精密な機械製品である腕時計には、さまざまなトラブルが生じるもの。日頃のケアをしていても落下事故やサビ、作動不良など、トラブルの進行具合によってはどうしてもプロの手が必要になることがありますよね。そんな“イザ”というときに、実際はどのぐらいの費用がかかるのか? トラブル別に修理内容と費用の目安をご紹介します。
【リューズを回す際に少しグラつく感じがする】
リューズにはもともと、操作しやすいように多少の「遊び」が設けられているので、ある程度はグラつくもの。ですが、それがあまりに大きいようなら、リューズ部品自体が劣化して緩んでいるか、リューズをムーブに固定する内部のネジが折れるなどの損傷が原因です。リューズは繊細な部品なので、無理に引いたりせずに、ソフトに操作するなど慎重な操作を普段から心がけましょう。
【修理の内容は?】リューズ部品の劣化の場合は、部品ごと交換します。内部機構のネジ(オシドリネジ)などが損傷している場合は、ムーブを分解しての部品交換と再調整が必要になります。
【費用の目安は?】1万円前後~(リューズ交換)、4万円前後~(3針モデル・オーバーホール)+部品代
【ゼンマイを一杯に巻いても、1日もたなくなった】
自動巻きの場合でも、普段の生活では巻き上げが不十分になりがち。まずは手巻きで一杯まで巻いて、パワーリザーブを正確に測定しましょう。規定時間よりも極端に少ない場合は、オーバーホールの不実施による油切れや、巻き上げ機構のトラブルが原因の例が多いです。
【修理の内容は?】古くなった油の洗浄や再調整など、オーバーホールを実践。パワーリザーブが低下する症状が出ている場合は、ゼンマイや割列、テンプ回りなどに油の劣化に起因する損傷(摩耗や歪み)が生じている危険もあるので、念入りに検査します。異常があれば部品も交換することに。
【費用の目安は?】4万円前後~(3針モデル・オーバーホール)
【デイト表示が動かなくなった】
日付表示は、1 〜31の数値が描かれた日付け盤が回転することで小窓に表示されますが、この日付け盤と、それを1日1回動かす歯車や爪が噛みあっている時間帯(およそ午後9時〜午前3時)に日付け調整を行なったため、日付け盤か歯車(爪)が損傷している可能性が高いです。機械式時計は上記の時間帯は“日付け調整NG”なので、操作時は十分に気を付けてください。
【修理の内容は?】日付け盤の損傷なら該当箇所の部品交換と再調整だけで済み、比較的軽度。歯車や爪の損傷なら重度で、ムーブを分解しての部品交換や再調整などを要します。
【費用の目安は?】1万円前後~(デイト盤代+交換代)、4万円前後(3針モデル+オーバーホール)+部品代
今回ご紹介したトラブルは、いずれも4万円前後で修理できるものですが、状態によってはさらに費用がかかる場合もあります。日頃のケアがトラブルを未然に防ぐ効果にも繋がるので、メンテンスなどはしっかりと行うようにしましょう。
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