自社の持てる技術で成し遂げた世界最薄記録
この時計の構成パーツは283個。ぱっと見ではそんなに多くないのでは? と思ってしまいますが、話を聞くと283個のうちの約半分は多くのセラミックボールを内蔵したボールベアリングが占めているんだそう。
さて、ここまでニコレ氏を筆頭とするピアジェの設計者・技術者・時計師たちの涙ぐましい努力の数々を見てきましたが、日進月歩で技術が進化しているなか、なぜ「アルティプラノ」アルティメート・コンセプトの開発に4年もの歳月がかかったのでしょうか?
それは、この時計の製造には全く新しい素材も、LIGAのような超精密加工技術も使われていないから。ここがピアジェの一番こだわったポイントだったそうですが、「自分たちが培ってきた時計製造技術だけで世界最薄の腕時計を作る」ことが、プロジェクトのテーマだったとマーク氏は教えてくれました。厚さ2mmの世界最薄ウオッチは、新たな設備の導入などではなく、完全にエンジニアの創意工夫によってのみ成し遂げられた偉業というわけです。
このコンセプトウオッチの市販化は予定していないそうですが、考案した様々な技術は今後のピアジェの新作にフィードバックされていくことでしょう。
長年蓄積されてきた技術力はもちろんですが、「アルティプラノ」アルティメート・コンセプトで真に驚くべきは極薄ウオッチ製造を追求した人々の想像力でしょう。スマートウオッチとはまったく異なる形で時代の最先端をいく、スイスの高級時計製造。その発展にまだまだ終わりはないようです。
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