IWCシャフハウゼンのブランドバリューを高めた功労者、ジョージ・カーン氏が【ブライトリング(BREITLING)】のCEOに就任したのが2017年7月のことだった。彼の改革のひとつに熱心なコレクターを商品開発の場に参加させて、その知識や知見を製品作りに生かすというものがある。まさにこれを実行しているフレッド・マンデルバウム氏に話しを聞く機会を得たため、開発に関わったという新型ナビタイマーや復活を果たしたコスモノートについて尋ねた。
ジョージ・カーンCEOに見出され、“世界一のブライトリング・コレクター”として認められたフレッド・マンデルバウム氏。豊富な知識をもとに、ブライトリングの製品開発にも深く携わる
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ヴィンテージアイコンを現代的な解釈を持って復活させる
1884年創業のブライトリングには膨大な量のアーカイブピースが存在する。ときにはそれらを知る熱心なファンの声によって、これまでになかった“化学反応”が引き起こされ、新しいタイムピースが生み出されることもある。
(フレッド・マンデルバウム氏)「ブランドのヘリテージにルーツを持つすべてのブライトリングの時計と同様に、私はブライトリングのクリエイティブデザイナーであるシルヴァン・ベルネロンと、現代的な解釈を持ってヴィンテージアイコンの本質を呼び戻すために熱心に話し合いました」
1962年、スコット・カーペンターがマーキュリー・アトラス7号に乗り込み、地球周回軌道を3周して無事に帰還した。このNASAによる宇宙ミッションでは、コスモノートのプロトタイプが彼の腕に巻かれ、使われたことが知られている。60周年となった今年、この伝説的な腕時計を復活させるプロジェクトを実施。これにもフレッド氏が貴重なアドバイスを送っていた。
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70年の歴史に敬意を払い、すべてを新しく
今年3月のローンチ以降、好調と聞くナビタイマーのニューモデル。ブランドに留まらず、航空時計のアイコニックピースであるコレクションの開発には、限りないリスペクトを持って挑んだという。
「新型ナビタイマーは、歴代モデルのすべてを参考にしています。そこからナビタイマーたらしめている要素を書き出して最新の技術と感性で再考した結果、すべてが新しいモデルになりました。AOPAロゴの採用も、タキメーターをなくしたことも過去に例があることで、何も突発的なことではありません。
一方で、カラーバリエーションの多くが新色なので、その点は珍しいと思います。アイコンとしての確立されたデザインに軽やかさや楽しさが加わったので、さらに多くの人に愛されてほしいですね。
今年はAOPAへの協力が始まって70周年という節目。モデルチェンジにはとてもいいタイミングだったと思います。チーム一丸となって完璧を目指し、できることを尽くしました。手に取った際は、あらゆる細部をじっくり見てほしいです」
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次に開発に取り組みたいと思っている歴史的モデルがあるのか尋ねると、次のような回答が得られた。
「将来の計画についてコメントすることはできませんが、1世紀以上にわたるアイコニックなデザインをカバーするブライトリングの豊かなバックカタログを見ると、もっとたくさんあると確信しています。ジョージがいつも言っているように、“覚えておいてください、これはほんの始まりにすぎません!”ということです」
今まで掘り起こされていなかったブライトリングの魅力が、フレッド・マンデルバウム氏の参加によって一気に呼び覚まされる可能性を感じずにはいられない。新しいコスモノートとナビタイマーに市場は衝撃を受けているが、次なる“化学反応”にも期待したいところだ。
問い合わせ先:ブライトリング・ジャパン TEL.0120-105-707 https://www.breitling.com/jp-ja/
Text/WATCHNAVI編集部
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