<取材協力>
トミヤ(TOMIYA)
いま西日本の中で、福岡ほど急速に発展している都市もない。「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」と呼ばれる都市開発プロジェクトが絶賛進行中で、国内外からの観光客による賑わいも過去に例を見ないほどだ。そして、目下注目を集める福岡の商業エリアには、このところ時計店の出店が目覚ましい。これまで岡山の表町商店街を中心に、倉敷や広島で複数のブランドを扱う店舗で実績のある腕時計正規販売店「TOMIYA」もまた、福岡・天神にゼニスとベル&ロスの専門ブティックをプロデュースしている。この地に出店した意図、福岡における時計の盛り上がり、さらには人気モデルについて両店で話しを聞いた。
ブランドの認知度を高め、TOMIYAの顧客をサポートする拠点として
↑ゼニス ブティック 福岡の内観。非日常を味わえるクラス感ある演出のインテリアを配する。
(ゼニス ブティック 福岡 店長・安田さん)「ゼニス ブティック 福岡は、九州初のゼニス ブティックとして2021年にオープンしました。もともとTOMIYAには、広島や岡山の店舗へとお越しくださる九州ご在住のお客様も多かったという理由もあり、福岡への出店が検討されてきました。ゼニスについては、岡山表町のメカミュージアム店と倉敷店で扱ってきた実績がございますし、ブランドの魅力も熟知しております。2021年にはTOMIYA限定のコラボレーションモデル(クロノマスター エル・プリメロ オープン TOMIYA Edition)をオーダーするなど、関係を築いて参りました。そのような背景もあり、ゼニス ブティック 福岡の出店が実現しました」
――歴史と伝統を重んじるゼニスだからこそ、1932年(昭和7年)創業という由緒のあるTOMIYAには全幅の信頼を寄せているのだろう。フラッグシップコレクションをベースとするコラボは、まさに信頼関係が特別な域にあることを示している。
↑左から、スタッフの糸瀬さん、店長の安田さん、スタッフの藤井さん。
ゼニスが好調な理由は、メカだけでなく懐かしさと新しさを感じさせるデザイン
(安田さん)「九州にも熱心な時計好きの方々がいらっしゃいます。そうしたお客様はもちろんのこと、ここ天神はショッピングエリアのためお買い物を楽しまれている方であったり、旅行者の方にもお立ち寄りいただくことが増えています。ゼニスにご興味のあるお客様はムーブメントにもこだわりが強い方が多いですから、技術的な知識のほか、機械式クロノグラフでゼニスが果たしてきた偉業などを解説できるよう、他のスタッフとともに学ぶ機会を設けております。知れば知るほど、心惹かれるブランドといえます」
↑現在のゼニスのコレクションの軸となっている「パイロット」「デファイ」「クロノマスター」「エリート」を、それぞれイメージしてデザインされた壁面ディスプレイ。
――ブティックならではの充実した製品ラインナップのほかに、購入特典もあるという。
(安田さん)「その一方で近年のゼニスは、エル・プリメロが開発された当初、すなわち1960年代後半から70年代にかけての歴史的なタイムピースにインスパイアされたリバイバルモデルや、そのユニークなデザインを再解釈したモデルが話題となっており、従来からのゼニスファンの皆様とは異なる方々にも注目いただいております。これらのニューモデルとともに、ブティックでしかご購入いただけない限定モデルなどもいち早く入荷し、バリエーションを豊富に取り揃えていることがブティックの魅力といえます。また、当店でご購入いただくと、初回オーバーホールの基本技術料を無料とさせていただくサービスを実施しております。ゼニスにご興味がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください」
店長・安田さんのイチ押し「クロノマスター スポーツ ブティック エディション」
Ref.03.3103.3600/69.M3100 168万3000円
(安田さん)「1/10秒表示が可能なクロノグラフを備えるエル・プリメロキャリバーを搭載する人気モデルのブティック限定バージョンです。サンレイ仕上げによる上品なシルバー文字盤に、グレー・アンスラサイト・ブルーの彩りを与えた特別なインダイアルとセラミックベゼルを組み合わせています。日本ではゼニス ブティックと公式オンラインショップでのみご購入いただける貴重な逸品です」
