先進技術と伝統の技が融合した「どこにもない腕時計」を作り続けるカシオ
自社で製造体制を持つ多くの時計メーカーは、基本的に機械式時計の製造ラインも有しているもの。一方のカシオは、1974年に発売した初の腕時計「カシオトロン」以来、一貫して電子ウオッチに注力してきました。
そして、カシオウオッチの知名度は1990年代に社会現象になったG-SHOCKブームによって一気に拡大。当時は、計算機能付きの腕時計データバンクなども流行しました。
しかし、そうした爆発的なブームはやがて過ぎるもの。後に残ったのはカシオウオッチ=若者向け/ファッションという根強いイメージでした。
ちょうど機械式時計の流行時期とも重なり、カシオウオッチの業績が低迷期を迎えていた2004年、カシオは世界初のフルメタル電波ソーラークロノグラフウオッチ「オシアナス」を発売します。
すでにG-SHOCKでは「電波受信」「ソーラー駆動」「アナログ表示」が確立されていましたが、これらすべてをメタルケースで実現するために開発陣が奮闘。高効率の光発電と省電力化、高密度実装技術など、いまもカシオが得意とする技術に磨きがかけられたわけです。
オシアナスの平均価格は10万円台と当時としては高額でしたが、電波受信による高精度と質感の高い文字盤などが受け入れられ、高級電波ソーラーウオッチという新規市場を開拓することになります。
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ブランドカラーのブルーをリングに配色した文字盤が印象的なオシアナスの最新作。標準電波受信機能による時計単体での時刻修正に加え、省電力のタフソーラーとBluetooth®を利用したスマートフォンリンクによる時刻修正機能を搭載しながら、マンタの名に相応しい11.7mm厚とスリムに仕上げている
一方、G-SHOCKも誕生25周年を控えた2007年に、プレミアムシリーズのMR-Gからフルアナログウオッチを発表。機能、素材、ディテールすべてにこだわった一本は、18万円という従来のG-SHOCKのイメージを覆す価格設定でも話題に。ちなみに現在販売されている最新作も30万円+税となっています。
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特有の二重硬化処理を施したチタンケースにザラツ研磨を施した最高峰の一本。武具を朱塗りに統一した戦国時代の部隊編成「赤備え」をモチーフにした一本。武勇を物語る黄金色との組み合わせで、日本の伝統美を表現している。GPSハイブリッド電波ソーラーをはじめとする先進機能を搭載しており、実用性も極めて高い
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古の時代より永く愛され続ける銅(あかがね)色を随所に配したGPSハイブリッド電波ソーラーモデル。ベゼルには、純チタンよりも高硬度を誇る64チタンを採用。さらにチタンカーバイト処理を施すことで時計の強さとともに、国産ウオッチらしい凛とした表情を演出している
これらは機械式時計のように時計職人が一から歯車を組み上げるものではありませんが、ケースの仕上げに熟練職人の技術を要する「ザラツ研磨」を施すなど、完成までに多くの手仕事が必要な点は他の高級時計と同じこと。加えて、開発に際してはいくつもの最新技術が投入されていますし、そのために多くの人の知恵・経験・情熱も込められています。
カシオのハイエンドウオッチは確かに宝石も貴金属も使われていません。それでも10万円を超えるのは、最新と伝統の技術の集合体だからです。その揺るぎない事実が、ビジネスマンを中心とする屈強な男の琴線に触れるものであるはずです。
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