続々と生み出される新作時計から考察【トム フォード】が誘うラグジュアリーとサスティナビリティの共生

幅広い層から支持を集めている【トム フォード(TOM FORD)】から、2022年の年末シーズンも新たなタイムピースが発表された。待望の自動巻きクロノグラフの世界限定機や、再生ステンレススチールなどの新展開から、その背景にある真意を探る。

ストラップを替えながら長く楽しむ時計の新定番

ファッション感度の高い人でなくとも、もはや語るべくもないほどトム フォードの知名度は圧倒的だ。いまでは「最も影響力のあるブランド」とも言われるこのブランドがタイムピースを手がけたのは、2018年のこと。デビュー作は、インデックスを2桁表示で統一した文字盤をレクタンギュラーケースに合わせたN.001だった。その後、ラウンドケースのN.002、インデックスを持たないN.003、ソリッド感のある小ぶりなN.004と、複数の形状で色も素材も異なるさまざまなバリエーションを展開してきた。


トム フォード「N.002 チタニウム クロノグラフ リミテッドエディション」

 

トム フォードは、これら全モデルについて交換容易な引き通し式ストラップに対応する設計を適用。ストラップをコレクションするほどに時計本体の可能性は広がり続けていく。また、最近ではブランドが考える最適な組み合わせでストラップと時計本体があらかじめセットになったことも、ファンにとっては嬉しいニュースだろう。

これまでにない機械式クロノグラフで、しかもチタンケースを採用したN.002の最新限定モデルも、時計のフォルムを際立たせるパンチングレザーを採用。N.003に加わった新色では、ブラックのミドルケースに合わせてブラックのレザーストラップで統一。トム フォードならではのモードな雰囲気に仕上げている。もちろん新たなストラップを追加して、自分好みに変えていくのも選択肢のひとつだ。


トム フォード (左)「N.003 ブラッシュド」 (右)「N.003 アンスラサイト」

 

トム フォードのタイムピースほど時計本体ひとつで、さまざまなコーディネイトが気軽に楽しめることが前提となったものは他に類を見ない。こうした長く楽しめる、“消費しない”ためのデザインこそ、これからの腕時計のあるべき姿だといえよう。

 

ラウンドシェイプが印象的な2カウンタークロノグラフ


トム フォード「N.002 チタニウム クロノグラフ リミテッドエディション」 (Black/Black) Ref.0120256682 (Black/White) Ref.0120256683 各55万5500円

N.002の丸型ケースに自動巻きクロノグラフをセット。スモールセコンドと30分積算計は、インデックスを取り囲むような円形の先端を持つ時針とユニークに呼応。カレンダー表示を3時側にさりげなく配置するデザインに、一流のセンスが漂う。引き通しストラップはホワイトレザーのバージョンもあり。DLC加工チタンケース。直径43.5mm。3気圧防水。世界限定150本。

 

独創的なケース形状を新色で堪能


トム フォード「N.003 ブラッシュド」 Ref.TF0120256685 26万6200円

大胆にカーブしたレクタンギュラーケースを特徴とするN.003より、ステンレススチール製トップリングにクロームダイアルを合わせた新色が登場。トップリング表面のブラッシュド仕上げは、トムフォード氏のアイデアだという。ミドルケースはブラックPVD加工したステンレススチール製。クオーツ。縦53×横31.5mm。3気圧防水。

 


トム フォード「N.003 アンスラサイト」 Ref.TF0120256686 30万4700円

6本のビスが印象的なN.003のもうひとつのニューモデルは、アンスラサイトトップリングベゼルとブラックダイアルの組み合わせ。スタイリッシュなフォルムとカラーで、スーツからカジュアルな装いまでカバーする。ミドルケースはブラックPVD加工したステンレススチール製。クオーツ。縦53×横31.5mm。3気圧防水。

 

 

また【トム フォード(TOM FORD)】は、2020年より外装、パッケージの全てにオーシャンプラスチックを用いた腕時計を発表。地球環境の危機をトップブランドの立場から世に知らしめた。その活動の賛同者は、製品バリエーションと共に拡大中だ。


