創業以来、つねに時計の新たな可能性を切り拓いてきたル・ブラッシュの雄【オーデマ ピゲ(AUDEMARS PIGUET)】。世界中のコレクターを虜にするその現実離れした製品開発の象徴として、今回はロイヤル オーク オフショアの歴史と最新作に焦点を当てる。1993年発表のビーストの復刻版、さらには横目インダイアルの自社製キャリバー4401を搭載した新43mmモデルまで、現代のオーデマ ピゲが放つパワフルでスポーティな魅惑のクロノグラフの世界を堪能あれ!!
1993年、異端再び
オーデマ ピゲは、1875年に創業してから変わらずジュウ渓谷で独立経営を続けてきた。複雑時計の製作を得意とし、過去をさかのぼれば1882年から1892年の間に製造した1600個のタイムピースのうち、80%はひとつ以上のコンプリケーションを積んでいたという記録も残る。
このようにハイエンドウオッチメイキングの道を歩んでいたオーデマ ピゲは、1972年に誰も予想しなかった腕時計を発表する。それが、現在もラグジュアリー・スポーツウオッチのパイオニアと名高いステンレススチール製の「ロイヤル オーク」である。時計デザインの巨星ジェラルド・ジェンタが描いた潜水服のヘルメットをモチーフにした八角形ベゼルとそこに打たれたビスは、ケースバックを完全にロックし、薄型設計ながら50m防水を確保。表から見えるマイナスネジの向きが整然と並ぶ様は、それだけでロイヤル オークが超高級機と共通する流儀で作られたことを示すのに十分だった。その価値は世の時計好きが徐々に認めるところとなり、まもなく誕生から半世紀を迎えるいまや時計界全体を見渡しても入手困難モデルの筆頭に挙げられている。
この伝説的なモデルからの派生型として1993年に発表された「ロイヤル オーク オフショア」は、当時の腕時計ではかなりのビッグサイズとなる直径42mmのクロノグラフで発表された。軟鉄性の耐磁ケースを用いた厚みのある外観は、「ビースト」のニックネームがついたことからも、いかにセンセーショナルだったかが窺い知れる。ロイヤル オーク オフショアは、そのまますぐ後に時計界にやってくる「デカ厚」ブームの先駆者として人気を獲得。現在までに基本デザインを変えることなく、進化を続けている。
最新ロイヤル オーク オフショアは1993年当時のスタイルを先進技術でアップデート
「ロイヤル オーク オフショア」の最新モデルは、のちにロレックスのチェリーニなども手がけた当時のオーデマ ピゲのデザイナー、エマニュエル・ギュエが作り上げたプロポーションをチタンケースで忠実に再現。ラグ一体型ブレスレットは裏側の4つのボタンで簡単に取り外せて付属のブラックラバー換装できる。フライバッククロノグラフが組み込まれた自動巻きキャリバー4404は、毎時2万8800振動でパワーリザーブは約70時間。その駆動と美しい仕上げはケースバックから確認できる。ボタン類に見られるブラックはラバー製で、蓄光付き針とインデックスはホワイトゴールド製。異素材融合の先駆けでもあった。
時計史を塗り替えた“ビースト”三度降臨
オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ」Ref.26238TI.OO.2000TI.01 473万円
1993年の初代機のデザインを忠実に再現しながら、最新の自社製自動巻きフライバッククロノキャリバー4404搭載。直径42mm(厚さ15.2mm)のケースはチタン製のほか、ステンレススチールと18Kピンクゴールドの合計3型で展開される。新たな交換可能ストラップシステムも採用。ラバーストラップが付属する。
《1993年→2021年》ロイヤル オーク オフショア TIMELINE1972年 ベースとなるロイヤル オークを発表 1993年 ロイヤル オーク誕生20周年を記念したロイヤル オーク オフショアがデビュー 1997年 レザーストラップと文字盤の色を合わせた全8色のカラフルなバリエーションを発表。同年、パーペチュアルカレンダー搭載モデルを発表 1998年 フルチタンモデルを発表 1999年 アーノルド・シュワルツェネッガーとのコラボレーションモデル「エンド・オブ・デイズ」を発表 2004年 カーボンベゼルを採用したモントーヤ限定を発表 2006年 セラミックベゼルを採用したルーベンス・バリチェロ エディションを発表 2007年 世界で初めてフォージドカーボンをケースに採用したチーム アリンギモデルを発表 2008年 直径37mmのロイヤル オーク オフショア レディキャットを発表 2010年 ロイヤル オーク オフショア ダイバーを発表。同年、ロイヤル オーク オフショア グランプリを発表 2012年 ミハエル・シューマッハとのコラボレーションモデルを発表 2018年 誕生25周年を記念して1stモデルを復刻 |
デイリーウオッチのトップエンド、堂々完成!
