〈動画付き〉文字盤に家康らの「兜」が並ぶ!?【ロジェ・デュブイ】武士による“天下泰平”を表現した28本限定ウオッチの全貌

1995年の創業以来、既存の価値観を打ち破るアプローチで時計界を牽引している高級時計ブランド【ロジェ・デュブイ(ROGER DUBUIS)】は、100%ジュネーブメイドを掲げ、“ハイパーオロロジー”を体現している。そのような類を見ないメゾンが発表した「エクスカリバー ザ カブト レガシー」は、日本の歴史に深いオマージュを捧げる注目の逸品だ。その全貌を、開発に携わったキーマンのコメントと共に伝える。

戦国時代から江戸時代へ。ロジェ・デュブイが卓越した技術で紡ぎ出す

 

ロジェ・デュブイの新作「エクスカリバー ザ カブト レガシー」は、17世紀初頭の日本において天下平定と結束の象徴となった12人の武将に着目し、彼らの誇りである「兜(かぶと)」を文字盤上にあしらった前代未聞のタイムピースである。その開発には、メゾンが誇る超一流の技術を持つ職人はもちろん、時代考証を担った日本史の専門家も携わったという。その発表の場として、八芳園(東京・白金台の地で400年の歴史を誇る日本庭園を有し、創業80年を迎えるレセプション会場)をセレクト。ここにも、メゾンらしいストーリー性を重視した非凡なセンスが感じられる。

(ロジェ・デュブイCEO/デビッド・ショーメ氏)「本日はお忙しい中、ご来場いただき誠にありがとうございます。皆様もよくご存知かと思いますが、こちらの場所は、徳川幕府の最初の将軍、家康公の側近だった大久保彦左衛門の屋敷があった場所となります。今日ここで、エクスカリバー ザ カブト レガシーを公開できることを大変嬉しく思います」

さらにショーメ氏は続けて、ロジェ・デュブイの時計作りにおける確固たる哲学と、創業者時代から続く日本との深い絆について次のように語った。

「ロジェ・デュブイは、非常に明確なビジョンを掲げながら、創造性や職人の技、そしてジュネーブにおける高級時計の技術を追求してきました。この明確なビジョンは創始者であるロジェ・デュブイ氏が主導していた時代に生まれ、日本の皆様にも評価されることとなりました。そして日本のユーザーやメディアとの交流は特別であり、私自身、日本をとても近い存在と感じています」

「レジェンダリー・ユニバース」を日本の歴史でアレンジ

ロジェ・デュブイはこれまで、アーサー王物語の12人の騎士たちを題材に、「エクスカリバー ナイツ オブ ザ ラウンドテーブル」を手掛けたように、物語、神話、伝承を高度な時計製造技術によって文字盤上に落とし込む、固有のコレクションの系譜がある。同社マーケティングマネージャーのアントワーヌ・アストイ氏は、本作の開発背景について説明する。

(ロジェ・デュブイ マーケティングマネージャー/アントワーヌ・アストイ氏)「このタイムピースは、レジェンダリー・ユニバースと呼ばれるグループに属するモデルです。13年前、アーサー王の伝説をテーマに、円卓の騎士シリーズを初めて発表しました。これ以降、レジェンダリー・ユニバースでは各地の伝説を表現するコレクションを生み出し、アジアの国々やアフリカ大陸からもヒントを得たモデルが登場しています。そして今回、新たなインスピレーション元として日本に辿り着きました」

2013年に初登場した「エクスカリバー ナイツ オブ ザ ラウンドテーブル」は時計界を震撼させ、ロジェ・デュブイのシンボルのひとつに数えられるまでになり、様々なストーリーを語ってきた。そして次なる舞台として、日本の戦国時代から江戸時代への転換期が選ばれたわけだ。

「争いから平和へ」―― クレインス教授が語る歴史的パラダイムシフト

「エクスカリバー ザ カブト レガシー」の構想にあたり、時代考証とコンセプトメイキングという極めて重要な役割を担ったのが、日本史学教授であり、世界的ヒットを記録したエミー賞受賞ドラマシリーズ『SHOGUN 将軍』のコンサルタントも務めたフレデリック・クレインス氏(国際日本文化研究センター副所長・研究部教授。専攻は日欧交渉史、戦国文化史)である。同氏は、本作の根底に流れる歴史的テーマについて次のように語る。

