ハイブランドの新星クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーGMが語る「マリンクロノメーター」にこだわる理由

目指したのは最高峰の腕時計版マリンクロノメーター

–現在発表されている腕時計はいずれも非常にユニークなデザインですが、何かモチーフがあるのでしょうか?

第1弾ムーブメントCal.FB-T.FCを搭載したコレクション。左からRef.FB 1.1/税抜2707万円(18KWG+チタンケース/50本限定)、Ref.FB 1.2/税抜2707万円(18KRG+ブラックセラミックケース/50本限定)、Ref.FB 1.4-1/税抜2335万円(チタン/20本限定) 手巻き。直径44mm/厚さ13mm。30m防水。

「クロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーのファーストウオッチは、現在、フルリエの時計博物館に常設展示しているマリンクロノメーターNo.6にインスピレーションを得ています。私たちが目指したのは、“フェルディナント・ベルトゥーが現代の技術で作り上げた腕時計マリンクロノメーター”です。
高精度は必須条件なので、私たちは時計に定力装置付きのフュゼ・チェーンや秒針付きのトゥールビヨンを考案しました。チェーンだけで790個のパーツとなり、装置全体では1120個以上に及びます。そしてそれを格納するムーブメントは、ブリッジを使わずに6本の柱で支える設計。こうした複雑なメカニズムを作るために新しい技術を開発し、4つの特許を取得しました。

かつてのフェルディナント・ベルトゥーの時計にも使われていたチェーンフュゼ機構を、現代技術で腕時計に搭載。

非常にユニークな構造を持つムーブメントは、その動きを8角形ケースのサイドから見られます。このアイデアは、かつてフェルディナント・ベルトゥーだけがマリンクロノメーターに設けていた開閉式の調整窓が発想の原点となっています。
ニッケルシルバーのダイアルは、一回だけサンドペーパーをかける完全に水平なヘアライン仕上げ。たった一回で私たちが作るハイクラスの時計に見合うように仕上げきるため、職人は細心の注意を払って作業に当たります」

–そうした作業には少なからずショパールの施設も関わっているのでしょうか?

「ショパールはハイエンドタイムピースの製造に長けたブランドでもありますし、私たちが設備を整えるのも時間がかかりすぎるので、一部のパーツ製作にショパールのリソースを使っているのは事実です。ただし、エンジニアは完全にクロノメトリー・フェルディナント・ベルトゥーのスタッフであり、作業工程やその難易度はショパールの工房でも圧倒的にハイレベルなものとなっています。
私たちは量産するよりも少量生産の時計に持てる技術の全てを投入していくブランド。そのハンドクラフトの希少性が愛好家の方に伝わるよう、1本1本を時間をかけて大切に作り上げていくのです」

複雑なケース構造の展開図を手に力説するラペール氏。一つひとつのパーツを完全に仕上げ、それを一体化させることでマリンクロノメーター由来の個性的なケースを作り上げている。

 

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