パントンカラーの新色登場!! スイスウオッチ【IWCシャフハウゼン】広がり続けるタフなカラーセラミックの世界

スイスの高級時計ブランド【IWCシャフハウゼン(IWC SCHAFFHAUSEN)】は、スイスの伝統技術とアメリカの最先端技術の融合し、1868年から革新的な時計製造を続けている。現在普及が進むセラミック素材も、1980年代にはその可能性を見出し、早くから研究を重ねてきた。2022年は、その独自の色味がパントン社公認色になるというトピックでも話題を呼んだ。いま改めて、IWCシャフハウゼンのセラミック技術の優秀性について解説する。

Watches and Wonders Geneva 2022の会場に設置されていたIWCシャフハウゼンのブース。トップガンのカラーセラミックが最大のトピックだった

トップガンに相応しいカラーを追求し続ける

 

セラミックウオッチの製造は、酸化ジルコニウムや他の金属酸化物などの原材料を正しく配合し、それを焼結した際の収縮率まで把握する必要がある。さらに不純物が多いとそれらが炭化して黒っぽくなるため、狙った色に仕上げるには、純度の高い素材を完璧な配合にする必要がある。

セラミック素材の研究を1980年代から続けてきたIWCシャフハウゼンは、近年、主にパイロット・ウォッチ“トップガン”で優れた技術を発揮している。同時に、独自の「ペラトン自動巻き」機構の一部パーツにも使うまでに発展。これから先も、進化の余地を感じさせる。

最新2作を含むカラーセラミックは、開発当初にパントンカラーをターゲットにしていたという。そして今“モハーヴェ・デザート”“レイク・タホ”や“ウッドランド”という独自色はパントン社の公認となった。その安定した色の再現性と、外装設計の精密さはそのまま高度な技術力の証。年間生産本数が限られた希少性と、現実的な価格も含め、魅力は尽きない。

 

ホワイトセラミック「レイク・タホ(Lake Tahoe)」

「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ・トップガン “レイク・タホ”」 Ref.IW389105 134万2000円

米海軍の制服と、タホ湖の美しい冬景色にインスピレーションを得たというカラーセラミックを直径44.5mm(厚さ15.7mm)のケースに採用。ブラックダイアルとのコントラストが個性的だ。

スペック:自動巻きムーブメント(自社製Cal.69380)、毎時2万8800振動、46時間パワーリザーブ。セラミックケース、ラバーストラップ、ドーム型サファイアガラス(両面反射防止加工)。ケース径44.5mm(厚さ15.7mm)。6気圧防水。年間1000本の限定生産。

柔らかな中に輝きを秘めたホワイトセラミック。原料の純度の高さなどが伝わる

 

グリーンセラミック「ウッドランド(Woodland)」

「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ・トップガン “ウッドランド”」 Ref.IW389106 134万2000円

グリーンの新色は、米国海軍のトップガン飛行訓練学校のエリートパイロットが纏うフライトスーツや制服、彼らが訓練中に見下ろす森の風景に着想。すべてをパントンの“IWC ウッドランド”色で統一した点が見事だ。

スペック:自動巻きムーブメント(自社製Cal.69380)、毎時2万8800振動、46時間パワーリザーブ。セラミックケース、布製インレイ付きラバーストラップ、ドーム型サファイアガラス(両面反射防止加工)。ケース径44.5mm(厚さ15.7mm)。6気圧防水。年間1000本の限定生産。

マニュファクチュールムーブメントを収めるセラミックケースは、耐磁構造を備える。トップガンのロゴを刻印するケースバックはセラタニウム®製だ

 

サンドカラーセラミック「モハーヴェ・デザート(Mojave Desert)」

「ビッグ・パイロット・ウォッチ・トップガン “モハーヴェ・デザート”」 Ref.IW506003 199万6500円

マットなサンドカラーのユニークなセラミックは2019年に開発。その名称は、米国海軍最大の陸上施設「チャイナレイク海軍航空兵器基地」がある砂漠に由来する。本機は2021年に発表されたビッグ・パイロット・ウォッチ。

スペック:自動巻きムーブメント(自社製Cal.52110)、毎時2万8800振動、168時間パワーリザーブ。セラミックケース、布製インレイ付きラバーストラップ、ドーム型サファイアガラス(両面反射防止加工)。ケース径46mm(厚さ14.6mm)。6気圧防水。年間250本の限定生産。

7日間駆動のムーブメント、キャリバー52110を搭載する。耐磁性軟鉄製インナーケースを内蔵し、6気圧防水も確保

 

ブラックセラミック「ジェットブラック(Jet Black)」

「ビッグ・パイロット・ウォッチ 43・トップガン」 Ref.IW329801 130万9000円

パントンとともに「IWC ジェットブラック」と命名された、深みのあるマットブラックセラミックを昨年からの新サイズに取り入れた最新ビッグ・パイロット・ウォッチ。漆黒の文字盤上の赤い“TOP GUN”がアクセント!!

スペック:自動巻きムーブメント(自社製Cal.82100)、毎時2万8800振動、60時間パワーリザーブ。セラミックケース、布製ストラップ、ドーム型サファイアガラス(両面反射防止加工)。ケース径43.8mm(厚さ13.9mm)。10気圧防水。

ストラップはブラックの布製で、ストラップのクイック交換システムを備える。ケースバックはチタニウム製だ

 

IWCシャフハウゼンのセラミック開発

30年以上前に素材の可能性を見出した先見の明
産業向けセラミックにIWCが目を向けたのは1980年代から。最初の成果は、1986年の「ダ・ヴィンチ・パーペチュアル・カレンダー・クロノグラフ」で披露された。物理的・科学的に耐性があり、耐傷性、高温耐性に優れたこの素材について、色表現のノウハウまで得た現在は、狭いコックピットで操縦などの作業を行うパイロットに最適との理由から、“トップガン”シリーズで主に使われている。

 

独自のブラック素材「セラタニウム®(Ceratanium)」

「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ 41・トップガン・セラタニウム®」 Ref.IW388106 158万4000円

チタニウムの軽さと堅牢性にセラミック同等の硬さと耐傷性が融合した独自素材、「セラタニウム®」を初めてボタン類にまで採用したニューモデル。2021年の発表から好評を博す41mm径のクロノグラフからの登場となった。

スペック:自動巻きムーブメント(自社製Cal.69385)、毎時2万8800振動、46時間パワーリザーブ。セラタニウム®ケース、布製インレイ付きラバーストラップ、ドーム型サファイアガラス(両面反射防止加工)。ケース径41mm(厚さ14.5mm)。10気圧防水。

ケースに合わせブラックに着色したサファイア越しに、自動巻きのキャリバー69385が確認可能。10気圧防水を確保し実用性も十分だ

 

「パントン(Pantone)」とは!?

アメリカ発祥の国際的な色見本帳
パントン社の歴史は、化粧品メーカーに色見本帳を印刷するところから始まった。今では国際標準となる色見本帳を出しており、カラー・オブ・ザ・イヤーというアワードも行っている。その見本帳にIWCシャフハウゼンのカラーセラミックが加わることになったのは、快挙といえる。

問い合わせ先:IWCシャフハウゼン TEL:0120-05-1868 https://www.iwc.com/jp/ja/

 

Text/水藤大輔(WN) Photo/嶋田敦之

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