WATCHNAVIが見た「TOMIYA 創業祭」:西日本最大級のウオッチ&ジュエリーイベントを支える創意工夫と情熱の舞台裏

<取材協力>
TOMIYA(トミヤ)

毎年7月上旬に開催される「TOMIYA 創業祭」は、岡山を拠点とするトミヤコーポレーションによるウオッチ&ジュエリー販売会である。今年は7月11日(金)から14日(月)までの4日間にわたって開催され、例年通り多くの来場者を集めた。会場では、通常取り扱いのないブランドや、希少性の高いタイムピースなども登場した。

本レポートでは、会場の様子を紹介するとともに、西日本最大級と謳われる規模のイベントを開催可能にするTOMIYAのパワーの源についても探る。

岡山で愛され続けて93年。地元と中四国エリアの頼れる正規店として

 

TOMIYAは、世界の名だたるハイブランドから手に取りやすいカジュアルブランドまで、あらゆる時計を扱う正規販売店として確かな品質とアフターサービスを提供している。その信頼の高さもあり、時計に限っても岡山の表町商店街にはコンセプトの異なる「タイムアート店」「メカミュージアム店」「ユーロサロン店」「クロノファクトリー店」という4店舗を構えているほか、「TOMIYA 倉敷店」と「TOMIYA 広島店」も展開している。これらに加えて西日本の主要都市に出店しているメジャーブランドのブティックの運営を任されているなど、国内きっての正規店として知られている。

そのように顧客からもメーカーからも支持の厚いTOMIYAによる“お祭り”が、TOMIYA 創業祭」だ。岡山の迎賓館的なホテルとして格式高い岡山国際ホテルの別館「瑞光の間」にて開催されるウオッチ&ジュエリー販売会で、TOMIYAの各店で取り扱われているブランドのコレクションから、希少な限定ウオッチ、さらには日本初披露となるモデルまで、広い会場を埋め尽くす展示の数々は圧巻。ちなみに今回は、約80ブランド・6000点以上のラグジュアリーアイテムが揃えられた。これほどの見どころがあることから、近隣だけではなく遠方からも多くの来場者がある。

今年のテーマは“サウンド”。地元で放映したコマーシャルから着想

年に一度、4日間のみ開催される「TOMIYA 創業祭」では、毎年テーマが設定され、来場者を楽しませている。前回(2024年)のテーマはトリップ(旅行)であり、旅へ出掛けるようなワクワク感を演出する仕掛けが施され、これから体感する世界への期待感を高めていた。

今回のテーマは、ずばり“サウンド”。TOMIYAのテレビコマーシャルがSNS上で大きな反響を呼んだことが、このテーマ設定のきっかけとなったという。そのコマーシャルは、「トミヤ」の正しい発音を伝えるユニークな内容であり、イントネーションが頭文字にくる3語の動物を引き合いに出し、「パンダ♪ コアラ♪ コブラ♪ ゴリラ♪ トミヤ♪ トミヤ♪」と軽快な音楽に乗せて紹介するものである。詳細はTOMIYA公式YouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/watch?v=uDqmrrm844c)を視聴すれば理解できるが、子供も思わず口ずさんでしまう心地良い“サウンド”。このコマーシャルに着想を得た今回のテーマは、“別世界”への入り口となるエントランスから演出が施され、出口にはこのコマーシャルを再現したメロディマットが敷かれた。さらに、TOMIYAのスタッフが着用する法被(はっぴ)には、コマーシャルに登場する動物のイラストがデザインされており、TOMIYAならではの遊び心とテーマ性が随所に散りばめられていた。

「来てよかった!」と感動させる接客と選びきれないほどのラインナップ

さて、ここまでは「TOMIYA 創業祭」の概要をお伝えしたが、注目度の高かった時計についても触れたい。現在はTOMIYAの取り扱い店で扱われているため、参考となることだろう。

ひとつは、エドックスだ。「クロノオフショア1 クロノグラフ トミヤ リミテッド エディション」&「デルフィン オリジナル メカノ オートマティック トミヤ リミテッド エディション」が、この創業祭で披露された。エドックスといえば、1884年創業の独立系時計ブランドとして知られ、プライス以上のクオリティとデザインのコレクションを展開している。とりわけダイバーズウオッチが有名で、今回のコラボレーションウオッチ2型もこれに属するモデルだ。