(フレデリック・クレインス氏)「兜というのは合戦、合戦といえば戦いということですが、それだけですと深いストーリーは作れないだろうということで、戦国から江戸へ、争いから平和へというストーリーを今回の時計に息づかせています。16世紀の日本、皆様もよくご存知の通り戦国時代ですが、幾つも戦いがあり、多くの武将が天下を目指すという非常に苦しい時代でした。そこで登場したのが、織田信長、豊臣秀吉、そして最終的に日本を統一する徳川家康です。彼らの時代の中で劇的な変化が訪れ、それまで続いた戦乱の世が、平和へと移行していきました」

混迷を収束させ、後に250年以上続く安寧の礎を築いた家康を中心とする武将たちの精神に加え、結束を意味する「車座」の概念。これらをレジェンダリー・ユニバースへと投影することで、本作は兜を戦のための道具としてだけ捉えるのではなく、深い歴史的意義を持たせた。

本機のハイライトは、当然ながら文字盤のインデックス位置に整然と布陣する12個の兜だ。これらは全て18Kピンクゴールドでできており、精緻を極めるメティエダール(芸術的手工芸)のマイクロスカルプチャー(立体彫刻)により、忠実に造形されている。熟練職人が手作業で、ひとつの兜につき2〜3日間の作業をかけて仕上げるという、途方もない労力の結晶である。

そしてクレインス教授が、どうして日本の兜に芸術性が求められたのかについても解説してくれた。

(フレデリック・クレインス氏)「戦国時代に突入すると、火縄銃が日本に入ってきました。従来の鎧は銃に対する防御はほとんど役に立たなかったため、これを補うために鎧を進化させました。そこで兜の鉢が簡素化された一方、いろいろな飾りが付けられるようになります。その大きな理由が、識別です。私がこの鎧を着ているんだ、という他の武将に見せつけるためであり、武功をしっかり認識されるためのアイデアだったわけです。そのため戦国時代の終わりには皆が競って立派な兜を装備するようになり、戦場における人類史上稀に見る、身に纏う芸術品が誕生することとなりました」

本作にあしらわれている兜を纏った12人の武将について、クレインス教授の見解は歴史好きからしても興味深い。

(フレデリック・クレインス氏)「この文字盤に並んでいる12個の兜の持ち主だった武将には共通点があります。この大平の世を作った家康を支えた武将たちです。欠かせないのは、まず四天王。本多忠勝、酒井忠次、榊原康政、そして井伊直政の4人は欠かせませんよね。本多忠勝の勇敢さはよく知られたところですが、興味深いことに57もの戦で一度も負傷していません。それに対して井伊直政は、合戦に参加する度に怪我をしていました」

さらに、行政や文化面から平和な世を形作った武将たちも、重要な役割りを果たした存在として評価する。

(フレデリック・クレインス氏)「水野勝成は鬼日向と呼ばれ、戦場で皆が逃げてしまうぐらいの激しい鬼武将でした。しかし江戸時代に入ると福山藩の藩主になり、そこで非常に聡明な領地運営をして明君とされています。そのため水野勝成は、戦国から太平の世へと移りゆく時代を表す象徴的な武将の一人となったのです。細川忠興は、信長、秀吉、家康という三傑に仕えた武将で、非常に勇敢でもありましたが、どちらかというと文化人として現在では知られています。茶道のほか、和歌を詠んだり絵を描いたりするなど、ユニークな存在でした。彼もまた当時の世の中を映し出す武将と言えるのではないでしょうか」

そして、最も重要な12時位置に鎮座する絶対的な存在について、強い敬意を込めて語った。

(フレデリック・クレインス氏)「やはり中心となる12時位置は、家康の兜をセットすることとしました。この物語の主役ですから。混乱の世の中を治めたという史実は、やはり彼のカリスマ性があってのこと。江戸時代という250年以上にも及ぶ平和の基礎を築いた武将であり、この時計の一番中心に相応しい」


