タグ・ホイヤーの人気クロノグラフ、「モナコ」は世界初の自動巻きクロノグラフ・ムーブメントを、同じく世界初の角型防水ケースに搭載して1969年に誕生した。タグ・ホイヤー カレラと同じレーシングウオッチながら、モナコは進化を継続しつつも基本デザインを変えない独自の道を進んだのである。そんな同社のシンボルに、2019年、初めてキャリバー ホイヤー02搭載機が登場。さらにヒストリカルなグレーダイアルモデルや50周年を祝うべく製作された限定バージョンなど、最新モナコを紹介する。
最新自社キャリバーを搭載した次世代のブルーモナコ
限定ではなくレギュラー販売される2本の意欲作
アヴァンギャルドな角型フォルムに角型インダイアルを配した個性的なモナコの意匠は、時代を経ても色褪せることなく高い人気を継続している。現行はキャリバー11を搭載した左リューズと、キャリバー12搭載の右リューズがあるが、50周年を迎えた2019年、2本の新作が登場した。
ひとつは、初代モナコにもラインナップしていたグレーダイアル。2つ目をブラックにして表情を引き締めた。もうひとつは、約80時間パワーリザーブのキャリバー ホイヤー02をモナコに初搭載したブルーダイアル仕様。6時位置のスモールセコンドに、初期モナコに見られるクロスモチーフを配して、歴史的な正統性にも配慮した。
両モデルとも完成度の高さにブランドの本気度が窺える。文字盤カラーとムーブメントで新機軸を打ち出し、次の半世紀を見据えたモナコの拡充である。
サンドブラスト仕上げのモダンなグレーダイアル
「基幹コレクションになる準備は整いました」――スイス本社のヘリテージディレクターへのインタビュー
モナコはタグ・ホイヤー カレラと比肩する存在に
昨秋に行なわれた特別展示会「モナコ50thアニバーサリーエキシビション」のため来日したカトリーヌ女史は、ヘリテージ部門のディレクターとしてタグ・ホイヤーの歴史的なタイムピースの管理・収集や復刻版の企画も担当する。去年5月から始まったモナコ誕生50周年特別限定モデルの第4弾について、彼女に語ってもらった。
「モナコが誕生した1969年当時から10年おきに新作を出していたら、と想定した限定モデルの企画です。第1弾はモデル名の由来となった南欧のモナコで発表した“1969‒1979”で、カーキグリーンの文字盤にコート・ド・ジュネーブ装飾。第2弾“1979‒1989”はマックイーン主演の映画にちなんでフランスのル・マンで発表したディープレッド、第3弾“1989‒1999”はフォーミュラE選手権を控えたニューヨークで、都会のコンクリートをイメージしたグレー、そして第4弾“1999‒2009”は東京、ファッショナブルでモダンなツートンダイアルが特徴です。最後の第5弾“2009‒2019”は10月に上海で発表となりました」
いずれも世界169本限定で発表しては即完売となり、モナコの人気の高さを証明。ただ、「モナコが基幹コレクションとして再出発する、準備でもあった」とカトリーヌ氏は語る。
「タグ・ホイヤー カレラに比肩するコレクションに成長するよう、我々はモナコの歴史を整理し、告知するという基礎作りをしてきたのです。これまでヴィンテージらしさを大切にしてきましたが、それだけではなく、今後は進化したモナコもご覧いただけると思っています」
基幹コレクションとしての準備は整い、次なる第一歩が、右ページで紹介した新作というわけだ。2018年に大きな話題となったバンフォード限定モデルのような新感覚のコラボレーションにも大いに期待したい。
問:LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー TEL.03-5635-7054
https://www.tagheuer.com/ja-jp
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