両モデルとも、岡山のシンボルである「岡山城」をイメージさせる意匠が凝らされているのが特徴だ。「クロノオフショア1 クロノグラフ トミヤ リミテッド エディション」は、岡山城の昼の姿をイメージしたラグジュアリーなブラック&ゴールドカラーデザインのクオーツクロノグラフ。「デルフィン オリジナル メカノ オートマティック トミヤ リミテッド エディション」は、岡山城の夜の姿をイメージしたスタイリッシュなゴールド&ホワイトデザインの自動巻き中3針時計となっている。日本初のエドックス コンセプトショップをトミヤ クロノファクトリー表町店に構えるTOMIYAだからこそ実現した限定コラボレーションモデル2型は、現在は同店とトミヤ 広島店で購入できる。


エドックス「クロノオフショア1 クロノグラフ トミヤ リミテッド エディション」 Ref.10242-NGMCAS-NIR 29万7000円

ブラック&ゴールドのカラーリングで、「金烏城(きんうじょう)」の異名を持つ岡山城の昼の姿を表現したクオーツクロノグラフ。約4mmもの厚さを誇るマッシブなブラックセラミック製のダイビングベゼルは、黒漆塗りの板が取り付けられた岡山城の外観より、ゴールドカラー仕上げのインデックス&針のメタル縁は、岡山城の威厳と品格を象徴する金箔瓦や金の鯱に着想を得ている。

スペック:クオーツ(Cal.EDOX102/RONDA5030.Dベース)。グレード2チタンケース、ブラックスタッズパターンラバーストラップ、ハイテクセラミック製の逆回転防止ベゼル、厚さ3mmのサファイアクリスタル風防(無反射コーティング)。直径45mm、厚さ16mm。100気圧防水。

 


エドックス「デルフィン オリジナル メカノ オートマティック トミヤ リミテッド エディション」 Ref.85303-357RN-NRN-W 34万6500円

1961年、特許技術の「ダブル・Oリング」の搭載によってエドックスダイバーズの礎を築いたデルフィンの機能美を受け継ぐスケルトンモデルを、トミヤ限定バージョンとしてアレンジ。岡山城の黒漆が夜の暗闇に紛れることで際立つ、月明かりに輝く金の鯱と白色の外壁にインスピレーションを得たカラーに仕上げた。夏のファッションを軽快に彩るホワイトカラーのラバーストラップが好相性。

スペック:自動巻き(Cal.EDOX853/SW200ベース)、毎時2万8800振動、約42時間パワーリザーブ。ピンクゴールドPVD加工316Lステンレススチールケース(シースルーバック)、ホワイトラバーストラップ、サファイアクリスタル風防(無反射コーティング)。直径43mm、厚さ12.5mm。20気圧防水。

 

革新的なデザインで名を馳せるフランク ミュラーとの絆を証明

さらにハイブランドからは、フランク ミュラーによる特別仕立てのクロノグラフが登場した。「ラウンド クロノグラフ TOMIYA Special」は、同ブランドではめずらしい丸型ケースモデルをベースに、2カウンターを配したクラシカルで落ち着いた雰囲気の逸品となっている。こちらもフランク ミュラーとTOMIYAの強い絆を証明する逸品で、しかもわずか10ピースという希少性もあり、TOMIYA 創業祭」のピックアップモデルのひとつとなった。現在は、同ブランドのコレクションを常時約150点を揃える国内最大規模の路面フランク ミュラー ブティック「フランク ミュラー by TOMIYA」と「TOMIYA 倉敷」で購入可能だ。


フランク ミュラー「ラウンド クロノグラフ TOMIYA Special」 Ref.7002CCDTFORACE AC 297万円

時への情熱を時計に込める複雑時計とウオッチデザインの名匠、フランク ミュラーが製作したTOMIYAスペシャル・クロノグラフ。磨き上げられた42mm径ケースに、クラシカルな装いの2カウンター(30分積算計とスモールセコンド)や丸窓のカレンダー表示をレイアウト。そしてフランク ミュラーのシンボルであるビザン数字インデックスと、ペルラージュ仕上げを施して装飾性を高めたミニッツスケールリングも備え、特別なデザインにまとめた。

スペック:自動巻き。ステンレススチールケース(シースルーバック)、クロコストラップ(裏面ラバー加工)。直径42mm。日常生活防水。TOMIYA限定10本。

スタッフに聞いた「あなたにとってのTOMIYA 創業祭」

時折雨に見舞われる時間帯もあったものの、2025年の「TOMIYA 創業祭」も大成功のうちに幕を閉じた。その背景には、開催の数ヶ月前からTOMIYAスタッフ一同が準備を重ねてきた努力がある。これまで支えてくれた顧客や地元への感謝の気持ちを形としたい。これがこの一大イベントの根底にある。無論、スタッフたちのその姿勢は日々店頭に立つ際にも変わることはないが、創業祭では一層笑顔が増え、来場者とともにスタッフも楽しんでいる様子が見て取れる。ここで、TOMIYAの顔ともいえるスタッフに、今回の創業祭の感想を尋ねた。