↑12時位置の家康の兜には、長寿と成功を象徴するシダの葉(前立て)があしらわれている。1時位置には鹿角を戴く本多忠勝、2時位置には剣の前立の酒井忠次、4時位置には三鈷剣の榊原康政、9時位置には天衝脇立がそびえる井伊直政といった、各々の兜をセッティング。いずれも輝く18Kピンクゴールド製だ。


↑文字盤の中央には、江戸城の建築を抽象的かつコンテンポラリーに解釈した意匠をあしらう。そんな城郭を想起させるこの造形は、日本の美術や染織文化の中で受け継がれてきた藍染から着想を得たディープブルー、いわゆる勝色/褐色(ジャパンブルー)でコーティング加工。


↑文字盤の幾層にも重ねられた構造の各面には、ポリッシュ、ブライトポリッシュ、サーキュラーブラッシュ、ショットブラストをはじめとする複数種類の装飾仕上げを施す。これによって奥行きのある立体感が生み出され、城郭の存在感が際立つ。

 

ディテールに垣間見れるジュネーブ・シールのプライド

わずか28本の限定生産という超希少ピースである本作は、直径45mm、厚さ16.87mmの大きなケースも、兜のパーツに合わせて18Kピンクゴールド製となっている。そのケースバックからストラップに至るまで、緻密な仕掛けが施されているのもロジェ・デュブイらしい心憎い演出だ。

(ロジェ・デュブイ マーケティングマネージャー/アントワーヌ・アストイ氏)「文字盤の表と背面が、対話しているようなデザインになっています。表の兜と背面の家紋が、対になっているのです。また、ストラップにもこだわり小札(こざね/武士が着用した甲冑を構成する、鉄や革で作られた小さな短冊状の板)にインスパイアされたデザインとしています。ステッチを含めて甲冑をイメージさせるもので、巧みに表現できたと自負しています」


↑サファイアクリスタルのケースバック越しに、卓越した技術の証であるジュネーブ・シールの認証を取得したロジェ・デュブイ自社製造の自動巻き「キャリバーRD821」を鑑賞できる。ブルーコーティングを施したピンクゴールド製リングを配し、そこに12人の武将の家紋をレーザーエングレービングにて精巧に刻む。


↑14種もの入念な仕上げ技法を駆使した「キャリバーRD821」の構造が空間を生み出し、文字盤に視線を惹きつける装飾美として成立させている。リューズ周りにはブルーエナメルリングを添えつつ、3気圧防水を確保した点も見事だ。

 

(フレデリック・クレインス氏)「侍の文化は、人類史上稀有な“装いの芸術”を生み出しました。名匠たちが受け継いできたクラフツマンシップの伝統が今、オートオルロジュリーの芸術と出会うことはごく自然な流れに思われます。いずれの領域にも共通しているのは、一切の妥協を許さず卓越性を追求する姿勢なのです」

クレインス教授がそう語るように、時を告げる道具という概念を超え、歴史の重みと手作業の美学を凝縮させた「エクスカリバー ザ カブト レガシー」。戦乱の世から平和な文化への劇的な移行という日本史の奥深き世界を、オートオルロジュリーの圧倒的な技術と芸術性で描ききった。まさしく、腕元で静かに躍動するハイパーオロロジーと言える逸品だ。


ロジェ・デュブイ「エクスカリバー ザ カブト レガシー」 Ref.DBEX1139 完売済み/自動巻き(Cal.RD821)、毎時2万8800振動、48時間パワーリザーブ。18Kピンクゴールドケース(シースルーバック)、カーフストラップ。直径45mm、厚さ16.87mm。3気圧防水。世界限定28本。

 

問い合わせ先:ロジェ・デュブイ TEL.03-4461-8040 https://www.rogerdubuis.com/jp-ja ※価格は記事公開時点の価格です。限定モデルは完売の可能性があります。

Text/山口祐也(WATCHNAVI)

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