【IWC】の2大コレクション「パイロット・ウォッチ」&「ポルトギーゼ」の最新モデルを着用インプレッションを含めて大解剖

2021/11/26 12:00
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スイスの伝統的時計技術とアメリカ式の機械技術を融合し、1868年に創業した【IWCシャフハウゼン(IWC SCHAFFHAUSEN)】。近年はタイプの異なる6大シリーズを展開しており、2021年については多くの人々に愛されている「パイロット・ウォッチ」と「ポルトギーゼ」にニューモデルを投入した。これらをWATCHNAVIの独自目線で検証する。

 

<パイロット・ウォッチ>世界に知られた航空部隊の期待に応える高性能モデル

既報の通り、2021年のIWCシャフハウゼンの新作主役は「パイロット・ウォッチ」だった。最大の話題は、クラシックなビッグ・パイロット・ウォッチとパイロット・ウォッチ・クロノグラフの小径モデルの追加。軟鉄シールドを外したスタイルは同シリーズにライフスタイルの中での航空時計という新たな方向性をもたらした。その一方で、1936年から85年の伝統を持つパイロット・ウォッチにエポックメイキングな新作も加えられることとなった。

セラミックケース採用の“トップガン”から登場したのは、米国海軍の部隊に由来する三部作。IWCシャフハウゼンは2018年よりこの“トップガン”ラインを発表し、米国エリートパイロット養成機関との協力関係を続けてきた。カラーセラミックケースを“ブルーエンジェルズ”に使うなどは、まさしくパートナーあっての挑戦。世界に知られた部隊に相応しい実戦仕様のクロノグラフを作り上げた功績を、賞賛したい。

 

ミリタリー然とした大型の屈強クロノグラフ

「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ “ロイヤル・メイセス”」Ref.IW389107 137万5000円

現在、日本の岩国航空基地を拠点とする米海軍第27戦闘攻撃飛行隊との共同開発による軍専用モデルに着想を得た一本。部隊マークに由来するイエローを随所に効かせたブラックセラミックケースは直径44.5mm、厚さ15.7mmと大振り。自社製キャリバー69380を搭載する。6気圧防水。年間500本限定製造。

 

ブルーセラミックケースにイエローを配して伝統を表敬

「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ “ブルーエンジェルス®”」Ref.IW389109 137万5000円

現存する近代アクロバットチームの中で最も長い歴史をもつ1946年発足の「ブルーエンジェルズ」をイメージした一本。伝統的な青ベースに黄色のラインという隊のカラーを、直径44.5mmのブルーダイアル&セラミックケースでユニークに再現した。自動巻き。6気圧防水。年間500本限定製造。

 

現役最古の部隊に捧ぐ赤が目を引く航空クロノグラフ

「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ “トップハッターズ”」Ref.IW389108 137万5000円

米国カリフォルニア州リムーア海軍航空基地に拠点を置く第14戦闘攻撃飛行隊へのオマージュモデル。他モデルと同じく、ケースバックはグレード5チタン、プッシュボタンとリューズには独自のセラタニウムを使用。随所に配された赤の挿し色が個性的だ。自動巻き。6気圧防水。年間500本限定製造。

 

《着用インプレッション》3部隊の名誉に相応しい絶大な信頼感

セラタニウム製ボタンを通じて操作する自社製クロノは確かなクリック感で反応速度も良好。全体のサイズが大型なので細腕への収まりは確認する必要はあるが、本体の適度な重みに軍用モチーフらしい頑健さを感じた。

 

<ポルトギーゼ>スポーツウオッチとは一線を画す堅牢モデル

2020年にコレクションが刷新されたIWCシャフハウゼンの大定番「ポルトギーゼ」。中でも注目を集めたのが、1939年の初代モデルを想起させるスモールセコンド仕様のオートマティックモデルの発表だった。

人気モデル「ポルトギーゼ・クロノグラフ」の直径41mmよりもさらに小径となった40.4mmは、シリーズ最小。これにレイルウェイミニッツトラックとアラビア数字、リーフ針という、アイコンデザインを取り入れたクラシカルなスタイルが、近年の時計ファンの要望と見事にマッチした。しかも、シンプルなようでいて内部にはマニュファクチュールキャリバー82200を搭載。2.5日間のパワーリザーブは、高効率巻き上げを行うペラトン自動巻き機構によって精度安定性を確保。31石もの受け石を使っている点に、時計の堅牢性が伝わってくる。

この新たな定番品に、2021年からはブレスレット仕様が登場。ポリッシュを効かせた中ゴマが存在感を主張し、グッとモダンな印象になった。観音開きのバックルを含め、今回のブレスレットのデザインは、いずれもスポーティな雰囲気が魅力の「ポルトギーゼ・ヨットクラブ・クロノグラフ」のブレスレットと共通するが、ラグ幅は20mmでの設計。これは本機に先行して登場したクロノグラフで展開されているものと同じである。

普段使いできる高級時計としてポルトギーゼはすでに圧倒的な支持を得ているものの、レザーストラップはどうしても交換の時期が来てしまう。ブレスレットであれば長年にわたって使い続けられる。つまり本機ならば長く使うほど、ランニングコストを抑えられるという利点を享受できるのだ。

IWCシャフハウゼンは、そもそも150年以上の歴史で手がけてきた、いかなる製品でもメンテナンス対応する「永久保証」を謳っており信頼性が高い。そのうえ、My IWCに登録すれば国際保証を通常の2年から最長8年に延長するとも宣言。新設計キャリバーのファーストロットやコンプリケーションウオッチなどでも、安心して使うことができる。その中でもとことん長く使うことにこだわるならば、ポルトギーゼのブレスレット仕様は極めて賢い選択と言えるだろう。

 

クリーンな白文字盤に長く愛せるブレスレットをセット

「ポルトギーゼ・ オートマティック 40」Ref.IW358312 90万2000円

ブルーの針とインデックスが映えるホワイトダイアルの3針ポルトギーゼに、ブレスレット仕様が加入。60時間パワーリザーブを有する自社製の自動巻きキャリバー82200の搭載、直径40.4mmの程よいサイズと合わせ、より普段使いに向く一本となっている。ステンレススチールケース。3気圧防水。

 

《着用インプレッション》幅20mmのブレスレットがしなやかに馴染む

ポルトギーゼの最小径モデルは、先行展開されているクロノグラフのブレスと同じく、一般的な20mm幅の設計で違和感なし。シースルーバックから見えるセラミックパーツを含んだペラトン自動巻き機構に、所有欲が満たされる。

 

問い合わせ先:IWCシャフハウゼン TEL.0120-05-1868 https://www.iwc.com/jp/ja/

 

構成・文/水藤大輔(本誌) 撮影/吉江正倫(ポルトギーゼ、着用インプレ)

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