2015年に現在の住所に移転したビクトリノックス 銀座店が、このほど最新コンセプトにリニューアルした。マルチツールの活用シーンをわかりやすく開設するディスプレイを新たに導入するなど、まったく新しくなったショップの全貌を公開しよう。
売り場面積を広げ、天井高も上げてより開放的になった店内に工夫が満載
スイスを代表するブランドとして知られるビクトリノックスが、銀座にあるフラッグシップストアをリニューアルした。ブランド最新のコンセプトの導入は、スイスのブルンネン店、イギリスのロンドン店に続いて世界で3店舗目となる。店内は、ブランド名の一部でもあるステンレス鋼(=INOX)を随所に取り入れながら、スイスの自然を想起させる木製パネルなどを配置。日本の伝統的な格子を外観に取り入れながらも2階に達するステンレススチール製の外壁とシンボリックな赤の看板により、遠くからでもストアの存在が際立っている。こうした洗練されたショップにいると、それだけでビクトリノックスのアイテムの所有者であることが誇らしい気分になってくるようだった。
店内はよりシンプルで開放感にあふれた作りになり、また各アイテムの魅力をわかりやすく伝える工夫が凝らされていた。もっとも有名なマルチツールのコーナーは「EVERYDAY」「OUTDOOR & SPORTS」「TRADES & CRAFTS」の3つにカテゴライズ。壁面には商品の機能や特徴を記載した12個の回転パネルで各ツールの使用シーンを解説する要素が新たに加わり、自分のライフスタイルに合ったツールの組み合わせが直感的に選びやすくなっている。
その隣には主力シリーズであるI.N.O.X.を中心に、スイスのデレモンにある自社工場で設計、製造、テストを行ってきた多彩なウオッチを展開。長年の時計通をも唸らせてきた美しい仕上げとタフ設計を兼ね備えたコレクションは必見だ。さらに店内奥にはトラベル&ビジネスギアのコーナーを展開。ここでは、バッグパックやスーツケースなど大小さまざまなアイテムを取り揃えている。大型のスーツケースも余裕で広げられるフェルト貼りのインタラクティブテーブルが用意されているので、実用性にこだわるブランドの真髄ともいうべき機能性が詰まったラゲッジの実力を存分に試すことができる。
いや、できた。
というのも、実は筆者は実際にこのテーブルのお世話になり、プレスプレビューの日にも関わらずビクトリノックスの方々も愛用しているという「アーキテクチャー アーバン2 デラックス バックパック」を思わず衝動買いしてしまったのである。買った本人が実際に活用したのだから、このテーブルは間違いなく使い勝手が良い。

ちなみにこぼれ話として、ガラスのファサードからも見える大型のマルチツールのオブジェは総重量300kgに迫るそうで、これを設置するのに大変な苦労をしたとか。また、マルチツールと時計のコーナーを仕切る柱に記された「THE MAKERS OF THE ORIGINAL SWISS ARMY KNIFE™」(=オリジナルのスイスアーミーナイフのメーカー)の文字も本社のこだわりを優先して、翻訳せずに英文のまま掲出したそうだ。実際、ビクトリノックスはスイス国旗をアイテムに使うことが許された数少ないブランドである。そのことを銀座を往来する多くの外国人にも伝えるのならば、英文表記という選択は大正解だろう。
リニューアルした店舗のテーマは「ビクトリノックスジャパンホスピタリティー」とのこと。プレスリリースによれば、“日本とビクトリノックスの歴史や文化を融合させ、日本の商業・文化の中心地である銀材にふさわしい最上級のおもてなしを提供します”とある。スイスの高級時計は何かと価格高騰が取り沙汰されるようになって久しいが、純然たるスイスメイドを貫くビクトリノックスはいまなお良心的なプライスを維持している。本物志向の人であればあるほど、いまこそビクトリノックスに注目すべきではないだろうか。そう思わずにはいられないほど、魅力あふれるフラッグシップストアとなっていた。
【ビクトリノックス 銀座店】
●東京都中央区銀座8-6-3 1F
●03-5537-5832 ●11:00-20:00(日祝-19:00)
https://www.victorinox.com/ja-JP
Text/Daisuke Suito(WATCHNAVI)