誕生100周年を超えたカルティエの角型時計「タンク」。そこに通底するのは、確固たるデザインコードです。
普遍のデザインコードが支える普遍的な美
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誕生100周年記念を盛り上げたのが、縦長モデル「タンク アメリカン」。1989年の誕生以来、初となるSSケースを纏った。手首に沿うアールが設けられた流麗なレクタンギュラーケースがストラップから連なり、タンクらしい一体感がいっそう強調されている。縦45.1×横26.6mm。自動巻き
数多くの「タンキスト」が熱狂する普遍的な美観。それを支えるのが、100年変わらぬデザインコードです。
ケースとラグの一体化は、丸型主流の懐中時計からの脱却を意味し、「サントス」ともども時代を切り拓くパイオニアの象徴も務めています。また、ジュエラーでもあるカルティエのセンスが覗くのが、ブルーに輝くリューズの装飾。男性用として誕生したタンクが、数少ない男の装飾品として大いに機能することを示唆するものです。
さらに、線路型分目盛りやローマ数字の時表示は、ある種のセルフオマージュといってもいいでしょうが、変える必要性さえないことの矜持とも取れます。何しろこのコードを守るだけで、自由な発想のタンクがいくつもこの世に生まれてきたのですから。きっと次の100年も変わらないでしょう。
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各コレクションに宿るタンクのDNA
先に述べたデザインコードを規範として、タンクの持てる世界観を自由に表現。それを理由に、これまでも非常に数多くのタンクファミリーを生んでいます。ここでは既出を除く現行コレクションを紹介します。
タンク アングレーズ
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「アメリカン」「フランセーズ」など、メゾンに関連ある国の名を戴くことの多いタンクのネーミング。2012年に登場したこの「アングレーズ」はフランス語でイギリスを示す。黎明期のカルティエ三兄弟が店舗を構えた三都市のひとつがロンドンであるためだ。特徴的なデザインの本作は、ラグだけでなくリューズまでもケースと一体化。時計とブレスレットの融合が見られる。クオーツ。YGケース。SMサイズは、縦30.2×横22.7mm
タンク ソロ
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シンプルかつミニマルなデザインに仕上げたコレクションが、こちらの「タンク ソロ」。ダイアルを囲むケースの天地左右に段差を持たないフラットなケース表面は、コレクションのなかでもシャープな顔立ちのモデルとして位置づけられるだろう。シンセティック スピネル製のカボションは丸みを帯びており、直線的な印象が色濃い本作へ、ほどよいアクセントとなっている。クオーツ。SSケース。LMサイズは、縦34.8×横27.8mm
タンク フランセーズ
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ラグとして機能する部分が傾斜し、他と異なる趣のケースデザインを持つ「タンク フランセーズ」は、よりブレスレットとしての装飾感を高めたモデル。メゾン設立150周年を記念して登場。SSケースを軸にしたラインナップも特徴的で、時計をデイリーなアクセサリーと位置付ける試みとも取れる。写真は、華奢なSMサイズのケースに24個、計0.49ctのブリリアントカットダイヤがセットされたレディス。クオーツ。SSケース。縦25.2×横20.3mm
タンク MC
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コレクション史上、もっともマッシブなケースデザインが与えられたのが「タンク MC」だろう。まさに戦車のキャタピラたる重厚な佇まいが持ち味。誕生は2013年、カルティエの先進性を象徴する自社製自動巻きムーブメント1904PS-MCを搭載することからこの名がついた。MCとは、「マニュファクチュール・カルティエ」を意味し、その後も意欲的なキャリバー製作を見せている。いわばその狼煙ともいうべきモデル。SSケース。縦44×横34.3mm
問:カルティエ カスタマー サービスセンター TEL.0120-301-757
https://www.cartier.jp/
【注目記事!】カルティエの二大角型ウオッチ「サントス」と「タンク」の美しさ
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