普段使いを念頭に置いた見えない部分での革新性
–ミドーは非常にシンプルなデザインが特徴ですが、これを貫いている理由を教えてください。
私たちは、適正価格でありながらスイス時計の本質に触れられる製品を作っています。装飾的なデザインではなく、本当に使いやすいオーセンティックな腕時計というのがミドーの強み。これに5つのコレクション固有のキャラクターが合わさっているわけです。
マルチフォートは1934年からの歴史がある「マスキュリン」で「ロブスト」なコレクションです。コマンダーは1959年に誕生した「アイコニック」なブランドの顔。1970年から続くバロンチェッリは「タイムレス」なクラシックデザインが特徴となっています。
これに、1944年ダイバーズウオッチの「オーシャンスター」と、エレガントスタイルの「ベルーナ」を加えた5つのコレクションで、合計300型ほどの製品を展開しています。
–こうした製品について、機能面でのカテゴライズというのはありますか?
機能的なことで言えば、クロノグラフやGMTなどといった機能を付け加えたものを除いて、スタンダード機と高性能機でわけることができます。具体的にはCOSC公認クロノメーターを取得しているかどうか。クロノメーター取得モデルの多くにシリコン製の脱進機を使っていることも挙げられますね。
実はスウォッチ グループ内の同価格帯のブランドでは、ミドーが最初にシリコン製の脱進機を使ったブランド。創業100周年の節目に発表したビッグデイトも、6時位置にビッグデイトを配置した80時間パワーリザーブの時計というのは珍しいでしょう。ミドーなら一部のハイブランドが手がけるような機能を、現実的な価格で提供できるわけです。
–同じグループであるETA社がムーブメントを製作していると思いますが、シリコン製の脱進機に置き換えるなどの工程が、あまりコストに反映されていないように思いますが。
なぜそうできるのかは企業秘密ですが、確かに通常の脱進機からシリコン製へ切り替えても、プライスには反映しないように配慮しています。それは標準性能の向上も同じ。近い将来、ミドーの製品は80時間パワーリザーブが基本となりますので、いまは性能向上に伴って価格が跳ね上がらないようバランスをとっています。
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