スペック:自動巻き(自社製Cal.エル・プリメロ3600)、毎時3万6000振動、約60時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース(シースルーバック)&ブレスレット。直径41mm。10気圧防水。
スタッフ・藤井さんのイチ押し「デファイ スカイライン クロノグラフ ブティック エディション」
Ref.03.9500.3600/02.I001 183万7000円
(藤井さん)「こちらもゼニス ブティックと公式オンラインショップで扱っているスペシャルモデルです。特徴であるオクタゴンケースやファセットカットベゼルなどの外装はレギュラーモデルと共通ですが、サンバースト加工のスレートグレーに星に着想を得たアクセントをローズゴールドカラーに仕上げた特別な文字盤となっています。趣きの異なるクロノグラフをお探しの方に、ぜひご紹介したいです」
スペック:自動巻き(自社製Cal.エル・プリメロ3600)、毎時3万6000振動、約60時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース(シースルーバック)&ブレスレット。直径42mm。10気圧防水。
スタッフ・糸瀬さんのイチ押し「パイロット ビッグデイト フライバック ポーター エディション」
Ref.49.4001.3652/63.I001 204万6000円
(糸瀬さん)「パイロットコレクションは2023年のリニューアルで、モダンなデザインと機能にアップデートされました。その最新クロノグラフをベースに、PORTERとコラボレーションした限定クロノグラフがこちらです。セラミックケース、波型パターンが入った文字盤、そしてクイックチェンジ機構付きの便利なストラップまで、象徴的なカーキグリーンで統一しています。同デザインの3針モデルと同じく、特別なPORTER製ウオッチバッグが付属しているのも見逃せません」
スペック:自動巻き(自社製Cal.エル・プリメロ3652)、毎時3万6000振動、約60時間パワーリザーブ。セラミックケース(シースルーバック)、ポーターのナイロンファブリック製ベルクロストラップ(交換用コーデュラ・エフェクト カーキラバーストラップが付属)。直径42mm。10気圧防水。世界限定500本。
ミリタリー調でツール感が漂うデザイン。スクエアウオッチの新たなリーダー
ゼニス ブティック 福岡から歩いて100mも満たないところに、ベル&ロス 福岡 ブティックは立地している。こちらもTOMIYAがプロデュースしている店舗で、気さくなスタッフが温かく迎え入れてくれる。ゼニスのブティックはブランドカラーであるネイビーブルーを散りばめたエレガントな内装だが、ベル&ロスのブティックはモノトーンのインテリアが中心だ。これはブランドコンセプトが異なるためで、ベル&ロスは腕時計をインダストリアルデザインの頂点にある存在と捉え、売り場の雰囲気もシンプルさに重点を置いたものとなっている。
↑コックピットの計器をヒントにBRシリーズのデザインは生み出された。それが分かる航空関連の写真などが掲げられている。
(ベル&ロス 福岡 ブティック スタッフ・藥師寺さん)「ベル&ロスのコレクションは、いずれも航空の分野からインスピレーションを受けています。そのため店舗外観にはパイロットの写真を掲げ、ガラスファサード越しに飛行機やミリタリーの世界観をご確認いただけるようになっています。ブティックということで、ブランドの技術を注ぎ込んだ希少なハイコンプリケーションウオッチも揃えていますが、機械式時計を初めて購入される方にもご興味を持っていただけるエントリープライスのモデルも数多く用意しております」
――ベル&ロスといえばスクエアフォルム! やはり福岡でもBRシリーズへの関心が高いようだ。
(藥師寺さん)「ベル&ロスはフランス生まれのブランドらしく、従来とは異なるアプローチから生み出した独自のセンスを纏うコレクションが揃っています。ブランドの“顔”としてBRシリーズが広く認知されるようになったことや、ブレスレット一体型デザインのBR-05の登場により、ファッションに敏感な方にもご来店いただいております。とくにここ天神や大名の地区には、アパレルブランドのショップやセレクトショップが集中しているため、デザイン性が豊かなベル&ロスはその性格からもぴったりなブランドといえるのではないでしょうか」
スタッフ・藥師寺さんイチ押し「BR-05 スケルトン アークティックブルー」
Ref.BR05A-AB-SKST/SST 119万2400円
