高級時計専門店にあるG-SHOCKのコンセプトコーナー【EDGE】の誕生と現状を訪ね歩く<高松・アイアイ イスズ編>

2006年、G-SHOCK販売の在り方にまったく新しい道が拓かれた。「EDGE」と銘打たれたG-SHOCKコンセプトショップの誕生である。それから17年余りが経ち、高級舶来ブランドを展開する有力時計専門店のみで展開される「EDGE」はどのような歴史を重ねてきたのか。G-SHOCK誕生40周年の節目に、導入各店の取材を通じてその存在意義を改めて考察する。シリーズ初回は、初めてEDGEを導入した【アイアイ イスズ】を訪ねた。

TEXT/Daisuke Suito(WATCHNAVI) PHOTO/Keiichi Wagatsuma(ONE PUBLISHING)

高級時計と同じようにG-SHOCKを扱う意義

アイアイ イスズは香川県高松市を拠点に高級時計販売で全国屈指の知名度を誇る有名店。本店には海外から時計ブランドの要人が視察に訪れることも多く、イベントやフェアも積極的に行われている。一方、EDGEは市街地にある商業施設「丸亀町グリーン」の西館2Fにある「アイアイ イスズ G-Time」(香川県高松市丸亀町7番地16丸亀町グリーン西館2F Tel.087-873-2335)で展開。店名の通り主力はG-SHOCKであり、EDGEの面積も広い。今回は、アイアイ イスズ代表取締役社長の飯間賢治氏に導入の経緯から現在の展開までの話を聞いた。

「2007年にEDGEをオープンした背景には、他の時計ブランドのトレンドも少なからず関係しています。当時は、フロア面積や品揃えなどの一定の条件が揃った売り場に特別な称号が付くブランドが多かったのです。たとえば『スピリット・オブ・ブライトリング』のようなことですね。そうした流れがあって、ただ時計を並べるのではなく自分たちらしい見せ方をしたいという思いを当時の会長がカシオ側に打診したのがEDGEというコンセプトの始まりだと聞いています」

アイアイ イスズ代表取締役社長の飯間賢治さん。長らく時計マネージャーを担当し、2019年より現職に就任。写真奥に見えるのは、G-SHOCK以外のブランドを扱うG-Timeの売り場。EDGEは完全に独立コーナーとなる

当時は最高峰のMR-Gが変革のときを迎えこそしていたものの、現在のように100万円に迫るほどの限定品が出て、しかもそれが完売するという未来を誰も描いていなかったような時代。にも関わらず、2007年時点で高級時計ブランドと肩を並べてG-SHOCKの取り扱いを決めた先見の明には、素直に舌を巻くしかない。

「EDGEでは、たとえエントリーモデルであっても高級時計と同じように接客を行い、サービスをご提供します。言い換えれば、高級時計と日々接している私たちだからできる、大きな強みと言えるでしょう。購入層については、当初こそすでに時計をいくつも所有されているような常連顧客の方々のセカンドウオッチ需要が主流でした。しかし、オープンから少し経って25周年記念モデルが出始めると状況は一転。『EDGE』という期待感から限定品への問い合わせが全国から殺到し、本当に人気モデルを取り合うような状況が生まれました。その後は高価格帯の商品も出てきて、今も売れ行きは右肩上がりを続けています」

Baby-GやG-Msなども含め、店頭には常時200本程度を陳列。さらに多くの在庫があるというので、探している商品が見つからなければ聞いてみるのが早そうだ
MRG-B5000のような高額品もEDGEでは売れ筋商品になる。新作や限定品も揃う売り場は、それだけで入荷が安定している証拠となる

2007年7月7日に高松港近くの商業施設「サンポート」に出店してから、2010年に丸亀町一番街ドーム広場にあった店舗へと移転。そして、2012年に現在の場所に落ち着き、2017年には売場を増床してリニューアル。今もアイアイイスズにとってG-SHOCKと、「EDGE」の称号は欠かせないものとなっているわけだ。

「人が集まる場所は時代によって変化しているので、それに合わせて移転してきました。まだ計画はありませんが、別のエリアの再開発が進めばEDGEも新たに移転リニューアルすることになるでしょう。一方で、お客様の中にはサンポート店に初出店した時からの常連の方もいらっしゃいますし、本当に幅広い人々に愛されるブランドだと思いますね」

店舗外観は商業施設「丸亀町グリーン」の1Fからも目視できる

取材後記

WATCHNAVI編集部は、2007年に初のEDGEがオープンした際、当時の社長である飯間康行氏にインタビューを行っていた。当時の記事によれば、“「もし、1万円という価格帯で世界に誇れる時計をあげるとすればGショックを推薦します。でも価格帯でナンバー1のGショックを一番らしく販売する。そういうお店ってなかったんですよね。それを具現化しましょう! とかカシオのGショックチームと話してできあがったのがこの『EDGE』なんです」”とある。そうした思いが、のちのEDGE全体のコンセプトになったことは言うまでもない。

「WATCHNAVI 2007年秋号」に掲載したEDGEオープンの紹介記事

ちなみに、上記の引用文の文末には、“時々Gショックファンのためにエポックメイキングなものを少量ロットで作ってほしいです。例えば世界限定10本でMR-GのPGケースにゴールドムクブレスとか。きっと注目されるでしょう”と、驚くべき発言が。G-SHOCK好きならご存知の通り、金無垢G-SHOCKは2015年にコンセプトモデルとして発表ののち、2019年に歴代最高額となる当時770万円(税抜)/限定35本で販売された超希少品である。その影響力たるや、やはりEDGE第一号店に相応しいショップと言えるだろう。

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