2018年シーズンの第1戦アブダビ大会で2009年以来遠ざかっていた優勝に輝き、第2戦のカンヌでも3位で表彰台に上ったマイケル・グーリアン選手は、今季レッドブル・エアレースの大本命。千葉大会を控えて来日中の彼に、アルピナの協力を得て取材することができました。グーリアン選手が語った、千葉大会と今シーズンの意気込みとは!?
「今年はすべてのピースがうまくはまっている感じがある」
マイケル・グーリアン選手は、1984年、16歳にして自動車よりも早く飛行機の単独操縦を行い、飛行学校の設立、曲技飛行の優勝など、いくつもの輝かしい歴史を歩んできました。その経歴から母国アメリカには数多くのファンがいます。
–レッドブル・エアレースには、初年度となる2004年から参戦していますが、なかなか調子が上がらない時期が続きました。ようやく昨年から徐々に調子を上げてきましたが、この変化にはどのような背景があったのでしょうか?
私たちのコアメンバーは4名。私とエミリー、ウォーレン、パブロです。
エミリーは、チームメンバーのスケジュールやロジスティックスの管理、報道資料の作成など、実際の飛行に関すること以外のすべてを管理してくれています。
ウォーレンは技術者で、彼がマシンの組み立て、解体、チューニングを行っています。パブロは、チームのブレーンとしてレーストラックの飛行プランを練ったり、他のパイロットの飛行も把握しながら私にアドバイスをくれたりします。
ウォーレンはパブロのプランに合わせてマシンをチューニングしますし、私はウォーレンの組み上げたマシンを完全に信頼しています。
私は飛行機をコントロールしますが、私をコントロールしてくれるのがエミリー。レース期間中は、彼女が私のPCやスマートフォンを取り上げてくれる(笑)ので、完全にレースに集中できるようになりました。
–様々なデバイスを身の回りから遠ざけるようになったきっかけは、エアレースを引退した伝説のパイロット、ナイジェル・ラム氏の助言があったとのこと。曰く「ビジネスのことを考えながら、レースに勝てるわけないだろう」と言われたそうですが。
勝てなかった要因は試合ごとに違うので、どこを変えたから良くなった、と簡単には言えません。ただ、PCなどを遠ざけたことでレースに集中できるようになったことは確かですね。とくに今季は大小ある様々なパズルのピースが上手くはまっているような感覚があります。
千葉大会は、昨年と同じくコースが短くタイトなので、勇気を持ってアグレッシブに飛行したパイロットに勝利の女神が微笑むのではないでしょうか。
もちろん私も攻めていきますし、上手く飛べるだけの準備もあります。
–翌日からマシンを組み立て始めるという時期のインタビューだったので、グーリアン選手はかなりリラックスモード。ここで体調を整えることが大切なのだという。
メンタル面や食事をサポートをしてくれる人がチームについているので、そういった人たちの力も借りて精神面、体調面をしっかり管理しています。
ジェットラグ(=時差ボケ)をなくすことも大切。とくに日本は、アメリカにある私たちの拠点と13時間も時差がありますからね(笑)。
しっかりとした睡眠に加えて、ホテルではストレッチなどのエクササイズも行いながらレースにベストコンディションで望めるように心がけています。
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