(藥師寺さん)「ケースとブレスレットを一体化した流麗な設計が魅力で、装着感の良さも好評なBR-05コレクションの最新作は、トレンドのアイスブルーとスケルトンを融合した個性的な文字盤を採用しています。これは氷河をイメージしたもので、都会的でありながら冒険心を掻き立てるようなベル&ロスらしいデザインといえるでしょう。ブティックおよび eブティックのみの取り扱いということで、すでに複数のお問い合わせをいただいております」
スペック:自動巻き(BR-CAL.322-1)、毎時2万8800振動、約54時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース(シースルーバック)&ブレスレット。縦横40mm、厚さ10.33mm。100m防水。世界限定250本。
スタッフ・加藤さんイチ押し「BR-X5 イリデセント」
Ref.BRX5R-IRS-ST/SST 122万1000円
(加藤さん)「BR-X5は、BR-05に通じる美しいデザインに堅牢性や軽量性を求め、さらにマニュファクチュールムーブメントを搭載したプレミアムコレクションとなります。この新基軸に、角度の違いや照明の種類など環境によって見え方が異なる新開発文字盤をセットしました。そのレインボーの輝きが、腕元で圧倒的な存在感を放ちます。店頭にて、実際に文字盤カラーの変化をご確認いただきたい一本です」
スペック:自動巻き(自社製BR-CAL.323)、毎時2万8800振動、約70時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース(シースルーバック)&ブレスレット。縦横41mm、厚さ12.8mm。100m防水。
要注目! 九州に所縁のある伝説的な飛行機が題材「BR-03 クロノ エル・ルージュ」
Ref.BR-03 Chrono Ailes Rouges 90万2000円
ラストに一本、ベル&ロス 福岡 ブティックでも購入できる九州に関係した限定モデルを紹介したい。
時は、1936年(昭和11年)。フランスの航空省が企画したパリ→東京100時間飛行に挑んだ同国出身の飛行士アンドレ・ジャピーだったが、九州上空で悪天候に阻まれて佐賀と福岡の県境に位置する脊振山に墜落してしまう。この九死に一生を得たエピソード、そのチャレンジ精神、さらには後進の育成など、ジャピーが航空界に与えた功績は語り草となっている。
そして時を経て、彼の“挑戦”を完結させるための日仏共同による「赤い翼プロジェクト」が始動。当時と同型の飛行機「コードロン・シムーン」を復元し、彼が成し得なかった東京までの飛行を行う夢のプロジェクトである。これに賛同するベル&ロスが、同プロジェクトを讃えるBR-03 クロノの特別限定版をリリース。機体カラーに由来する鮮烈なレッドがインパクト絶大だ!!
スペック:自動巻き(BR-CAL.301)、毎時2万8800振動、約42時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース、カーフストラップ。縦横42mm。100m防水。日本限定99本。
――ゼニス ブティック 福岡とベル&ロス 福岡 ブティックどちらにもいえることだが、福岡県内を中心に九州エリア全域、さらには関門橋を渡った先の中国地方といった遠方からも来店があるという。高級時計のマーケットで光る存在の両ブランドを、九州で初めて専門的に扱う路面ブティックとしてオープンできたことは、TOMIYAが長年にわたって顧客の信頼を得てきた実績はもちろん、メーカーと友好関係を築いてきたことにほかならない。これからも九州におけるゼニスとベル&ロスの魅力を発信する拠点として、多くのユーザーを生んでいくことだろう。
「TOMIYA CHRISTMAS FAIR」〜12月25日まで開催
TOMIYA各店では、クリスマスシーズンを盛り上げる装飾やディスプレイを行い、この期間だけの特別なサービスを用意した「TOMIYA CHRISTMAS FAIR」を開催している。詳しくは店頭または公式サイトまで。
〈ゼニス ブティック 福岡〉
住所:福岡県福岡市中央区天神2-4-11 パシフィーク天神1階
TEL:092-753-8562
営業時間:11:00~19:30
定休日:火曜
〈ベル&ロス 福岡 ブティック〉
住所:福岡県福岡市中央区天神2-4-7
TEL:092-753-9993
営業時間:11:00~19:30
定休日:火曜
トミヤ公式サイト https://www.tomiya.co.jp/
※価格は記事公開時点の税込価格です。限定モデルは完売の可能性があります。
Text/山口祐也(WATCHNAVI) Photo/鈴木謙介