信頼と実績を積み重ね、その道のプロフェッショナルから高く評価されているドイツウオッチ【ジン(SINN)】は、社会貢献の一環として「果樹園の保護と発展」や「音楽と舞台芸術の利用と保存の促進」などをテーマとする活動を行っている。同社オーナーが考える、サステナビリティを広める新しい時代のアクションについて紹介する。
昨今、利益を還元して持続可能な社会を生み出すためのシステムが各分野で構築され、時計界でも盛んになっている。60年以上にわたって優れた腕時計やクロックを輩出しているジンも、サスティナビリティに取り組む一社。オーナーが掲げるテーマは主に6つだ。
ひとつ目が、「果樹園の保護と発展」。牧草地の果樹園は果物の品種の多様性と保存を保護し、文化的景観を形成する。しかしながら20世紀半ば以降、ヨーロッパでは果樹園の数が減少する一途で、人々にとっての文化的な体験空間だけでなく、動物や植物における生態学的価値のある生息地の消滅にも関係している。そこで、ローター・シュミット氏のような実業家が自発的に果樹園の栽培・経営に関わることで、これらが維持されている背景もある。「このような活動への参加は当然のこと。果樹園の手入れやリンゴの栽培、園芸に関する情報・集会所は、マイン・アップルハウス・ロールベルク(MainÄppelHaus Lohrberg)協会が私たちに代わってこれを管理・運営しています」と、同氏は語る。
また、ジンは異なるカテゴリーにも寄与している。2016年、ドイツ連邦政府による国家持続可能性戦略「ドイツのための展望」に、“文化とメディア”が明示的に盛り込まれた。これをきっかけに、文化・メディア分野の創造的な可能性とその革新的な力を利用して、持続可能な発展を確保するための施策を導入。シュミット氏の文化問題に対する深い関心もあり、3つ目の目標として「音楽と舞台芸術の利用と保存の促進」を据えている。音楽の理解において新境地を開拓している大学プロジェクト「MILAN」への支援もその一環のひとつ。計画を立ち上げたコンラッド・ゲオルギー教授のもと、シュミット氏は2011年のジン社創立50周年を記念して、「ライン・マイン・ダンスオーケストラ」の設立をサポート。本社アトリウムを響効果に優れるコンサートホールの形へと改め、演奏会を行える空間にした。
6つ目の目標として据えているのが、「ユネスコの無形文化遺産に登録されている時計製造技術」という、ジンの本質そのもの。歴史的な時計から電子時計に至るまで、理論的な知識、各種技術、そして修復やメンテナンスのノウハウを継承することで、時計製造は続いてきた。「私にとって、会社の目的は、単に理論どおりに法的要件を満たすことではありません。むしろ、私たちは長い間、様々な目的から具体的なプロジェクトを導き出し、それを実現することに全力を注いできました」と、シュミット氏はコメントを寄せている。
環境と文化の両面をカバーするジンのサステナビリティアクションは、地域に密着し、伝統的な志向が強く、義務感や価値感を明確に打ち出すものとなっている。まさにその姿勢が、質実剛健で実用的なタイムピースを生む源泉になっているのだ。
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Text/WATCHNAVI編集部