国産最高峰とも称される薄型ドレスウオッチブランド【クレドール(CREDOR)】が、彫金と漆芸で新たな美を追求した2つの特別限定モデルを発表。どちらもブランド初出展となる世界最大規模の高級時計イベント「Watches and Wonders Geneva 2026」で初披露される予定だ。
クレドールの真価を問う2つの限定モデル
今回、世界の舞台へと踏み出す「クレドール」はブランドのアイデンティティを体現する二つの意欲作を用意した。一つは、30年にわたり研鑽を積んできた彫金技術をムーブメントから文字盤まで一貫させた「ゴールドフェザー トゥールビヨン 彫金 限定モデル」。そしてもう一つは、伝統的な漆の色彩に現代的なグラデーションを融合させた「ゴールドフェザー 漆芸ダイヤル 限定モデル」である。いずれも1960年に誕生した伝説的な「セイコー ゴールドフェザー」を源流とする超薄型ドレスウォッチの系譜を継承し、プラチナケースという最高級の設えで登場している。
世界限定25本となるトゥールビヨン搭載モデル
世界限定25本という極めて高い希少性で登場する「ゴールドフェザー トゥールビヨン 彫金限定モデル」は、彫金師の指先が成せる限界への挑戦といっても過言ではない。クレドールの彫金は滑らかで繊細な洋彫りをベースとしながらも、和彫りのような鋭い輝きを併せ持つ独創的なスタイルを確立しており、1996年の技法確立から数えてちょうど30年という節目を今年、迎えることとなった。
本機では視覚的な奥行きを演出するために文字盤を二層構造とし、羽毛のように柔らかく細やかな放射状のフェザー模様を刻んでいるが、特筆すべきは二枚のダイアルにまたがる直線が寸分の狂いもなく一つの流れとして繋がっている点だろう。彫金師が自らの手の形状に合わせて製作した独自の彫刻刀(バイト)を用い、幾度も同じ場所に刃先を当てて少しずつ彫り進めることで、この完璧なラインが生まれている。さらに、1970年代のアーカイブに見られる手書きの版下から着想を得たという繊細なローマ数字のインデックスや、分目盛に施された「魚々子(ななこ)」模様など、細部まで工芸的なアプローチが徹底されており、静謐な佇まいの中で確かな存在感を放つ。
プラチナ950を使用したケースは、一体型構造によって複雑機構を搭載しながらも8.6mmという驚異的な薄さを実現。シースルーバックから覗く手巻きのトゥールビヨン・ムーブメント「キャリバー6850」は、直径25.6mm、厚さわずか3.98mmという極薄設計でありながら、香箱の容量を拡大することで約60時間のパワーリザーブを確保する。このコンパクトな空間を構成するパーツ群には、トゥールビヨンキャリッジを起点とした力強い放射状のラインが彫り込まれており、最も薄い箇所で0.25mmという極小パーツに対し、わずか0.15mmの深さで溝を刻む作業は、機械の制御を超えた熟練の感覚のみが成し得る領域といえる。
日本特有の美意識を映し出すグラデーション文字盤
同じく世界限定25本の「ゴールドフェザー 漆芸ダイヤル 限定モデル」は、漆芸の伝統的な美しさを現代的に昇華させたタイムピースだ。最大の特徴は黒漆から深い青へと静かに移ろうグラデーションダイアルにあるだろう。この色彩は、彩度を緻密に調整することで生み出されており、静寂の中に美を見出す日本特有の美意識を色濃く反映している。漆芸の工程においても、文字盤が帯びている柔らかなカーブに沿って均一に研ぎ出すためには、匠による研ぎ澄まされた感覚と緻密な角度調整が不可欠であり、指先の感触を頼りに磨き上げることで、吸い込まれるような奥行きのある艶が引き出されている。
そして、12ヶ所のインデックスやブランドロゴ、さらに6時位置に配された「Goldfeather」の署名には、プラチナ粉を用いた高蒔絵を採用。漆で絵柄を盛り上げ金属粉を蒔く同技法において、とりわけ困難を極めるのが硬質なプラチナ粉の扱いだ。微細な粒子加工が難しいうえに極めて硬く、通常の金粉に用いる鯛牙(たいげ)のみならず、金属ヘラをも駆使して磨き上げられている。直径37.4mmのコンパクトなプラチナ950製ケースには、岩手県「雫石高級時計工房」の時計師が組立・調整からケーシングまで手掛けた手巻きムーブメント「キャリバー6890」を搭載。シースルーバックからは、高級機に相応しい装飾が施された同ムーブメントの姿を鑑賞できるのもオーナーには嬉しい限りだ。
誕生以来、卓越した技能と研ぎ澄まされた感性を融合させ、唯一無二の個性を築き上げてきた「クレドール」。ブランド名に冠した“黄金の頂き”という言葉には、日本から世界へ発信するドレスウオッチの旗手として、品質と美学の両面で頂点を極めるという不変の意志が込められている。今回発表された2つの限定モデルは、まさにその系譜の現在地。「Watches and Wonders Geneva 2026」という舞台で、世界中の人々に大きな驚きをもって迎えられるに違いない。
クレドール「ゴールドフェザー トゥールビヨン 彫金限定モデル」 Ref.GBCF997 2860万円/手巻き(Cal.6850)、毎時2万1600振動、約60時間パワーリザーブ。プラチナ950ケース(シースルーバック)、クロコダイルストラップ。ボックス型サファイアガラス(内面無反射コーティング)。直径38.6mm、厚さ8.6mm。3気圧防水。世界限定25本(国内18本)。2026年8月7日(金)発売予定。
クレドール「ゴールドフェザー 漆芸ダイヤル 限定モデル」 Ref.GBBY967 550万円/手巻き(Cal.6890)、毎時2万1600振動、約37時間パワーリザーブ。プラチナ950ケース(シースルーバック)、クロコダイルストラップ。ボックス型サファイアガラス(内面無反射コーティング)。直径37.4mm、厚さ8.1mm。3気圧防水。世界限定25本(国内18本)。2026年6月5日(金)発売予定。
問い合わせ先:セイコーウオッチお客様相談室 TEL.0120-302-617 https://www.credor.com/ ※価格は記事公開時点の税込価格です。限定モデルは完売の可能性があります。
Text/三宅裕丈
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