『GMW-B5000D』を目にした瞬間の衝撃
文/竹石祐三
2018年3月。初めてこの時計を目にしたときは正直、身体中に衝撃が走った。だって“あの”G-SHOCKの5000系が、デザインはそのままにフルメタル化して見違えるようにカッコよくなったわけだから、そりゃあ90年代のG-SHOCKブームを体験した世代としては、思わずガッツポーズもとるでしょうよ。しかも、そんな人間は世の中にゴマンといたようで、フルメタルのG-SHOCKは4月に発売されるや瞬く間に店頭から姿を消し、その後も入荷はしているものの、予約待ちの状態が続いているのだとか(レギュラーモデルであるにも関わらず、だ)。
本当に運良くこの『GMW-B5000D』を手にすることができ、1カ月以上が経ったが、その魅力は全く色褪せない……どころか、手にして以来、外出するときはほぼこのモデルしか着けていないような状態。それくらい『GMW-B5000D』は魅力に満ちあふれている。
1983年のデビュー以来進化を続けるG-SHOCKだけに、当然『GMW-B5000D』も機能面は充実している。まず、多彩な機能を安定駆動することが可能な大容量のタフソーラーを搭載しているから電池切れの心配は無用。そして、世界6局(日本2局、中国、アメリカ、イギリス、ドイツ)の標準電波を受信して時刻を自動修正する「マルチバンド6」を採用しているうえに、このモデルはBluetoothも搭載しスマートフォンとのリンクにも対応。世界約300もの都市とオリジナルポイントのワールドタイム設定が手軽に行えるのだから、日常使いはもちろん、頻繁に海外へ渡航する人にとっても便利このうえない。
そして、G-SHOCKの核となるタフ性能だが、『GMW-B5000D』では耐衝撃構造をいちから見直したのだという。それもそのはず。これまでG-SHOCKで採用されてきた樹脂と比較するとステンレスのほうが圧倒的に重く、落下時衝撃はステンレスのほうが大きくなる。そこでカシオでは、モジュールを保護するケースにファインレジンの緩衝材をセットしたダンパー構造を採用。この内部構成や緩衝材の形状にはかなりの試行錯誤があったようだが、結果、ORIGINのルックスはそのままに、ステンレスの落下時衝撃にも耐える新たな構造が実現したというわけだ。
……と、こうした機能や性能も『GMW-B5000D』の魅力ではあるのだが、初めて見たときに衝撃を受けたのは、何よりもそのルックス。誕生以来35年にわたるスクエアフォルムのデザインがステンレスで生まれ変わり、その加工処理はずっと眺めていたくなるほど。これぞ、美しすぎるG-SHOCK!
聞けば、この金属加工や仕上げも相当に手間がかかっているという。従来の樹脂モデルは金型に液体の樹脂を流し込む射出成形が用いられているが、これをメタルに利用すると加工が難しくなってしまう点から『GMW-B5000D』ではステンレスをプレスして成形。しかも、1回ごとのプレスのあとに、焼き鈍しや研磨などの工程を挟みつつ、10回以上もプレスしているのだとか。この手間、そしてこの仕上がり。6万円はハッキリいって、安い!
今でこそ、G-SHOCKは腕時計のスタンダードとなり、ジャケットスタイルに合わせることも当たり前の光景になった。しかし『GMW-B5000D』はステンレスケース&ブレスレットにより、ジャケットスタイルとも好相性。一方で、カジュアルなコーディネートにおいても、これまでのG-SHOCKとはひと味違う雰囲気を醸すことになった。ピッカピカに磨き上げられたケースとブレスレットはラフなスタイルのアクセントになってくれる。しかも、Tシャツ&ショーツのようにシンプルなコーディネートであればあるほど、時計の存在感が際立ってくる。フルメタルG-SHOCKを着けていることのうれしさを実感させてくれるのだ。
『GMW-B5000D』を手に入れてから2週間が経ったある日。ケースにキズが入ったときにはさすがにへこんだが、こうなったらガンガン使いまくって、キズだらけになったG-SHOCKを着けてやろうかと、ようやく思えるようになってきた。ピッカピカのG-SHOCKもたしかに美しいけれど、キズだらけでもものすごくカッコいいのではないか……!? それを期待させてくれるだけの魅力が『GMW-B5000D』にはある。
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