軽さへの執念 ── 世界最軽量“52g”のダイバーズウオッチ「ダイバー エアー」開発秘話をユリス・ナルダン プロダクトディレクターに聞いた

ウオッチナビ編集部が「WATCHES AND WONDERS GENEVA 2025」ほかジュネーブ現地取材などを通じて情報を仕入れてきた2025年発表の最新タイムピースを、ブランドのキーマンへのインタビューとともに解説していく。今回は、歴史ある独立系マニュファクチュールブランド【ユリス・ナルダン(ULYSSE NARDIN)】をピックアップ!

イノベーティブな世界最軽量ダイバーズウオッチを実用化

 

2023年のフリークと2024年のフリークに続き、2025年もユリス・ナルダンのウオッチズ&ワンダーズ発表モデルは1本のみとなった。会場で披露された「ダイバー エア」は、200m防水を有し、サイズも直径44mm、厚さ14.7mmでありながら質量わずか46g(ストラップ込みで52g)を実現。この世界最軽量を誇る革新ダイバーズウオッチにはスペックのほか、多彩な再生素材の活用も大きな特徴だ。ブースでは、それらの魅力を体験できる装置を設けて、多くの来場者の関心を誘っていた。

 

〈WATCHNAVI特別インタビュー


↑ユリス・ナルダン チーフ プロダクト オフィサー ジャン=クリストフ・サバティエ氏(Jean-Christophe Sabatier)自動車業界などで活躍後、2002年よりボーム&メルシエのマーケティング&コミュニケーションのディレクターやブシュロンの時計部門のディレクターを経て2016年にユリス・ナルダンのプロダクトディレクター就任。製品開発に関するエキスパートを揃えたチームを率いている。

「超軽量なダイバー エアーはスポーツウオッチ開発の限界を突破した歴史的な一本です」

ユリス・ナルダンは今年、わずか52gという世界最軽量の本格ダイバーズウオッチを作り上げた。この時計の特徴をさらに掘り下げるべく、今年もサバティエ氏に会場で話を聞いた。

「この時計は約6年前から開発を始めました。当初はとにかく軽いダイバーズウオッチを目指していたのですが、後にサステナブルというキーワードも加わり、開発は困難を極めました」


↑UN-374のチタン製フレームの模型。ここにフライングバレルからシリコン脱進機までの輪列を組み込み、5000G耐衝撃性能と世界最軽量を実現。

自動巻きにこだわったのは、ダイバーズスペックの追求から。手巻きにすれば、さらに3.4gは軽量化できたという。

「UN‐374は地板に代わって三角形のフレーム構造(下写真)をチタンで一体成型。全体の重さをわずか7.4gに抑えました。この徹底したスケルトン構造により、ケース内部は体積比で約8割が空気です。サステナブルについては2020年に発表したダイバーネットの開発以降、私たちは優れた技術を持つ複数の企業と共同研究を続けています。結果、ダイバー エアーのあらゆるパーツをアップサイクル素材で構成できました。1950年代に最初のダイバーズを手掛けてから、常に限界を突破してきたユリス・ナルダンらしい一本ができ、とても誇らしく思います」

 


ユリス・ナルダン「ダイバー エアー」 Ref.3743-170-2A/0A 600万6000円

チタンベースの自動巻きスケルトン「キャリバーUN-374」を搭載。ストラップ込みで52gという、世界最軽量のダイバーズウオッチを完成させた。使用するカーボンやチタン、シリコンなどの大半がアップサイクル素材で、しかも200m防水と5000G耐衝撃構造を備えた、前人未到の一本だ。

スペック:自動巻き(Cal.UN-374)、毎時2万1600振動、90時間パワーリザーブ。チタン+PA6+カーボンケース(シースルーバック)。直径44mm。厚さ14.76mm。ファブリックストラップ(ホワイトとオレンジの2本付属)。200m防水。

 

問い合わせ先:ソーウインド ジャパン TEL.03-5211-1791 https://www.ulysse-nardin.com/jp_jp/

◎本記事は『ウオッチナビ 2025 Summer Vol.98』より抜粋・編集しています。

※価格は記事公開時点の税込価格です。限定モデルは完売の可能性があります。

 

Text/WATCHNAVI編集部

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