“世界三大時計ブランド”の一角として名を馳せる「パテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)」が、先日、飛びきりの2020年新作ウオッチを発表した。「グランド・コンプリケーション(Ref.5303)」についてはすでにレポートしたため、今回は2つの超複雑系クロノグラフについて紹介する。
気品溢れるダイアルの裏側に複雑を極めるメカを搭載
トレンドから定番といえるほどの広がりを見せている“ブルー”を纏ったモデルは、究極の美を追求するパテック フィリップらしい嗜好が凝らされた作品。その青は本七宝のグラン・フーエナメルダイアルであり、優れた技術を持つ限られたメーカーにしか製作できないスプリットセコンド・クロノグラフの価値をさらに高めている。
一方の永久カレンダーも同社ならではの複雑機構で、贅沢にもクロノグラフと融合させた。各種表示を無駄なく文字盤に配置した巧みさはさすがで、今回初めてイエローゴールドケースでの5270モデルが実現した。
機械式時計における超絶コンプリケーションをシックに表現
ミニッツ・リピーター、トゥールビヨン、そしてスプリットセコンド・クロノグラフは、“時計界の三大複雑機構”といわれている。パテック フィリップはいずれも古くからインハウスで製造しており、スイスでも屈指の技術力を継承してきた。
新作Ref.5370は、同シリーズとして初めてブルーの本七宝文字盤をセットしたプラチナケースモデルとなった。これに同色のアリゲーターストラップを合わせ、スマートなデザインに仕上げている。
シースルーバックから見えるキャリバーCHR 29-535 PSは、312ものパーツから構成される手巻きムーブメント。スプリットセコンド計測のほか、2日間半以上も動き続けるパワーリザーブを誇り、独自開発のジャイロマックステンプも備える。
なお、クロノグラフの操作は2時位置のプッシュボタンでスタート&ストップ、4時位置のプッシュボタンで計測が全リセットされ、スプリットセコンドはリューズと合体しているプッシャーでストップ&再スタートを行う仕組みになっている。
5270シリーズをクラシックを体現するイエローゴールドで
永久カレンダー&クロノグラフの5270シリーズとイエローゴールドケースの初めての組み合わせは、まさにトラディショナルな雰囲気を放つものとなった。純粋なラウンドケースのように見えるが、段差をつけたラグや個性的な形状のベゼルなど、ディテールにパテック フィリップ流のこだわりが施されている。
シルバー・オパーリンカラーのダイアルには、ゴールドの植字インデックスをセット。インダイアルは30分積算計、ムーンフェイズ&ポインター式の日付、スモールセコンドとなっており、外周にタキメーターを配置。月、曜日、閏年、昼夜の表示は小窓に収めた。これだけの機能をエレガントに表現できるのは、1927年の世界初の永久カレンダーウオッチ「No.97975」から受け継がれる、同社のノウハウとセンスによるところが大きい。
こちらもケースバックはサファイアクリスタル製で、6件もの特許が使われている手巻き、キャリバーCH 29‑535 PS Qを眺めることが可能。永久カレンダーを搭載しながら、ムーブメントの厚さをわずか7mm(外径32mm)に収めたことは革新的といえる。
パテック フィリップの複雑系タイムピースは、時を超越してコレクターを魅了し続けている。それはムーブメントに刻印されるパテック フィリップ・シールが証明しているように、同社が世界最高の技術と格式を守り続けていることにほかならない。2020年リリース予定の両モデルも、恒久的な歴史的傑作として語り継がれることだろう。
問い合わせ先: パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター TEL.03-3255-8109
http://www.patek.com
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