スイス時計製造の中心地であるラ・ショー・ド・フォンを代表するマニュファクチュール、ジラール・ペルゴが新作を発表。最新作「ディープ ダイバー」は、1970年前後に製造したアーカイブピースに着想を得たモデルで、高級カスタム時計メーカーの「バンフォード ウォッチ デパートメント」とのコラボレーションによって誕生した。価格は213万4000円(税込)で、世界限定350本となる。
1969年のクッションケースがチタンになって現代的に
ディープ ダイバーは1966年にジラール・ペルゴが発表したダイバーズウオッチ。このモデルは自社製の自動巻きムーブメント「ジャイロマティック」を搭載した点でも当時、革新的な一本だったという。その後、1969年にはインナー回転ベゼルを備えたクッションケースの派生型が登場。「リファレンス9108」の番号が与えられたそのモデルこそが、最新作のルーツとなっている。
「リファレンス9108」がユニークだった点に、ジャイロマティックの搭載、クッションケース、インナー回転ベゼルに加えて、14角形ベゼルを備えていたことが挙げられる。ちなみに、ジラール・ペルゴには1975年に誕生した傑作「ロレアート」があるが、デザインの背景には諸説あるものの象徴的な八角形ベゼルのデザインについては「リファレンス9108」の多角形ベゼルの影響を少なからず受けているだろう、というのが一般的な見方だ。もちろん、最新限定モデルにも14角形ベゼルは採用。ポリッシュ仕上げもしっかり踏襲されており、クッションケースに施された放射状のヘアライン仕上げとの対比で外装の個性を際立たせている。
最も目を惹く文字盤は、1971年に製造されたバリエーションがデザインソースという。インナー回転ベゼルのブルーとその内側のホワイトからなる2重のサークルが中央のオレンジを取り囲む“ブルズアイ”調のデザインは、外装の雰囲気と相まってミッドセンチュリーのレトロフューチャー感を演出している。ロゴは、レガシー エディションらしく当時のものを採用。これは、同エディションの第1作目となった1976年製「キャスケット」のリバイバルにも通じる意匠である。

ぱっと見では1970年代にタイムスリップしたような新作だが、実際にはケースにチタンを採用し極めて軽量。ムーブメントもジャイロマティックからキャリバーGP03300となった。ケースバックには、オリジナルに忠実なトライデントのエンブレムを受け継ぎながらブルー・メタライズを施したサファイアクリスタルを嵌め、水中を覗くようにメカニズムの動きを眺めることができる。
クッションケースは縦40.30×横38.00mm、厚さ13.91mmと、ダイバーズウオッチらしい存在感を残しながらも普段使いに適したサイズ。クイックリリースシステム付きのラバーストラップはピンバックル式で、ブルーとオレンジの2本が付属する。限定品ゆえ入手は困難を極めるものの、周囲とは異なる一本を身に付けたい人にとってはこのうえない選択肢といえるだろう。
問い合わせ先:ソーウインド ジャパン TEL.03-5211-1791 https://www.girard-perregaux.com ※価格は記事公開時点の税込価格です。限定モデルは完売の可能性があります。
TEXT/Daisuke Suito (WATCHNAVI)
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