1926年に設立されたスイスの高級時計ブランド【チューダー(TUDOR)】が、先月(2022年7月)よりリリースを開始したシンプルな3針ウオッチ「レンジャー」。発表されるや否や、SNS上で話題をさらったモデルである。その魅力を実機に触れた感想を含め、レポートする。
1952年に実施された性能テストがブランド哲学を形成するきっかけになった
チューダーの最新作「レンジャー」のルーツを辿ると、1952年まで遡る。当時、チューダーは北グリーンランド遠征へと赴くイギリス海軍に自社のオイスター プリンスの性能テストを依頼し、極寒の過酷な環境においても正確に時を刻むことを証明した。これがきっかけとなり、耐久性や精度をとことん追求するブランドの哲学が構築されたという。この歴史的な快挙から70周年となる今年、オリジナルモデルへの賛美と冒険の精神を体現する“ツールウオッチ”として、新型「レンジャー」は開発された。
デザイン、サイズ、スペック、プライスまで満足感に満たされる
本機は、歴史の中で確立された3・6・9・12のアラビア数字とバーから構成されるグレイン仕上げのマットブラックダイアルを採用。各インデックスに加えて各針には、ややベージュがかった蓄光塗料が塗布されている。とくにインデックスは縁を備えていなかったり、アロー型の時針や角張った秒針もオリジナルモデルを彷彿とさせるデザインだ。ドームフォルムのサファイアクリスタル風防もこだわりのポイントで、往年のチューダーファンやヴィンテージコレクターも納得の佇まいと言えよう。
ハイスペックな自社ムーブメントで完全武装
また、本機にはケニッシと共同開発したマニュファクチュールムーブメントが搭載されていることも見逃せない。シンプルな中3針式を構成する「キャリバーMT5402」は、パワーリザーブを約70時間有し、精度はスイス公認クロノメーター認定を取得しながらその規定を上回る日差-2秒~+4秒(腕時計として組みあげられた状態での検定)を誇る。これだけでもハイスペックとわかるが、そのほかにも2か所で固定したトラバーシングブリッジによって支持される可変慣性テンプの採用、非磁性のシリコンバランススプリングの存在など、堅牢性から耐久性、そして耐磁性まで、ムーブメントに求められるあらゆる項目を高次元で満たしている。
日本人の腕にも馴染みやすい直径39mmのステンレススチールケースからスムースベゼルまで、主にサテン仕上げで磨き上げられており、全体的に落ち着いた雰囲気。ポリッシュはエッジの一部に止め、控えめに高級感を演出している。おそらくもっともニーズの多いスタンダードな3連リンクブレスレットは、“T-fit”セーフティキャッチ付きフォールディングクラスプが搭載されており、腕への着脱のしやすさと剛性を両立している。
「レンジャー」は外観こそルーツ譲りのクラシカルなデザインだが、内部やディテールに最新技術を投入して現代的なアップデートがなされている。まさに実用時計の最高峰と表現できる仕上がり。それながら手の届きやすいプライスを実現している点は、実に評価できる。
問い合わせ先:日本ロレックス / チューダー TEL.0120-929-570 https://www.tudorwatch.com/ja
Text/WACHNAVI編集部
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