5月から新元号「令和(れいわ)」がスタート。新時代の幕開けを前に、激動の「平成」を名機とともに振り返ります。【平成11年〜20年編(1998年〜2008年)】
ETA問題で始まった自社ムーブ開発競争
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クロノグラフ機構をスケルトン文字盤側に配し、装着したままメカニズムが楽しめる自社キャリバーUNICO搭載モデルを2013年に発表。2018年の新色マットブルーはチタンの色味とも相性が良く、ラバーストラップを合わせたクールな仕上がりが評判
2002年、スウォッチグループ以外へのエボーシュ(ムーブメントの半完成品)の供給をストップするというETA社の発表に、世界の時計ブランドが慌てました。特にETA社からエボーシュやパーツを仕入れ、自社で独自に組み立てていたブランドには激震が走りました。
自社で機械式ムーブメントを新規開発するには膨大な資金と時間が必要になります。ですが、時計メーカーとして基幹部分を他社に握られるのは経営上の大きなリスクでもありました。2000年以降、自社製ムーブメントが増えた理由のひとつが、この「ETA問題」にあります。
ロレックスが初めて自社開発したクロノグラフ・ムーブメン トをはじめ、パネライ、モーリス・ラクロア、モンブラン、さらには2009年以降のブライトリング、タグ・ホイヤー、ウブロ、カルティエ、ブルガリも。 資本力と技術力が前提ではありますが、自社ムーブメントはブランドのオリジナリティをアピールするにも強力な武器になりました。
しかし、2008年のリーマン・ショックに続く世界的な不況で、それまで急速に進んでいたラグジュアリー化と価格高騰が行き詰ってしまうのでした。
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1998年にデビューした中2針+スモールセコンド仕様の大定番。文字盤にOPロゴを配した人気ラインが、2018年初出の自社製Cal.P.6000を搭載して新世代に移行した。エッジの立ったルミノールらしいケース形状と白文字盤が腕元を格上げする
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