開発陣もわかってた!? スポーツ特化G-SHOCK「G-SQUAD」の最新スクエアモデルはダウンサイジングが必須だった!
カシオがトレーニング用G-SHOCKのG-SQUADから、オリジンの伝統を受け継ぐスクエアシェイプの新作を発表した。G-SQUADはすでにWear OS対応のPROを筆頭に心拍センサー内蔵のGBD-H1000、エントリーモデルとなるGBD-100を展開中。そのエントリーモデルのデザイン違いとして登場したのが、最新作GBD-200である。いまこのモデルを出した狙いについて、開発本部の2名に羽村技術センターで話を聞いた。
Text/Daisuke Suito(WN) Photo/Takefumi Taniguchi
ユーザーの要望を反映したスクエアモデル
–すでにG-SQUADは価格別に仕様の異なる3つのモデルが存在しています。最新作はG-SHOCKらしいスクエアケースが特徴ですが、これをエントリーラインで出した理由を教えてください。
小島:昨年から発売を始めたG-SQUADの企画当初から、スクエアの形状で出す計画はありました。あえてこの時期にしたのは、第一弾での反響を反映させるためでした。
栗原:新作のGBD-200は、既存の丸型のGBD-100のモジュールをベースに、ランニング計測開始のボタンを右上に置き、新設したフロントボタンでライトを点灯できるようにレイアウトを変更しています。
小島:フロントボタンにライト点灯を割り当てたのは、日が落ちてからランニングをする人がかなり多いということが判明したからです。よく使うボタンはわかりやすいほど良いですからね。こうした微調整を重ねながら、装着感と使い勝手をより高めるべくダウンサイジングを図ったのです。
–同じモジュールとはいえ、外装が変わると耐衝撃性能に問題が出てきたりしませんか?
栗原:モジュールの新規開発は、つねにカスタマイズ性まで見越して行うので、今回のボタン配置も想定の範囲内でした。このあたりの先読み設計は、まさに先人の知恵です(笑)。
–ダウンサイジングとの両立は難しくなかったですか?
小島:特別な耐衝撃構造があるわけではないのですが、GBD-200はフロントボタン部以外のベゼルトップがガラス面にかなり迫っている珍しいモデルです。あらゆる角度からの衝撃に耐えるギリギリの設計を行うことにより、数値だけでなく視覚的にもスリムに見えるフォルムを狙いました。もちろんG-SHOCKですから、20気圧防水ですよ。
–G-SHOCKならではのスペックはスムーズに確保できたようですね。
小島:ガラスとモジュールを樹脂製のインナーケースに収めてウレタン製のカバーで覆い、メタル製の裏蓋で気密性を確保するという構造は、G-SHOCKの王道です。実はGBD-200で最も苦労したのは、ダウンサイジングよりも蛍光イエローの色でした。
鮮やかな蛍光色を維持することの難しさに直面
–これまでもあったように思えますが、違うんですね。正直、よくありそうな色ですが、どこが苦労したのでしょうか?
小島:狙った色と耐久性の両立です。当たり前ですがG-SHOCKは腕時計なので、長く使うことを前提に作ります。開発段階ではサンプルの素材に対して長期使用を想定した耐候性試験などを行うのですが、けっこう変色、褪色してしまって思うようにいかず(苦笑)。
–狙った色をキープしながら成分の配合を変えていくわけですね。
小島:配合を見直し、メーカーに再発注して、届いたものをテストする。それでダメだったら、また違う配合を試す。その繰り返しでだいぶ時間がかかりましたね。しかもこれ、1色と思われるでしょうが、ベゼルカバーの樹脂とバンドのソフトウレタンの2つの素材で色と品質を統一させる必要があったりして皆さんが想像されている以上に、新しい色を作ることはけっこう大変なのです(笑)。もし店頭でみかけることあれば、こうした背景があることを思い出していただけると嬉しいですね。
総評:ランニング初心者には最適な一本
スポーツ特化型G-SHOCKのG-SQUADは、最新作GBD-200の登場によってエントリーモデルが丸型と角形の2種、心拍計付きのGBD-H1000、Wear OS搭載のG-SQUAD PRO GSW-H1000の4タイプが出揃った。価格も2万2000円、5万5000円、8万8000円とわかりやすく性能が反映された価格設定となっている。G-SQUADの選び方としては、まずワークアウトの内容を考慮することが大切だろう。最新作のようなエントリーモデルでもスマートフォン、専用アプリと連携すればGPSを元にした計測距離の補正やライフログをとるなど、複数の機能を使うことはできる。「日々のランニングに使える着けやすい多機能時計」という目的であれば、ダウンサイジングしたGBD-200はむしろ最適と言えそうだ。
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