TOMIYA タイムアート店 副店長 小川さん

「今回の創業祭も、スタッフみんなで協力しながら、各ブランドとの調整も含めて準備を進めてきました。お客様に飽きずに楽しんでもらうためには、そうした工夫が欠かせません。そして事前にご案内を差し上げることで、夏の楽しみのひとつとして捉えていただけたら大変嬉しいです。

今回は初めて、IWCが壁面に大きなブースを構えるブランドとなりました。IWCのコレクションやロゴが登場する映画『F1/エフワン』の影響もあり、特に盛り上がりを見せました。希少なモデルも用意できたため、ご興味を持っていただけたのではないでしょうか」

 

TOMIYA 本店 副店長 西﨑さん

「創業祭では、普段ジュエリーをお求めになるお客様に時計をご紹介できたり、その逆もあったりします。そういう機会をご提供できるのも、創業祭ならではの魅力といえます。

たとえば、由緒ある時計ブランドのブレゲは、コレクションがとても希少で、取り扱い店も限られています。TOMIYAでもユーロサロン店でのみ販売しているのですが、今回は創業祭に合わせて、たくさんのコレクションを揃えることができました。レディスウオッチも数多く展示したため、女性のお客様にとって新しい発見に繋がったのではと存じます

 

◾️取材を終えて◾️

「TOMIYA 創業祭」を取材するたびに考えさせられるのは、これほどの規模のイベントを開催するには、100名を超える従業員を擁するトミヤコーポレーションであっても、決して容易なことではないという点である。以前、古市社長から創業祭について話を伺った際、とくに印象に残ったのが「大変な創業祭を経験すると、スタッフがまたひと回り成長する」という言葉。顧客や地域への感謝を形にして還元し、来場者とスタッフが笑顔に包まれるこのイベントは、同時に時計好きを増やすかけがえのない場にもなっている。毎年進化を遂げる「TOMIYA 創業祭」を、WATCHNAVIは今後も見守っていきたい。

 

〈時計をマルチブランドで展開するトミヤ各店〉

◆トミヤ タイムアート店


↑2階に最高峰のパテック フィリップとウブロを、1階にチューダー、グランドセイコー、ジラール・ペルゴ、ベル&ロスなどのメジャーブランドを揃える。

TEL:086-235-1038
住所:岡山県岡山市北区表町2-2-60
営業時間:11:00~19:30
定休日:火曜

 

◆トミヤ ユーロサロン店


↑カルティエを筆頭に、ブレゲ、ブランパン、ジャガー・ルクルト、ブルガリ、ショパールといった本格派マニュファクチュールブランドのコーナーを設置。

TEL:086-232-1038
住所:岡山県岡山市北区表町2-2-58
営業時間:11:00~19:30
定休日:火曜

 

◆トミヤ メカミュージアム店


↑入口からブライトリング、IWC、ゼニスといった人気ブランドが並び、吹き抜けを上がった2Fにはパネライとロジェ・デュブイの独立コーナーが設けられている。

TEL:086-226-1038
住所:岡山県岡山市北区表町2-1-39
営業時間:11:00~19:30
定休日:火曜

 

◆トミヤ クロノファクトリー店


↑G-SHOCKのコンセプトショップ「EDGE」、日本初の「エドックス コンセプトショップ」など、全国でも珍しいコーナーを設置。ボーム&メルシエやハミルトン、ティソといったファースト時計に最適なブランドも多数。

TEL:086-223-1038
住所:岡山県岡山市北区表町2-2-61
営業時間:11:00~19:30
定休日:火曜

 

◆トミヤ 倉敷店


↑2019年にオープンしたトミヤ 倉敷店は、倉敷ICから10分以内という好立地。駐車場を完備しており、ロレックス、チューダー、ブライトリング、タグ・ホイヤー、ゼニス、ジラール・ペルゴなどを揃える。

TEL:086-430-1038
住所:岡山県倉敷市宮前380-119
営業時間:11:00~19:30
定休日:火曜

 

◆トミヤ 広島店


↑広島市を代表する繁華街・袋町に立地。県内唯一の取り扱いとなるウブロをはじめ、シャネル、IWC、ジラール・ペルゴ、ブランパン、ブルガリ、ショパールといった本格派を集めている。

TEL:082-236-6690
住所:広島県広島市中区袋町1-15-1
営業時間:11:00~19:30
定休日:水曜

 

トミヤ公式サイト https://www.tomiya.co.jp/

Text/山口祐也(WATCHNAVI編集部) Photo/鈴木謙介

TAG

人気のタグ