IWCが誇る高精度ウオッチ【ポルトギーゼ】に思いがけない新色登場――創業地・シャフハウゼンへのリスペクトを優雅な4カラーに込めて

<取材・撮影協力>
IWCシャフハウゼン

豊かな自然と多くの歴史的建造物を遺すドイツ語圏の都市、スイスのシャフハウゼン。この地の象徴となっている名門時計ブランド【IWCシャフハウゼン(IWC SCHAFFHAUSEN)】は、今春のウォッチズ&ワンダーズでポルトギーゼのニューモデルを発表した。細部にまで改良を加え、新鮮な色で花を添えたこのアイコニックピースについて、プロダクトのキーマンへのインタビューを交え、とことん解説する。

移ろいゆく1日の中の空模様を巧みにダイアルカラーに再現!!

IWCは1868年にアメリカ人技師フロレンタイン・A・ジョーンズによって設立されて以来、国境近くのシャフハウゼンに拠点を置いている。欧州最大級の水量を誇るライン川沿いに位置するこの街は、水運交易で栄えた中世の時代の建物を遺し、風光明媚な景観が広がっている。そのような美しい“故郷”を、新作ポルトギーゼは4つの色彩美で表現。「ホライゾンブルー」「デューン」「オブシディアン」「シルバームーン」という異なる時間帯に出合えるシャフハウゼンの情景を、文字盤や外装に表しているのだ。

 

【ホライゾンブルー】シャフハウゼンの澄み切った空


↑IWCシャフハウゼン「ポルトギーゼ・オートマティック 40」 Ref.IW358402 288万7500円/「ホライゾンブルー」と名付けた淡いスカイブルー色の文字盤に、18Kホワイトゴールドケースとブルーのサントーニ社製カーフスキンストラップを組み合わせた自動巻きモデル。針とアプライドインデックスにロジウムメッキを施す。IWC自社製造のキャリバー82200を搭載。

 

【デューン】シャフハウゼンを包む黄昏時


↑IWCシャフハウゼン「ポルトギーゼ・クロノグラフ」 Ref.IW371624 123万7500円/夕暮れ時の沈みゆく太陽の黄金と眩い光がテーマの「デューン」。表現力豊かなこの文字盤に定番の縦型2カウンターのクロノグラフを融合し、対照的なブラックのアリゲーターストラップを組み合わせた。コラムホイール採用の自社製キャリバー69355を搭載。自動巻き。ステンレススチールケース。

 

【オブシディアン】シャフハウゼンに訪れる夜更け


↑IWCシャフハウゼン「ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー 44」 Ref.IW503702 693万円/夜空をサンバースト仕上げのブラック文字盤で、黄金の光を放つ都会の夜景を18CT Armor Gold(本機)または18Kレッドゴールドのケースで表した「オブシディアン」。永久カレンダーを搭載する自社製造のキャリバー52616は、ペラトン自動巻き機構や7日間パワーリザーブも備える。

 

【シルバームーン】シャフハウゼンの早朝に臨める輝く月


↑IWCシャフハウゼン「ポルトギーゼ・オートマティック 42」 Ref.IW501702 196万3500円/「シルバームーン」はその名称通り、白銀に輝く月をイメージ。約60もの複雑なプロセスを経て製作される美しいシルバーメッキ文字盤は一見の価値あり! 同色文字盤をセットしたステンレススチールケースモデルには、ゴールド色の針とインデックスを備えるバリエーションも存在。自動巻き。ステンレススチールケース。

 

これら4色を軸に、新型の「ポルトギーゼ・オートマティック 40」「ポルトギーゼ・オートマティック 42」「ポルトギーゼ・クロノグラフ」「ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー 44」が揃えられている。注意したいのが、カラーごとにラインナップに違いがあることだ。なお「クロノグラフ」以外の新作は、スリム化したケースリングの新採用によって一層エレガントな印象に刷新された。また、風防とシースルーバックにはボックス型サファイアガラスが用いられ、視認性を高め、搭載キャリバーが眺めやすくなっている。こうしたディテールからも、歴然たるアップデートが感じられる。

 

IWCの歴史を熟知し研究するキュレーター、IWC全コレクションのデザイン統括者のキーパーソン2名が語るNEWポルトギーゼの魅力


↑(左から)ホライゾンブルーの「ポルトギーゼ・クロノグラフ」、デューンの「ポルトギーゼ・オートマティック 42」

 

