国産時計の最高峰として知られるグランドセイコーが、世界的な快挙を達成したコンプリケーションキャリバーを発表。「T0 コンスタントフォース・トゥールビヨン」と名付けられた機械は、機械式時計の複雑機構として知られる「トゥールビヨン」と、同じく精度安定のための複雑機構「コンスタントフォース」を同時搭載しただけでなく、それらを同軸上に融合させた世界唯一の時計でもある。
機械式時計での精度追求はグランドセイコーの原点
「T0 コンスタントフォース・トゥールビヨン」の近くで耳を澄ますと聞こえてくるのは、「ツクツクタクツクツクツクタクツク」というトゥールビヨンとコンスタントフォースのメカニズムが織りなす正確無比な16ビート。1分周期で回転するトゥールビヨンのキャリッジに対し、コンスタントフォースのキャリッジは1秒ごとのステップ運針を行う。そのときの動きが、前述のビートのタの音に該当しているわけだ。
実際に間近でコンセプトキャリバーを見せてもらったが、通常製品ではまず許されないであろう接近距離でパーツが配置されているだけでも、このキャリバーの特別感が伝わってきた。また、舶来製の多くのトゥールビヨンはハック機能をもたないのだが、T0 コンスタントフォース・トゥールビヨンは秒針停止機能も備えている。これはキャリッジに秒針の機能を持たせているのと同じく、精度テストを実施するために不可欠な要素だ。聞けば、機械式時計でありながら、月差精度でのスペック表示になる可能性を秘めているとのこと。エレクトロニクスの正確性に人間の手仕事で追いつくなんて、コンセプトキャリバーらしいなんとも夢のある話ではないだろうか。
今年のグランドセイコーは誕生60周年を迎えるにあたって、すでに様々なアニバーサリー限定モデルを発表してきた。基本性能を大幅にアップさせた新型キャリバー9SA5も発表し、下半期ではどのようなモデルが残されているのかと興味があったが、まさかこれほどのコンプリケーションウオッチを国産時計で見ることができようとは!
1960年に誕生し、同年代には「時計界のF1レース」と称される天文台での精度コンクールで上位を独占するまでに至ったセイコーの技術力を、改めて証明してくれた「T0 コンスタントフォース・トゥールビヨン」。世界で最も権威ある腕時計のアワード「ジュネーブ・ウォッチ・グランプリ=GPHG」の受賞も確実なこのキャリバーは、まさしく世界に誇れる日本の最高峰。この技術革新の先にある未来にも、自ずと期待が高まるばかりだ。
問:セイコーウオッチ お客様相談室 TEL.0120-061-012
https://www.grand-seiko.com/
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