人類が成し遂げた数多くの偉業を測り、見届けてきた
時計ブランドにとって、あらゆるスポーツの公式計時の責務を担うことは最高の栄誉。その実績は、そのまま自社製品の精度が広く認められたことになるからだ。「OMEGA(オメガ)」は、1905年の時点でスイス国内外における16のスポーツイベントで公式計時を担当していたという記録が残っている。その信頼性は、現在にいたるまでオリンピックのオフィシャルタイムキーパーを歴代最多・最長で担当している通り。時計の枠を飛び越えた開発はいまやあらゆる測定機器に及び、2016年に太陽光から賄うエネルギーだけで世界一周飛行を達成した「ソーラーインパルス」プロジェクトへの機器提供にも役立てられた。
世界的な信頼性をオメガが得ている理由のひとつに、NASAとの強固なパートナーシップが挙げられる。NASAは、1960年代のアポロ計画の有人飛行ミッションの際に宇宙飛行士が身に着ける腕時計を求めていた。当時の主な手巻きクロノグラフを集め、宇宙空間を想定して設定された数多くの極限テストを実施。複数のブランドの腕時計が破壊されていくなか、オメガの「スピードマスター」だけが全項目をクリア。1965年に公式装備品となったのである。そして、1969年。ニール・アームストロングやバズ・オルドリンらの腕に巻かれて人類初の月面着陸を支えたのである。このアポロ11号の偉業達成だけでなく、アポロ13号が見舞われた宇宙空間でのトラブルにも、スピードマスターは宇宙飛行士に残された数少ない計器として地球生還をサポート。こうした貢献からオメガは、NASAの宇宙飛行士から贈られる「シルバースヌーピーアワード」を受賞している。もちろん、NASAとオメガは現在も厚い絆で結ばれている。
このようにオメガは、様々な人類の偉業に立ち会ってきた。時計に最も求められる「高精度」をあらゆる環境で保つことにおいて、オメガの信頼性は群を抜いているのだ。
SPEEDMASTER
1957年に発表されたスポーツウォッチ三部作のひとつを原点とする、世界で最も有名な手巻きクロノグラフ。レーシングウォッチとして開発された経緯を持ちながら、1965年にNASAの公式装備品に採用されると、アポロ11号が果たした人類初の月面着陸の際にも使われた。その偉業達成で認められた性能は、50年以上に渡って基本デザインを変えることなく製造され続けてきた歴史により実証されている。
腕時計の大敵と戦い続けるオメガの防水時計開発史
オメガの歴史は時計の大敵との戦いの歴史である。とりわけ20世紀に入り、腕時計が主流になってから問題となったのは、「水分の侵入」。この難敵に対し、オメガは二重ケース構造での解決を目論んだ。
1932年に発表した「マリーン」は、その構造のユニークさもさることながら、他社に先駆けてダイバーの手首にジャストフィットするよう、サイズ調整可能なクラスプも導入していたのである。さらに時代の要請から手がけることになった軍用品でも、優れた精度と耐久性、防水性を備えた腕時計を開発。イギリス軍や連合軍によってその性能が証明されると、終戦後には培った技術をもとに最初の「シーマスター」を発表した。
1957年には、「マスター三部作」のひとつとして本格的なダイバーズウォッチ性能を有する「シーマスター 300」が登場。1970年には、600mまで防水性能を引き上げた特別モデル「プロプロフ」を発表。回転ベゼルのセキュリティープッシャーを備えた異形のデザインは、海洋調査船「カリプソ号」に搭乗した探検家ジャック=イヴ・クストーとその仲間たちや、フランスの潜水会社のプロダイバーを中心に広く知られる存在となった。
1990年代に入るとオメガはハイスペックダイバーズ開発の経験を生かし、現在も製造が続く「シーマスター ダイバー300M」の初代モデルを1993年に開発。この時計は1995年以降『007』シリーズの主人公「ジェームズ・ボンド」の愛用時計として活躍。スーツにダイバーズウォッチを合わせるという新しいスタイルを、世界的に根付かせることとなった。
確固たる高性能を手に入れたオメガは、その後、独自のゴールドやセラミックの技術を使ってダイバーズウォッチの新たな可能性を創造。現在の「シーマスター」コレクションに揃うバリエーションは、まさに圧巻だ。
ダイバーズウォッチの新たな可能性を切り拓く
SEAMASTER
