くろのぴーすとは何者だ?! ブランド横断“シグネチャーモデル”の第4弾は液体表示時計の「HYT」

いまから一か月ほど前に、「スイスの高級マイクロウオッチブランド『アーミン・シュトローム』より日本人の時計愛好家として史上初めて世界限定シグネチャーモデルを出します」と、SNSで注目を集める“くろのぴーす(@chronopeacecom)”氏本人から情報が寄せられたばかりだが、実はこのプロジェクトはブランドを横断して進められていたようだ。というのも、この“くろのぴーすシグネチャー”は、アーミン・シュトローム、クロノスイス、ローマン・ゴティエと立て続けに発表されたから。そして、このほど届いた最新作のHYT「H0 くろのぴーす限定エディション」もまた、世界限定5本での製造となる。

 

いったい「くろのぴーす」とは何者なのか?

最新作の公式プレスリリースによれば、くろのぴーす氏は

「宇宙の回転と音に魅せられた腕時計コレクターです。腕時計コレクターのルーツとなっているのは、幼少期に憧れたロボットです。時計を、まさに音を発しながら時を刻むロボットに見立てて収集しています。
70年代のLED時計から、独立時計師による近代の超高級機械式時計まで、約500本以上にも及ぶ幅広い腕時計を、独自の哲学に基づく“宇宙の回転”をテーマに集め続けています」

と紹介されている。そのコレクションの片鱗はTwitterやinstagram等でアップされており、私たちWNのようなメディアとは異なる形で腕時計の魅力を発信。同時に、同氏は1年ほどで時計ケアグッズの定番となった「クリスタルガード・クリスタルアーマー」のアンバサダーに就任し、自らのコレクションの一部である高級時計にクリスタルガード・クリスタルアーマーを積極的に用いて、その有効性を実証してきたのである。一生ものの時計ならば日々ケアしたいと思うのは至極当然。一方で、大切な時計と相性の悪いケアグッズで時計に取り返しのつかないダメージを与えてはもとも子もない。そんな不安を、くろのぴーす氏は身をもって体験、発信することで払拭したのである。

 

一気に定番化したクリーナー兼コーティング剤
「クリスタルガード・クロノアーマー」

「クリスタルガード・クロノアーマー」3300円

高級車用のコーティング剤から生まれた「クリスタルガード・クロノアーマー」は、JIS規格の国家試験で光沢保持率100%が証明されたクリスタルガラス皮膜と、界面活性剤の洗剤を一切使わないクリーナー成分で、腕時計の手入れと傷・汚れの予防が同時にできるというコーティング剤兼クリーナーである。ステンレスからゴールド、プラチナ、チタン、カーボン、プラスチックまで、あらゆる素材の腕時計の手入れに使用可能という万能性も大きな魅力だ。とくにこの記事はクリスタルガード・クロノアーマーを万人に推すためのものではない。けれども、すでに実績として日本国内で累計2万本以上を売り上げている点を評価しない人はいないだろう。そして、このグッズの有効性はくろのぴーす氏の発信力を伴ってスイスブランドをも巻き込む事態へと突入。冒頭で触れた4社が、正式に自社製品のケース内外にクリスタルガード クロノアーマーを使ったタイムピースを作ったのである。

 

HYT「H0くろのぴーす限定エディション」 /手巻き。毎時2万8800振動。約65時間パワーリザーブ。DLCアンスラサイトコーティングSSケース。直径48.8mm(厚さ18.7mm)。反射防止加工のドーム型サファイアガラス(クリスタルガード・クロノアーマー両面施工済み)。サファイアクリスタル シースルーケースバック(クリスタルガード・クロノアーマー両面施工済み)。破片状の単結晶シリコンプレート (63 ピース) の象嵌装飾ダイヤル(クリスタルガード・クロノアーマー施工済み)。針(スーパールミノバ)(クリスタルガード・クロノアーマー施工済み)。3気圧防水

最新作となるHYT「H0くろのぴーす限定エディション」は、同氏の幼少期からの夢想である「宇宙の旅」をもとに、近年のコレクターとしてのこだわりである「文字盤の奥行き」という要素を取り込み、「ワープによる時空の歪み」と日本由来の「勝色(かちいろ、かついろ)」をイメージして3つのブルーを使ったカラースキームを選定したとのこと。HYTの特許技術を使って全て機械式ムーブメントによる液体の移動で時刻を表示するだけでなく、文字盤上の63枚の鏡状のファセットを3色のブルーグラデーションで彩り、「ワープによる時空の歪み」を日本由来の「勝色(かちいろ、かついろ)」を用いて表現したのだという。

革新的な「液体」の融合から生まれたHYT最新限定モデル

さてこのHYTとは、腕時計史上初めて液体による時刻表示を可能にしたスイスの高級マイクロブランドである。直径1mmのガラス管に封入された異なる2つの液体が占める割合の境界線によって時刻を示す独自のメカニズムは、伝統的な機械式時計の製造法を軸にあらゆる分野の技術を用いて作られており唯一無二。一方、クリスタルガード・クロノアーマーもまた革新的なクリーナー兼コーティング剤という液体であり、両者が惹かれ合うのは自然な流れだったのかもしれない。

このモデルの価格は正式発表されてはいないが、ベースモデルとなっているH0 Time is  Preciousが775万5000円であることを考えると、限定5本という希少性を抜きにしても誰もが購入できるタイムピースではないことは確かだ。ただ、日本のコレクターがスイスの高級時計ブランドに強い影響を与えているという事実は、時計愛好家のひとつの到達点として歴史に残ることだろう。

Text/Daisuke Suito(WN)

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