腕時計には時刻を知る以外にも、日付や月齢などのカレンダー情報を確認したり、精密なタイム計測を行ったり、他国の現在時刻を知ったりと、さまざまな機能が装備されている場合が多い。そんな各種機能の基本的な使い方や機構の原理などを初心者にもわかりやすく丁寧に解説していく。知っておけば役立ち度は満点なので、しっかり学習しておこう!
計測編 〈フライバック クロノグラフ〉
パイロットが熱望した特殊機能を搭載する上級モデル
ワンランク上の機能でパイロットをサポートするフライバック クロノグラフ。通常の機械式クロノグラフは計測中にリセットボタンを押しても何も反応しないが、リセットボタン深部に特殊な装置を組み込むことで、ボタンを押した瞬間に計測針がすべてoに戻り、指を離すと再び計測を開始する機構だ。
緻密さを極めるクロノグラフよりもさらに複雑さを増したモデルで、周回飛行など計測を瞬時に繰り返すパイロット向けに開発された。
フライバック クロノグラフ搭載モデル フレデリック・コンスタント「フライバック クロノグラフ マニュファクチュール」
クロノグラフの上位機種として主に高額モデルに搭載されるフライバック機能を有しながら、手の届きやすいコスパを実現。専用パーツの開発から6年の歳月をかけて完成した、独自のフライバック装置を採用した自社製キャリバーFC-760搭載。直径42mm。自動巻き。ステンレススチール&ローズゴールドプレートケース。5気圧防水。
問い合わせ先:フレデリック・コンスタント相談室 TEL.0570-03-1988 https://frederiqueconstant.jp/
【基本の操作】
↑2時位置のボタンを一度押すと、クロノグラフ機構が計測をスタート。
↑計測中に4時位置のボタンを押すと計測用の針がすべて0位置にリセット。
↑ボタンから指を離すと、その瞬間から計測を(0位置から)再開する。
【機構の仕組み】
搭載される自社製キャリバーFC-760の主要パーツ展開図。クロノグラフの制御機構に一般的に用いられるコラムホイールではなく、同社が独自開発したスターホイール(①➡のパーツ)を採用。この星型ホイールが計測機構全体の動きを巧みに操り、特殊なハンマー装置(②➡のパーツ群)などを用いてフライバック機能を実現させている。
Text/外山明秀(トイズハウス)、平野翔太(WN編集部) Photo/山口雅則
◎本記事は『ウオッチナビ 2023 Summer Vol.90』より抜粋・編集しています。