【全エンジニア悶絶!】スイス伝統の時計製造技術の粋を集めたピアジェの世界最薄(厚さ2mm!)機械式ウオッチは羽根のような着け心地だった

5つのパートに多くの特許技術を組み込む

「アルティプラノ」アルティメート・コンセプトには、多くの特許技術が使われているそうです。部位でいえば大きく「主ゼンマイ」「脱進・調速機構」「巻き上げ機構」「リューズ」「ガラス構造」の5つに分けられるとのこと。

ピアジェのウォッチ マーケィング マネジャー、マーク・メナント氏が、コンセプトウオッチの要点をプレゼンテーション

「主ゼンマイ」の機構では、主ゼンマイを収める香箱は使わず、地板代わりの裏蓋に直接セットする方式を採用。主ゼンマイが当たる部分にはブラックPVD加工を施し、見た目の美観も保ちながら耐摩耗性を高めています。この主ゼンマイを約100個のセラミック製ボールベアリングの内周に取り付け、角穴車を香箱の蓋代わりに被せることで高さを抑えながら、約44時間パワーリザーブも実現する高効率な構造を作り上げたわけです。

主ゼンマイの上に被さる歯車が巻上げを行う。動力の伝達は、裏蓋側にあるボールベアリング内周に設けられた歯車を介して輪列に伝わっていく

「脱進・調速機構」は、時間を正しく示すために欠かせない装置。本機では、テンプ受けを使わないフライング式の構造になっており、テンプの下層のみで支えられています。その支えをアンクル受けと同じ高さにすることで、厚みを抑えているわけです。ちなみに、この部分にもボールベアリングが使われており、一般的な耐震装置であるインカブロックに代わってテンプにかかる衝撃を分散するようになっているとのこと。

開発責任者であるジェローム氏の解説。モニター左側がインカブロック耐震装置を使ったテンプ周りの一般的な構造。対して右側のコンセプトウオッチではテンプの軸を下側のみで支える構造にして厚みを抑制。緩急調整はひげゼンマイを留めるひげ持ちの位置を動かして行う仕組みだ

「巻き上げ機構」は、キチ車を使った一般的なメカニズムでは高さが出てしまうため、巻き芯にウォームギアを使用した独自の「インフィニットスクリュー」というメカニズムを採用。時刻合わせと主ゼンマイの巻き上げの操作の使い分けを、驚くほどの薄さの中で行えるようしています。

巻き芯の延長線上に見えるスクリューが薄型化の要所。軸の回転をダイレクトに歯車の水平回転に変えることで厚みを抑えている。リューズのポジションを変えると黒いプレート内に収まったユニットなどが動き、ゼンマイ巻上げや時刻合わせが行えるようになる

「リューズ」は、ラウンドケースとシームレスに収まっています。一見すると、リューズがないように見えますが、実際は2段階に引き出すことができます。ただし、この繊細なパーツを直接操作してしまうと破損しかねないため、この時計のためのワインディングデバイスが付属。ワインディングデバイスもピアジェが製作した特別品です。

コンセプトウオッチのプロモーションムービーのキャプチャー。ワインディングデバイスの先端で極薄ケースを挟み込み、その内側で回転するパーツによってリューズ操作を行う

最後は「ガラス構造」。時分針とテンプの周りには囲いがしてあるのですが、この囲いがサファイアクリスタルガラスとパーツとの接触を防ぎます。厚さ2mmの時計を目指すには歯車やパーツの重なる部分の隙間を極限まで詰めるわけですが、その一方でしっかり使うことを念頭に置いた設計にもなっているわけです。ちなみに、ケース素材にはコバルト基合金が採用されており、地板代わりにもなっている裏蓋の難しい設計を実現しながら、装着に耐える高い剛性も保持しているとのこと。

サファイアクリスタルの厚みはわずか0.2mm。これをケースの枠内に収めて厚さ2mmの腕時計が完成となる。メンテナンスの際には巻き芯の軸穴の付近にあるもう一つの穴から気体を入れ、内部からの圧力でガラスを外す

 

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