドイツ随一を誇るジャーマンブランドの逸品を紹介する。

フランス無形文化財企業として認められている「ペキニエ」


やぶ内時計舗の5代目店主、藪内正己さん

 

(藪内さん)「時計の製造国といえばスイスと日本のイメージが強いですが、この2国以外にも優れた時計を生み出している国があります。それがフランスとドイツで、技術力においても引けを取らない存在です」

―― 自動車や航空機、カメラにおいてもフランスやドイツは歴史的に地位を築いてきました。時計においてもクオリティが高いことに納得できます。注目すべきフレンチブランドとは?

「知る人ぞ知る、ペキニエです。スイスにおける一大時計産業地として知られるヌーシャテル州やジュラ州と接するフランス側のモルトーを本拠地とするブランドで、創業は1973年です。かつてこのモルトー周辺でフランス時計が栄えたという背景から、フランス無形文化財企業として認定されており、スイス勢に対抗して“フレンチ・マニュファクチュール”を掲げています。自社でムーブメントを発明するなど、技術力に定評があります」


ペキニエは伝統的な時計製造を引き継ぐ、フランス唯一のマニュファクチュールブランドでもある

 

―― どのような点が優れていますか?

「ユーザー第一主義の設計に感心しますね。現在でこそ3日間以上続くロングパワーリザーブは珍しくなくなりましたが、この機能をいち早く導入したのがペキニエによる完全自社開発のカリブル ロワイヤルでした。これを搭載するリュー ロワイヤル キャトル・フォンクションは、スモールセコンド、ムーンフェイズ、パワーリザーブインジケーター、そして大型のデイデイトの表示がバランス良く配置されており、各項目が読み取りやすい機能的な一本としてまとめられています」


「リュー ロワイヤル キャトル・フォンクション」は、ペキニエ自慢のカリブル ロワイヤルを搭載している

 

―― 各表示の大きさを保ちつつ美しいデザインとするあたり、フランス発ならではのセンスを感じさせます。

「さらに動力の伝達を最適化するなどして、香箱1個で安定して強力なパワーリザーブを確保させているほか、ジャンピングデイデイトながら手動調整に禁止の時間帯を設けていないなど、画期的なメカニズムを備えています。同価格帯にこれほどの実用機能を持つスイスウオッチはなく、ペキニエのオリジナリティと実力をご堪能いただけることでしょう」


ペキニエ「リュー ロワイヤル キャトル・フォンクション」 Ref.9010437 147万4000円/自動巻き(自社製Calibre ROYAL(EPM01))、毎時2万1600振動、88時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース(シースルーバック)、アリゲーターストラップ。直径42mm、厚さ12.3mm。100m防水。

 

ドイツらしい生真面目さがデザインに表れている「ユンハンス」

―― もう一方、ドイツならこの一社というブランドはどちらになりますか?

「販売数もお問い合わせの数も多い、ユンハンスに注目いただきたいです。バウハウス(第一次世界大戦後、ドイツで花開いた建築・美術・工芸・写真・デザインに関する思想)の系譜を継ぐコレクションを展開しており、根強い人気を誇っています」

―― 購入者の決め手となっているものとは?

「何より、無駄を省いたミニマルなデザインに集約されます。日本ではシンプルな時計が好まれる傾向が強く、ユンハンスはあらゆるファッションとも相性が良いため好評です。結果、長くご使用いただけます。さらにはご検討いただきやすい価格のため、初めて本格時計をご購入される方にも選ばれていますね。デザイン違いのモデルを2本、3本とお持ちの顧客様もいらっしゃるなど、シンプルを突き詰めたデザインに魅了されておられる方々が多いです」


“バウハウス最後の巨匠”と称されたマックス・ビル。彼がデザインした時計をユンハンスはラインナップしている

 

―― ユンハンスといえば手巻き、自動巻き、ソーラーなど、ラインナップの豊富さも特徴です。どのコレクションが人気ですか?

マックス・ビル バイ ユンハンス オートマティックがとくに人気で、ご提案をしやすいモデルでもあります。ドーム型の風防を採用していてトレンドのヴィンテージライクなデザインですし、ご納得いただきやすいプライスも魅力です。なおこちらの風防ですが、以前はプラスチック製だったものがサファイア製に進化しており、耐傷性や耐久性、防水スペックが向上しています。安心してご使用いただける、デイリーユースに最適なモデルといえるでしょう」


ユンハンス「マックス・ビル バイ ユンハンス オートマティック」 Ref.027 4700 02 23万9800円/自動巻き(Cal.J800.1)、毎時2万8800振動、38時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース、カーフストラップ。直径38mm。50m防水。

 

日本を代表する商都として栄える大阪で、151年も続く老舗時計店の5代目店主が選んだ2モデル。信頼の置ける目利きによるさらなるサポートは、「やぶ内時計舗」で受けることができる。

 

やぶ内時計舗 フェア情報

「やぶ内時計舗」では、2023年10月末まで「オクトーバーフェスト」を開催。期間中、ユンハンス、モンブラン、ダマスコ、そして新規取り扱い開始となったミューレ グラスヒュッテの時計を購入すると、ドイツビールが贈呈される。さらに60回無金利ローンのサービスも実施。

 

取材協力【やぶ内時計舗】
住所:大阪府大阪市中央区博労町4-3-12
TEL:06-6253-6110 営業時間:午前11時~午後8時(定休日:水曜日)
https://www.yabuuchi.co.jp/

 

Text/山口祐也(WATCHNAVI編集部) Photo(人物)/嶋田敦之

TAG

人気のタグ