グランフロント大阪にできた“ポストヴィンテージ”ウオッチショップ「BEST VINTAGE」ならかつての憧れが見つかるかも？

2022/4/28 12:00

インタビュー
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東京を拠点に時計店を展開するBEST ISHIDAが、梅田駅至近の商業施設「グランフロント大阪」2Fに新店舗を出店した。2000年ごろまでに製造された“ポストヴィンテージ”ウオッチを中心に扱うという「BEST VINTAGE」を取材した。

Text／Daisuke Suito（WN）　Photo／Keiichi Wagatsuma（ONE PUBLISHING）

1990年代のブームからの時計好き感涙の品揃え

グランフロントにあるBEST VINTAGE（大阪府大阪市北区大深町4-20 南館2F／06-6743-4451）。

機械式腕時計は1900年ごろから製造がはじまり、1世紀ほどの間に紆余曲折を経て現在にいたる。1970年代以降のクオーツウオッチ流行以前は機械式時計が生活必需品として欠かせなかったため、いまも探せば多くのヴィンテージウオッチが存在している。一貫して頑丈な時計を作ってきたロレックスや、いつの時代も大切に扱われるパテックフィリップのような人気ブランドで状態の良い、いわゆるミントコンディションのものなら、世界的オークションハウスで出品されることもあり、機械式時計にはタイムレスな魅力があることがわかる。

一方で、安価なクオーツウオッチの隆盛により機械式時計の需要は激減。スイス時計産業は一時大きなダメージを受ける。それでも再興できたのは、オーデマピゲやブライトリング、ユリス・ナルダンといった名門が、1970年代以降も機械式時計の製造を続け、革新的な製品を世に送り出してきたからに他ならない。かくして機械式時計を愛する人々を中心にその価値が世界各地で見直されていき、日本でも1980年代以降の好景気からその後の有名タレントの着用などもあって機械式時計ブームが到来。時計愛好家の増加に比例し、全国各地に時計専門店が増えていった。

今回取材したBEST VINTAGEが掲げる“ポストヴィンテージ”とは、まさしくブーム到来の1990年代以降に作られた腕時計が品揃えの中心となっている。この時代に機械式時計を好きになった人なら、懐かしさのあまり涙を流すことになるだろう。

「当店には、現在からさかのぼって30年前ぐらいまでのアイテムを中心に300本ほどのストックがあります。在庫状況は、新宿店と兼用のオンラインストアで見ていただくことができます。両店舗合わせて約2000本のストックは、国内最大級だと思います」（BEST VINTAGE店長・山﨑倫照さん）

カルティエ、シャネル、エルメス、ゼニスのレディスウオッチの横並びは、ショップの品揃えを象徴している

中古時計店というとロレックスばかりが並んでいるイメージを持ってしまうが、BEST VINTAGEはブランド数がとにかく豊富。そのどれも状態が良く、なかには防水性が保たれたモデルもある。これは余談だが、ヴィンテージウオッチは経年劣化によって防水性が失われており、ゆえに取り扱いに注意が必要。これが多くの人にとってヴィンテージウオッチが手を出しにくい理由のひとつとなっている。

「施設内の立地的に女性が多いフロアでもあるので、いまはカルティエの商品はとくにたくさん見ていただけるように並べています。特定のブランドに頼らず、ブランド数にこだわる方針が新鮮なようで、以前ご来店くださった時計趣味歴が長いという方には『これまでにない時計店だ』というお言葉をいただきました。BEST ISHIDAは時計専門店として長く培ってきた知識と経験がありますし、ポストヴィンテージの腕時計を新品のときから販売していた実績があります。品揃えだけでなく、買い付けから店頭に出すまでのメンテナンス等までかなり入念に行っており、どれも安心してお買い求めいただける品だという自負があります」

オープンからまだ日が浅く、店舗の運営は手探りの状況だというが、出足は好調だという。追い風となっているのが昨今の時計人気で、実際かなりの確率でリセールのことが接客時の話題になるという。

「有形資産としての価値は気になりますよね。当店にはその道のプロがいますし、実機の買い取り査定もできますので、お気軽にご相談ください。リユース品の鑑定は特殊技能のため現状は大阪に担当者がいるタイミングに限られてしまうのですが、ゆくゆくはリモート査定ができる環境を導入し、関東と関西のどちらもフルタイムで査定対応していきたいと考えています。新宿店との連携は常にとっているので、オンラインストアに出ている新宿店の在庫を取り寄せ、後日ご覧いただくこともできます。それ以外にも気になることがあれば、なんでもお申し付けください」

サステナブルな時計趣味の楽しみ方として定着しそう

取材時には現行品では見ることのできないユニークなスクエアシェイプのパテックフィリップのウオッチも見られた

資産価値の話はさておき、機械式時計は正しく扱えば何世代にもわたって使い続けることができる。もちろん次世代のオーナーが、必ずしも肉親や知人・友人であるとは限らない。手放す理由も人それぞれだ。ただひとつ言えるのは、いま流通しているヴィンテージウオッチの多くが、防水性を失ってもなお大切に扱われ、現代まで残ってきたという点。そのようにして時代を経てきた腕時計に希少価値がつくのは当たり前のことだし、もしそれら腕時計の長い歴史の一旦を担うのであれば覚悟と責任を持ってほしいと思う。

魅力的な価格で人気を博したかつてのスピードマスターオートマティックデイトなど、オメガの腕時計も豊富に揃う

一方で、そのような重厚な歴史を持たないリユース品であれば、新品とほぼ同じような状態の時計を、しっかり自分のものとして楽しむことができる。BEST VINTAGEの新店舗が掲げる“ポストヴィンテージ”ウオッチは、まさしく最高の選択肢だろう。さらに言えば、正規店としての知識と経験が豊富な同店の品であればアフター含め安心だ。その信頼感を象徴するのが、ブライトリングの正規認定中古品の取り扱い。ブランド公認の中古品販売は、実績無くしてできるものではない。いままさに時計購入を検討している人は、ユーズドウオッチの購入に格別の満足感をもたらすBEST VINTAGEという存在に、一度目を向けてみてはいかがだろう。