【ノルケイン(NORQAIN)】は、2018年の創業から2021年末までの間に世界110店舗で取り扱われるほどの急成長を遂げている、スイスの新興時計ブランド。この度、同社が経営顧問に迎え入れたジャン-クロード・ビバー氏は、ブランパンやウブロなどのリブランディングを先導して成功に導いた人物である。これから先にどのような展開があるのか、ノルケインCEOのベン・カッファー氏にオンラインインタビューを行った。
Text / Daisuke Suito(WATCHNAVI)
「彼が言った使命は2つ。その1つがノルケインのサポート」
–ジャン-クロード・ビバー氏を経営顧問に迎え入れた背景を教えてください。
ベン・カッファー氏(以下、BK):最初に私と彼が出会ったのは、2020年の4月。共通の友人であるマイクが引き合わせてくれました。その後、彼を本社に招いたりしながら多くのことについて話をしました。
–具体的にはどのような内容でしょうか?
BK:よく覚えているのは2度目の本社来訪時のこと。彼は情熱を込めて私にこう言ったのです。「ノルケインは素晴らしい基盤が構築できている。いまこそイノベーションが必要だ」と。また、今回の経営顧問就任に際しては「これから私が取り組むミッションは2つだけ。ひとつは息子のピエールとともに作る自分自身のハイエンドウオッチブランド“JCビバー”のこと。もうひとつが、ノルケインのサポートだ」とも言ってくれました。
–彼はどのような形でブランドをサポートをしているのですか?
BK:先ほどのイノベーションの話と関連しますが、商品構成をピラミッドに見立てたとき、頂上部分に相当するタイムピースの開発です。詳細については9月に正式発表するのですが、彼を交えて新素材を開発したのです。時計好きの方なら、きっと驚くと思いますよ。
–その新しいモデルは、現在展開されている3つのコレクション「フリーダム」「アドベンチャー」「インディペンデンス」とは異なるものになりますか?
BK:いえ、それはありません。次に発表する新作はインディペンデンスに含まれます。ですが、軽くて頑丈、かつ環境にも優しい新素材を使ったタイムピースで、ノルケインの新たな一面を感じていただけるはずです。
–先ほどから話題に出てくる新素材については、サプライヤーから調達するのですか?
BK:私たちはスイス時計産業の伝統である分業体制を敷いていますから、新素材ももちろんサプライヤーから調達します。ただし、ムーブメントやケースその他のパーツのサプライヤーは、すべて私たちのファクトリーを中心にしたジュラ山脈の半径20km圏内にあることを覚えておいてください。私たちは、スイス機械式時計の歴史や技術、素晴らしさを未来に伝えることを使命の一つとして持っています。その目的のために私たちは多くの時計関連企業とともに歩んでいくことを決めているのです。
–では、ノルケインに勤める人々の平均年齢が35歳ぐらいというのも、未来を見据えたことですね。
BK:その通りです。私たちは若いチームでつねに挑戦を続けています。ブランドの設立から3つのコレクションの確立、日本を含む世界各地での展開、ケニッシ社との専用ムーブメントの製造開発契約、ツェルマットの直営ブティックオープンまで、あらゆることにスピード感を持って取り組んできました。ビバー氏は、こうしたノルケインの「若さ」や「挑戦心」に共鳴し、サポートを引き受けてくれたのです。スイス時計業界の偉大な人物の一人と一緒に仕事をする機会を得たことは大変光栄なこと。彼の知識と経験は、ノルケインの将来の発展にとって大きな財産となるでしょう」
20万円台〜50万円台の価格帯での機械式時計にこだわり、男性用と女性用で幅広い製品を手掛けているノルケインが着手したトップエンドウオッチの開発。それに深く関わったジャン-クロード・ビバー氏の時計産業における“成功請負人”としてのキャリアを考慮すれば、次なるノルケインの新作発表が重大な局面となることは間違いなさそうだ。
公式サイト:https://www.norqain.com
問い合わせ先:ノルケイン・ジャパン Tel.03-6864-3876
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