【装着レビュー付き】シチズンが本気でつくった新型自動巻きムーブメントを搭載する「ザ・シチズン」は、クロノメーターを超える高精度な実用時計

創業から100年以上を数える歴史や、古典的な機械式から先進のクオーツまで製造可能な技術力など、「シチズン(CITIZEN)」はジャパンウオッチの代表格として世界中で知られている。先日、今季のニューモデルとしてスイスのラ・ジュー・ペレ社との協業によって生み出された自社メカニカルムーブメントを搭載する、ザ・シチズンのハイエンドモデルが発表された。この注目作に触れる機会を得たため、その感想をここに記す。

11年ぶりに開発されたシチズン渾身の機械式ムーブメントを搭載

 

シチズンブランドにおいて最上位にポジションする「ザ・シチズン」。光で発電するエコ・ドライブで、年差±1秒という圧倒的な精度を実現する「キャリバー0100」搭載モデルは、ザ・シチズンにラインナップされている。この傑作クオーツムーブメントに続くかたちで新たに開発された「キャリバー0200」は、シチズンとしては11年ぶりとなるメカニカルムーブメントとあって、国内外問わず非常に注目されている。また、同キャリバーを搭載する新作も、こだわりの外装を纏っている。

まずはキャリバー0200について。

既存の90系キャリバーとは設計が異なるキャリバー0200は、上位クラスの自動巻きムーブメントとして開発された。その経緯は、グループ企業のラ・ジュー・ペレ社に協力を要請したことにスタートした。ムーブメント専門メーカーとしてスイスでも屈指の技術を持つ同社へ、シチズンの技術者が留学のようなかたちで出向し、シチズンが武器とする最先端の加工製造技術と、ラ・ジュー・ペレ社が保有する伝統のノウハウを融合させることで、会心のキャリバー0200が完成へと至ったのである。

キャリバー0200が優れている点のひとつに、約60時間のロングパワーリザーブ機能がある。シチズンの90系キャリバーは高い巻き上げ効率を誇るものの、径のサイズから最大駆動時間の延長が困難だった。キャリバー0200ではこれを改め、余裕のあるサイズを採ってゼンマイを格納する香箱にスペースを割いた。もちろん高精度と美観は絶対条件であり、ラ・ジュー・ペレ社の存在はシチズンにとって心強かったに違いない。実際は基本設計の他、輪列パーツやテンプの製造はシチズンが担い、地板や受けの製造はラ・ジュー・ペレ社が担当している。まさに日本とスイスの最高峰同士による合作なのだ。

 

 

クロノメーターを超える平均日差-3〜+5秒の精度

1918年の尚工舎時計研究所(前身会社)設立時から舶来高級時計と同等のクオリティを目標とし、初号機「16型懐中時計」を発明するなど、シチズンは当時から高度な技術を誇り、常にチャレンジの姿勢を貫いていた。そのDNAは社風として受け継がれており、キャリバー0200の開発にも確実に生かされている。その証拠に、COSC(スイスクロノメーター検定協会)が定めるクロノメーター(ISO 3159)以上に厳格な精度を求め、平均日差-3〜+5秒を実現している。

その他、直径も厚みも持たせた耐久性が期待できる設計なうえ、キャリバー0100でも使われたLIGA工法(微細構造物形成技術)によって成型された精密な脱進機を備えるなど、あらゆる面で高級機械式ウオッチの標準装備を超える仕様となっている。

興味深い採用パーツに、シチズンでは例が少ないフリースプラングが挙げられる。このテンプを用いることで等時性や耐衝撃性、ヒゲゼンマイの耐久性でもメリットがある。そしてこのテンワ自体がシチズンの自社製造であることも注目に値するし、これまで調整装置には緩急針を使ってきただけに新たな試みとなっている。

そして磨き上げもキャリバー0200の見どころだ。各所のサティナージュ(ヘアライン)仕上げ、地板のペルラージュ仕上げ、パーツエッジの面取りまで、熟練職人による技巧を感じさせる美しいものとなっている。このあたりにもラ・ジュー・ペレ社のエッセンスが垣間見れる。

 

 

再び流行の兆しを見せているブレスレット統合型デザイン

キャリバー0200に注目が集まるものの、当然のごとく外装にも深いこだわりが注がれている。直線的なラグにそのまま繋がるブレスレットが備え付けられた、いわゆる“統合型デザイン”のスタイリッシュなデザインは、シチズンのアーカイブモデルにヒントを得たもの。複数の面から成るケース&ブレスレットは、筋目と鏡面で仕上げ分けすることによって、独特な立体感を創出している。

落ち着いた印象のブラックダイアル(NC0200-90E)は、電鋳によって精工かつユニークなパターンがあしらわれている。これによって磨かれた針やインデックスとのコントラストが強められ、読み取りやすい文字盤デザインとなっている。一方、もうひとつのステンレススチールモデル(NC0200-81L)はブルーダイアルをセット。サンレイに塗膜研磨を施し、光沢と深みを与えて若々しいイメージに仕上げた。それぞれ6時位置にスモールセコンドを、12時位置に“常に先を見据え、理想を追求する” “身に着ける方に永く寄り添う”の理念が込められた、ザ・シチズンのシンボル=イーグルのマークがあしらわれている。

シチズン「ザ・シチズン キャリバー0200 メカニカルモデル」Ref.NC0200-90E 60万5000円/自動巻き(自社製Cal.0200)、毎時2万8800振動、約60時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース(シースルーバック)&ブレスレット、サファイアガラス(クラリティ・コーティング)。40mm(厚さ10.9mm/設計値)。5気圧防水。2021年8月発売予定。特定店取扱いモデル

 

 

問い合わせ先:シチズンお客様時計相談室 TEL.0120-78-4807 https://citizen.jp/

 

Text/WATCHNAVI編集部

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