ロイヤル オーク オフショアは、その強烈な個性で当初から着実に支持を獲得。1997年には、いまも「トロピカルビースト」の愛称で呼ばれる8色展開のカラーモデルを展開する。また、アーノルド・シュワルツェネッガーにはじまる著名人・アスリートとのコラボレーションにも積極的に取り組んできた。こうした実績はわずか数年のうちにロイヤル オーク オフショアがより多くの時計愛好家に愛される土壌を築くのに十分だった。
2021年の春に発表され、今秋より発売開始となった新デザインのロイヤル オーク オフショアもまた、多くの人に愛されるべくして生まれたプロダクトだ。ル・ブラッシュに育まれた雲上ブランド「オーデマ ピゲ」のなかでも、普段使いに向くスペックを備える本機は、初代ビーストよりも1mmアップの直径43mmで設計。その内部には、フライバック機能を備えた次世代定番クロノグラフ向けのキャリバー4401を搭載する。そのすべてにセラミック製のリューズとプッシュボタンを採用した点にも、同社の先進的な素材使いの技術力の高さが発揮されている。
すでに手に入れた人々の満足した声が何よりの証
この最新作は全部で5型あり、ステンレススチール、チタン、ピンクゴールドの各素材に合わせ、現代的なカラーが揃えられた。その満足度の高さは、すでに入手済みのオーナーからの声からもうかがえる。オーナーを代表して、WATCHNAVIインスタグラムフォロワーで新型のオーナー、@tokeizuki_ozisanに、特別にコメントを寄せていただいた。
「見た目もムーブメントも全てにおいて最新にフルモデルチェンジしたオフショア43mm! 大きさを感じさせないくらい装着性に優れておりインターチェンジストラップはプッシュ式で、30秒ほどで付け替え可能です。文字盤のスモークトープカラーダイアルは個性的で実物は針やバーがゴールドでキラキラしていて、所有欲を300%満たしてくれる一本です」(@tokeizuki_ozisan)
微に入り細を穿つ新世代機の絶妙な進化点
耐磁インナーケースを排除し、シースルーバックを採用。自動巻きとフライバッククロノグラフが一体設計された自社製キャリバー4401の動きが確認できる。ベゼルとサファイアガラスが絶妙にカーブしたラインはサイドビューからわかりやすい。プッシュボタンやリューズはセラミック製。ベゼルにはアイコニックなラバーリングがセットされる。メガタペストリー文字盤は、四辺の角がXで結ばれた新しい意匠に。もちろん簡単交換のストラップ交換システムを採用する。
新たなデザインに生まれ変わった堅牢時計
オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ」Ref.26420TI.OO.A027CA.01 429万円
1993年以来の基本デザインを踏襲しながら、直径43mm(厚さ14.4mm)サイズが登場。自動巻きキャリバー4401を搭載し、インダイアルは横3つ目レイアウトに。ベゼルとガラスを6/12時方向にカーブした形状にするなど、力強い新世代機となった。チタンケース。100m防水。
問い合わせ先:オーデマ ピゲ ジャパン TEL.03-6830-0000
日本特別版コンテンツ:https://borninlebrassus.audemarspiguet.com
日本公式:https://www.audemarspiguet.com/com/ja
文/水藤大輔 撮影/星 武志(estrellas) スタイリング/石川英治(Table Rock Studio)
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