19世紀にスイスで活躍した天才時計師、ハインリッヒ・モーザーの哲学や技術を継承するブランド【H.モーザー(H.MOSER & CIE.)】が、人気のスポーツウオッチコレクション「ストリームライナー」のニューモデルを発表した。「ストリームライナー・トゥールビヨン ベンタブラックⓇ」と名付けられた新作は、レッドゴールドの外装、ミニッツ フライング トゥールビヨン、そしてベンタブラック®( Vantablack®)のダイアルを組み合わせた豪華仕様。価格は1677万5000円(税込予価)。
仕上げの美しいレッドゴールドとベンタブラックⓇの絶妙な組み合わせ
「ストリームライナー・トゥールビヨン ベンタブラックⓇ」は、個性的なクッション型ケースから連結式リンクの一体型ブレスレットまで、5Nレッドゴールドが使われたラグジュアリーな新バリエーションである。ダイアルには、H.モーザーが時計界に持ち込んだベンタブラックⓇを採用し、深みのある黒を実現。印象的な縦方向のブラッシュとラインに用いられているポリッシュの交互の仕上げにより、ステンレススチールモデルが主力のストリームライナーコレクションの新たな一面をアピールしている。
光の粒子をほとんど吸収してしまうベンタブラックⓇ
本機の特徴のひとつがダイアルのインデックスだ。裏側から固定された作りで、角度によってベンタブラックⓇの上に現れたり隠れたりするように見える。この構造体は現存する中でもっとも暗い人工物質とされており、天文物理学の分野では望遠鏡、軍事分野ではステルス性を強化する熱迷彩、産業分野ではソーラーパネルといったものに使用されている。その実態は、カーボンナノチューブを超微細に並べた構造になっており、光の粒子がベンタブラックⓇに当たるとその99.965%は吸収されるという。人間の目で対象物を認識するには光の反射が必要であるため、光をほとんど吸収してしまうベンタブラックⓇの場合、物質が存在しないものとして認識されてしまう。H.モーザーではこのマテリアルを適切に加工する高度で特殊な技術を構築。同ダイアルをサプライヤーに搬送するためだけのケースのほか、ケーシングに至るまでの取り扱い、針の取り付けのための専用工具も特別に用意している。
ミニッツ フライング トゥールビヨンを搭載した自社製ムーブメント
宇宙の神秘であるブラックホールを想起させるベンタブラックⓇ上に、ミニッツ フライング トゥールビヨンが浮かんでいるかのようなデザインの本機。これを実現しているのが、H.モーザーの系列会社であるPrecision Engineering AGで設計・製造されたキャリバーHMC804だ。ダブルヘアスプリング式で、拡張時の各ゼンマイの重心の動きを補正し、摩耗を低減。精度と等時性を向上させ、姿勢差による精度のズレを解消している。「ストリームライナー・トゥールビヨン ベンタブラックⓇ」は、デザインにおいてもメカニズムにおいても、ストリームライナーの新しい魅力を引き出す特別な逸品なのである。
H.モーザー「ストリームライナー・トゥールビヨン ベンタブラックⓇ」 Ref.6804-0400 1677万5000円(税込予価)/自動巻き(自社製Cal.HMC804)、毎時2万1600振動、約72時間パワーリザーブ。5Nレッドゴールドケース(シースルーバック)&ブレスレット、ドーム型サファイアクリスタル風防。直径40mm、厚さ10.3mm(サファイアガラスを含まず)。12気圧防水。
問い合わせ先:エグゼス TEL.03-6274-6120 https://www.h-moser.com/ja/
Text/WATCHNAVI編集部
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