右/300m防水仕様の本格ダイバーズに、オメガ独自のK18 セドナ™ゴールドを合わせた意欲作。ブラックセラミック製ベゼルリングは、レーザー加工でダイビングスケールをレリーフ調に仕上げた。 左/主演を務めるダニエル・クレイグの意見も取り入れて開発された、映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』登場モデル。外装素材は軽量かつ堅牢なグレード2 チタンで300m防水、マスター クロノメーター仕様と実用性に優れる。
飛躍的に腕時計をスペックアップさせた「マスター クロノメーター」の称号
1848年創業のオメガは、懐中時計全盛期より高精度タイムピースの製造で名を馳せてきた。なかでも大きな転機となったのが、1894年に発表した高精度かつメンテナンス性にも優れる「19ラインキャリバー」の開発。別名「オメガキャリバー」と称されたこのムーブメントは、ブランドのさらなる飛躍の原動力となった。
こうした歴史からもわかる通り、オメガというブランドの特別性は、秀でた技術の量産化を行う姿勢にこそある。1999年に発表した「コーアクシャル脱進機」は、その際たる例だ。メンテナンス期間を劇的に伸ばすべく発明家のジョージ・ダニエルズ氏が考案した極めて難度の高い設計を、唯一、オメガだけが開発を実現。量産化まで成し遂げ、一般的な定期メンテナンスの周期とされる3~5年を8~10年にまで伸ばしたのだ。
キャリバーの高精度化とメンテナンス性の両立。これをさらに推し進めた成果が、「マスター クロノメーター」である。この称号は、スイスクロノメーター検定協会(COSC)の認定を受けたのち、スイス連邦計量・認定局(METAS)による8つのテストに合格した腕時計が得られるものだ。全品検査なので、購入時には証明書番号が記載された「赤いカード」が付属する。その番号をオンライン上で入力すれば、ユーザーは個体の正確なテスト結果を知ることが可能。ここまでの情報開示は、すべてオメガの自社製品に対する盤石の自信の表れだといえよう。
マスター クロノメーター開発までの道程
腕時計開発の歴史は、つねに課題解決の連続。なかでもオメガは潤滑油の劣化と磁気帯びの問題について、比類なき成果を挙げてきた。
完全無欠の高性能を証明する赤いカード
1999年の新機構量産化を経てもオメガは、グループ内企業と協力しながら他社と同じく分業制による生産体制を敷いていた。一方で、完全なる自社開発・製造できる設備を着々と整え、2007年にこれを達成。コーアクシャル脱進機も進化させたキャリバー8500は、2つの香箱によりパワーリザーブ残量に左右されるトルクの均一化を図りながらシリコンパーツの採用で耐磁性を持たせた。さらに2013年に新素材「ニヴァガウス」などの採用で超高耐磁性能を確立し、2015年にはMETASとともに「マスター クロノメーター」認定を制度化。このときすでに2020年までにほぼ100%の時計に同等の性能を持たせることが計画にはあった。実際、2015年の初認定モデル以降、1万5000 ガウスの耐磁性が標準装備の「マスター クロノメーター」認定モデルは増加。新工房が2017年に竣工するとその勢いはさらに加速し、現在では多くの製品に赤いカードが付属することとなった。
CONSTELLATION
右/ベゼルを留める左右4 つの爪と高精度の証明となる星が象徴的な一本。シルクエンボス加工により、文字盤に特有のテクスチャー感を創出。ブラックセラミック製ベゼルのローマ数字にはリキッドメタル™を用いている。 左/ブルーセラミック製ベゼルとK18 セドナ™ゴールドケースが美しく融合したラグジュアリー仕様。サンブラッシュ仕上げの文字盤にセットされた針やロゴなどもK18 セドナ™ゴールド製だ。
TRÉSOR
右/輝く月明かりを想起させる18K ムーンシャイン™ゴールドケースとレッドガーネットのグラデーション文字盤の組み合わせが優美。電池寿命を48ヵ月に延ばした最新型を搭載。左/独自開発した18K ムーンシャイン™ゴールドを外装全面に使った華やかなドレスウォッチ。モダンなデザインにダイヤモンドの華やかさを添えて。
「OMEGA(オメガ)」について創業年:1848年 |
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