トム フォード (左上)「N.004 オーシャンプラスチック ブラック」 (左下)「N.004 オーシャンプラスチック ホワイト」 (右上)「N.004 リサイクル ステンレススチール ブラック」 (右下)「N.004 リサイクル ステンレススチール ホワイト」

時計で海洋汚染の改善に貢献する倫理的ぜいたく

世界の海には、驚くほど多くの海洋ゴミが蓄積され、また、さらに増え続けている。中でも自然に還ることのないプラスチックゴミの問題は深刻で、海洋生物に致命的なダメージを与えている。また微細なマイクロプラスチックを摂取した魚類は最終的に私たちの食卓に並ぶ可能性も高く、海洋汚染は人体にも悪影響を及ぼしかねない。


トム フォード「N.002 オーシャンプラスチック タイムピース」 Ref.TF0120209878 18万1500円/先端を丸く抜いたトム フォード針を持つ丸型時計N.002の素材に100%オーシャンプラスチックを採用。化粧箱やストラップも同様に再生素材を用いている。クオーツ。直径40mm。10気圧防水。

 

こうした問題に対し、トム フォードは2020年、ケースやストラップ、パッケージにも海洋プラスチックの再生素材を初めて用いた「オーシャンプラスチックタイムピース」を発表。この時計1本が販売されるたび、350mlのペットボトル換算で約35本分が海から永久に除去される計算になるという。かつてフォード氏は、「倫理的なぜいたくこそ、最大のぜいたく」だとコメントした。もちろん時計選びは個人の好み次第。だが、自分の所有物が次の世代を良くするために貢献していると理解していれば、心も健やかに腕時計への愛着が湧くことだろう。


トム フォード「N.002 オーシャンプラスチック スポーツ」 Ref.TF0120248284 24万9700円/100%海洋プラスチック製のラウンドウオッチに防水性能と逆回転防止ベゼルを付与。ストラップの全面に入ったブランドロゴが個性を放つ。ケースバックやバックルはステンレススチール製。自動巻き。直径43mm。10気圧防水。

 

なお、トム フォードは、2020年のオーシャンプラスチックタイムピースの発表と同時に、ビニール袋などの薄膜プラスチックに代わる素材開発のコンペの詳細も公開。現在、多くの参加企業/団体からファイナリストが選抜され、著名ブランドも加わりながら実用化に向けたテストが行われている。また、そうした動きに並行して、新作のオーシャンプラスチック スポーツや、モノコックケースのN.004を発表。とくに後者は、新たにリサイクル ステンレススチールを採用したモデルも登場するなど、次世代を見据えたトム フォードの時計開発はもはや海洋の枠に留まらない展開となっている。

 

オーシャンプラスチック製レクタンギュラーケースモデル


トム フォード「N.004 オーシャンプラスチック ブラック」 Ref.TF0120249878 18万1500円

ホワイトホワイトの2針とロゴが映えるN.004のブラックのオーシャンプラスチックケース仕様。ブレイデッドレザーも同素材を採用する。

 


トム フォード「N.004 オーシャンプラスチック ホワイト Ref.TF0120249879 18万1500円

装身具のようなモノコックケースをオーシャンプラスチックで製造したミニマルな意欲作。クオーツ。縦48.5×横27mm。3気圧防水。

 

リサイクル ステンレススチール製レクタンギュラーケースモデル


トム フォード「N.004 リサイクル ステンレススチール ブラック Ref.TF01200256687 23万6500円

リサイクル ステンレススチールで作られたモノコックケースを鏡面に仕上げた一本。引き通し型ブレイデッドレザーは手編みのカーフ。

 


トム フォード「N.004 リサイクル ステンレススチール ホワイト Ref.TF01200256681 23万6500円

新たなアップサイクル素材をモノコックケースに採用した最新作のホワイトバージョン。クオーツ。縦48.5×横27mm。3気圧防水。

 

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問い合わせ先:トム フォード タイムピース TEL:03-4360-5608  https://tomford.com/watches/

Text:水藤大輔/Daisuke Suito(WATCHNAVI) Photo:山口雅則/Masanori Yamaguchi

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