創業1872年の歴史を誇る大阪・ミナミの老舗時計店「やぶ内時計舗」。“誠実誠意”の精神で時計の正規販売を貫く5代目店主の藪内正己さんに、今夏イチオシの腕時計を3本上げてもらった。
1本目は夏らしいカラーリングが魅力の限定品
藪内正己さんが最初に上げた1本は、モーリス・ラクロアの「アイコン オートマティック リミテッド サマー エディション」。2018年に登場したフラッグシップウオッチをベースに、夏らしい爽やかなカラーを取り入れた一本だ。
「モーリス・ラクロアは、手の届く高級時計ブランドの代表格です。アイコン オートマティックは、昨今人気のあるラグジュアリースポーツウオッチと同じくブレス一体型のケースデザインを採用していて、着け心地はなめらか。バランスも良く、とても快適に普段使いできます。色々と情報収集されたうえでたどり着く方や口コミの評判で実機をチェックされる方が多く、発売以来変わらず安定した人気があります。その中で新色となるサマー エディションは、遊び心のあるカラーリングが特徴。こうした色味が加わることでシリーズ全体の魅力も増しますよね。この限定ブルーはサイズも選べて、直径39mmだとトレンド感がありますね。一方、直径42mmだとベゼルの存在感が立つので、大きな時計がお好きな方にオススメです。またバンドが工具不要で付け替えられる構造を活かし、特別仕様ではダイアルと同色のラバーストラップが付くので使い分けが楽しめます。20気圧防水でスペック面の安心感がありますし、この時計を普段使いしたら夏が楽しくなると思いますよ」
モーリス・ラクロアは本格ダイバーズもハイコスパ
次に藪内さんが教えてくれたのも同じくモーリス・ラクロアから。復活したばかりの「ポントス S ダイバー 42mm」を上げてくれた。
「2013年に発表されたオリジナルモデルを復刻したポントス S ダイバーは、価格を意識した作り込みにとても好感が持てます。今は円安の影響もあって時計の価格高騰が続いていますが、このモデルはフリーダイバーの世界チャンピオンも開発に関わった本格的なダイバーズウオッチで20万円台を実現しています。先代モデルから防水性能は抑えられていますが、それでも30気圧防水という十分なスペックを保持。直径は42mmに小型化されており、アイコニックな回転インナーベゼルのおかげで厚みも抑えられています。純然たるスポーツウオッチがお好みの方には、ぜひ一度ご試着いただきたいですね」
すべてが別格の存在感「クエルボ・イ・ソブリノス」
最後の一本はキューバ生まれのクエルボ・イ・ソブリノスが発表した、シンプルなのに個性豊かな新作だ。
「クエルボは、創業地がキューバ・ハバナということだけでも他社とは一線を画しています。加えて文豪ヘミングウェイや元英国首相ウィンストン・チャーチルが愛用するなど、歴史もかなりユニーク。実際、次なる一本をお探しの方がブランドのストーリーを知って興味を持ち、クエルボ目当てで来店される方もいらっしゃいます。現在はスイスメイドですが、デザインにはラテンの雰囲気が色濃く反映されており、見ているだけでも楽しくなってきます。時計のデザインは、昔あったものに現代的な解釈を加えて新しい時計を作り出すという手法が流行っていますが、そのリーディングブランドがクエルボ・イ・ソブリノスといっても過言ではありません。最新作を見てもヴィンテージ感があり、しかもハリボテではなく本格的に作り込まれていることが伝わると思います。シルバー、シャンパン、ブラウンの3色あるのですが、そのどれもが“新しいのにヴィンテージ”という佇まい。もう時計好きなら選ばない理由がないでしょう」
自らも一級時計修理技能士の資格を保有する藪内さんは、まさしく時計販売のプロフェッショナル。そのお眼鏡にかなった3本の新作についてさらに詳しく知りたいのであれば、「やぶ内時計舗」を頼りたい。ここならきっと間違いない時計選びが楽しめるはずだ。
【やぶ内時計舗】
住所:大阪府大阪市中央区博労町4-3-12
TEL:06-6253-6110(代) 営業時間:午前11時~午後8時(定休日:水曜日)
https://www.yabuuchi.co.jp/