人気のウオッチブランドには、必ず“定番”と称されるロングセラーモデルがラインナップされている。つねに注目を集めるこの“定番”について、WATCHNAVIの視点より評価し、その歴史から最新作の魅力まで解説する。本記事では、傑作クロノグラフムーブメント「エル・プリメロ」を開発した【ゼニス(ZENITH)】の2大コレクションをピックアップ。
(左)「クロノマスター オープン」、(右)「デファイ 21」
センター針が1/100秒を表示する超絶機構を搭載=デファイ 21
「デファイ 21」は機械式時計ながらセンターのクロノグラフ秒針が1秒で1回転する、傑出したメカニズムを備える。文字盤外周に100等分した目盛りが刻まれ、正確に1/100秒を表示するのだ。実際にスタートボタンを押すと、その凄さは一目瞭然! この針を駆動させているのが毎秒100振動のクロノグラフモジュールで、毎秒10振動の時刻表示用ムーブメントとの二重構造になっており、香箱、輪列、テンプを2個ずつ独立して搭載している。しかも、この驚愕の機構をスケルトンダイアルとシースルーバックの両面から見られる、メカ好きにはたまらないデザインとなっている。
「デファイ 21」が搭載する「エル・プリメロCal.9004」は、毎秒100振動の超高速テンプを実現。1960年代にゼニスが発明したデファイの名を継ぐべく、極めて挑戦的な21世紀仕様のエル・プリメロキャリバーとして開発された
なお時計本体のデザインは、1970年代テイストでエッジが効いている。ケースは軽量なチタン製で、存在感ある44mm径。ブレスレット仕様となるとさらにラグスポ(ラグジュアリー・スポーツ・ウオッチ)の雰囲気が強まる。
10年ぶりに大きく進化したゼニスのシンボル=クロノマスター オープン
もうひとつの定番が「クロノマスター オープン」で、初出が2003年のロングセラーコレクション。2022年のモデルチェンジによってケースが小振りになり、デイリーユースの使い勝手や従来を上回る質感を獲得している。搭載ムーブメントは、伝統的なエル・プリメロを現代的にアップデートしたキャリバー3604で、毎時3万6000振動ながら約60時間のロングパワーリザーブを実現している。
「クロノマスター オープン」の文字盤。シースルーの領域を拡大したことで、腕に装着したままテンプの動きを楽しむことができる
現行モデルからはスモールセコンドがはっきりと見えるデザインへと変更された点も魅力で、ブレスレットは兄弟モデルといえるこちらも大人気の「クロノマスター スポーツ」と共通の3連式となっている。ドレスウオッチに通じる美しさを持ちながら10気圧防水を確保しており、シーンも年齢層も選ばない一本といえる。
<デファイ 21>毎時36万振動の迫力に浸れる特別なクロノグラフ
毎時3万6000振動の時計用とは別に、クロノグラフ用に毎時36万振動の独立した脱進機を備える革新的な機械式時計。ゼニスが1960年代に生み出したモデルに由来する「デファイ」の名は、“挑戦する”といった意味を持つ。
スペック:自動巻き(自社製エル・プリメロCal.9004)、毎時3万6000振動(計時部は36万振動)、約50時間パワーリザーブ(計時部は50分)。チタンケース(シースルーバック)、アリゲーターストラップ。直径44mm、厚さ14.5mm。10気圧防水。
<デファイ 21>の魅力まとめ
●高速振動エル・プリメロの10倍の超ハイビート
●振動数の異なる2つのテンプを表と裏で鑑賞できる
●メカ好きを歓喜させるスケルトンダイアル
<クロノマスター オープン>ゼニスのクロノグラフでもっとも手堅い選択
ゼニス「クロノマスター オープン」 Ref.03.3300.3604/21.M3300 116万6000円
2003年から続くオープンコンセプトの人気クロノグラフが、2022年に10年ぶりのアップデートによって装いも機能も一新。先代から2.5mmダウンサイジングしたケースに、新世代のエル・プリメロキャリバーを搭載する。9時位置のインダイアルに透明なカウンターを配し、メカの見える範囲を拡大している。
スペック:自動巻き(自社製エル・プリメロCal.3604)、毎時3万6000振動、約60時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース(シースルーバック)&ブレスレット。直径39.5mm。10気圧防水。
<クロノマスター オープン>の魅力まとめ
●1969年のエル・プリメロの直系として伝説を継承
●腕に装着したまま毎秒10振動の鼓動を楽しめる
●2.5mmのケースの小型化で日々の使い勝手が向上
問い合わせ先:LVMH ウォッチ・ジュエリー ジャパン ゼニス TEL:03-3575-5861 https://www.zenith-watches.com/ja_jp ※価格はすべて記事公開時点の税込価格です。
Photo/山口雅則
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