シン・国産時計【カシオ(CASIO)】編 vol.2 ―― G-SHOCKを進化させる最強素材カーボン 日本が誇る4大ウオッチメーカーの重要人物をルポ

 

ハイスペックを象徴するフォージドカーボンの魅力

フォージドカーボンをバンパーに採用したマッドマスター「GWG-2000-1A1JF」も、いま最も注目すべきG-SHOCKのひとつである。フォージドカーボンといえば、高級時計に使用されている素材。高熱と高圧で金型にプレスをかけることで、強度を保ちながらも比較的成形の自由が利くのが特徴だ。

(齊藤さん)「フォージドカーボンは、炭素繊維の方向が直線方向となる積層カーボンとは異なり、細かな炭素繊維がランダムに成形されることで、複雑な形状の強度を保つことができるのです」

 

これは、G-SHOCKとカーボン素材との親和性の高さを裏書きするものだろう。

(齊藤さん)「カーボン繊維に樹脂を含浸(がんしん)させて成形するのが基本技術。ですから、フォージドカーボンは、もともと持っている樹脂設計のノウハウを生かせるのです。そのぶん、樹脂では務まらなかった薄肉パーツもフォージドカーボンで作成すれば強度が担保できますし、メタルパーツとも代替可能。デザインの幅がとても広がりました。マッドマスターで使用するバンパーでは、そうしたメリットが遺憾なく発揮されています」

G-SHOCK マッドマスター「GWG-2000-1A1JF」9万9000円

瓦礫や土砂の堆積するような環境での使用を想定した防塵・防汚構造のマッドマスターシリーズ。装着感向上のために、薄肉に成形したフォージドカーボンのバンパーを設けることで、強度を維持しながらケースの小型化を成功させた。

スペック:クオーツ(ソーラー)。カーボン樹脂+ステンレススチールケース(グレーIP加工)、フォージドカーボンベゼル、内面反射防止コーティングサファイアガラス風防、樹脂バンド。縦61.2×横54.4mm(厚さ16.1mm)。質量106g。20気圧防水。

GWG-2000シリーズ/搭載機能一覧
●耐衝撃構造(ショックレジスト)
●防塵・防泥構造(マッドレジスト)
●カーボンコアガード構造
●マルチバンド6(世界6局標準電波受信システム)
●タフソーラー(ソーラー充電システム)
●トリプルセンサー(方位、気圧・高度、温度表示)
●ワールドタイム
●ストップウオッチ
●タイマー
●アラーム/時報
●フルオートカレンダー
●操作音ON/OFF切替機能
●針位置自動補正機能
●パワーセービング機能
●バッテリーインジケーター表示
●12/24時間制表示切替
●針退避機能
●ダブルLEDライト(ホワイト色)
●ネオブライト

 

《取材協力者》
カシオ計算機株式会社 技術本部 開発推進統轄部 プロデュース部 第一企画室 室長/齊藤慎司さん

1998年入社。BABY-Gの企画やエディフィスなどの一般時計企画を経て、2007年よりG-SHOCKの企画を担当。2019年より全ブランドの商品を統括し、カシオの腕時計の舵取りを仕切るキーパーソンでもある。

 

問い合わせ先:カシオ計算機 お客様相談室 TEL.03-5334-4869 https://gshock.casio.com/jp/

Text/高村将司 Photo/唐澤光也(RED POINT)

  1. 1
  2. 2
TAG

人気のタグ