1990年代の復活以降、ポルトギーゼはIWCのシンボルといえる存在となった。上品で美しいデザインや最新技術の投入など、ポルトギーゼはドレスウオッチの本命として常に候補に挙げられる。新作もこれに続き、飛躍を遂げるだろう。IWCの歴史に詳しいデヴィッド・セイファー氏も、太鼓判を押す。

 

「オリジナルのエッセンスを保ちながら、硬質で透明度の高いボックス型風防を採用。美しさをより際立たせた“傑作”の誕生です」


IWCミュージアム 学芸員/デヴィッド・セイファー氏
IWCのヒストリー及びプロダクトに精通する歴史家、文学博士。シュトゥットガルト大学で研究者として活躍し、2007年からはIWCの歴史編纂に従事。2010年現職に就き、同社の企画にも携わる。

 

(デヴィッド・セイファー氏)「ポルトギーゼのリニューアルは、IWCの製造技術の発展を誇示するものでもあります。例えば、パーフェクトなボックス型のサファイアクリスタルパーツを実現したことで、コンプリケーションを文字盤側でもシースルーバック側でも一層美しく見せることが可能になりました。その立体感を手に取って実感してほしいですね。このような技術進歩は日々の研究による賜物ですが、同時にIWCは歴史に敬意を払うことも重視しています。外周のレイルウェイパターンは、ポルトギーゼがデッキウオッチの代わりとして登場した時代の雰囲気を表すものですし、危険な航海を助けるツールでもありますからもちろん精度の優秀さは必須条件となります。ブランド随一のコンプリケーションウオッチとなるポルトギーゼ・エターナル・カレンダーを含め、新作ポルトギーゼは期待以上の出来です」


↑「1938年 1st model」ポルトギーゼのルーツは、2人のポルトガル商人からの依頼で製作した大型腕時計(Ref.325)。懐中時計用の高精度キャリバーを搭載しており、シンプルなアラビア数字インデックス、細長いリーフハンド、スリムなベゼルといったアイコンデザインをすでに備えていた。新作もこの1stモデルからのデザインコードを踏襲している。

 

デザインの細部については、これを統率するクリスチャン・クヌープ氏が答えてくれた。

 

「プレステージウオッチとして時を超えて愛されることを目指しました。新鮮味あふれるカラーに魅了されるはず」


IWC チーフ・デザイン・オフィサー/クリスチャン・クヌープ氏
IWCには2008年に参画し、その後デザイン部門の責任者に就任。現行の「ダ・ヴィンチ」や「インヂュニア」、そして今回の「ポルトギーゼ」は彼が中心となってデザインされたコレクションだ。

 

(クリスチャン・クヌープ氏)「ガラスをボックス型としたのは、ピュアで綺麗な文字盤を最大限に生かすことを目指したためです。またサファイアクリスタルバックも同様の形状ですから、搭載キャリバーがより鑑賞しやすくなっています。一方でケースは、ベゼルを低くして裏の厚みを抑え、全体をスリムに見せる設計を用いています」

では、その文字盤のカラーリングはどう決定したのか?

「ポルトギーゼの人気色といえばシルバーとブラックでした。これらのリニューアルとともに、シャフハウゼンの昼と夜の雰囲気を映し出す色彩をテーマとする4色を生み出しました。いずれも時を超えて評価される美しい色合いだと自負しています」


↑(左から)オブシディアンの「ポルトギーゼ・オートマティック 40」、シルバームーンの「ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー 44」

 

各文字盤は真鍮ベースに、サンバーストまたはブラストの加工を加え、15層のラッカーを塗布。さらに磨き上げ、ハイグロス仕上げを施している。シルバーメッキ文字盤については工程が60に及ぶというから驚きだ。

(クリスチャン・クヌープ氏)「皆さんに愛され、ロングセラーとして継続していることが示す通り、ポルトギーゼは完成の域に達しているコレクションともいえます。このデザインコードを尊重しつつ、予想外の新色によりサプライズを提供できたのではないでしょうか(笑)」

 

〈IWC 表参道ブティック〉都内3店舗目となるブティックが表参道の玄関口にオープン

日本におけるIWC人気に応えるべく、ラグジュアリーブランドが数多く出店するトレンド発信地、表参道にブティックをオープンした。東京メトロ表参道駅の直上にあたる交差点の目の前という好立地に、IWCらしいブラックのシックなビルの2フロアで展開。1階は世界観を演出したオープンスペースとして設計されており、2階にコレクションを豊富に取り揃えている。

〈IWC 表参道ブティック〉
TEL:03-4570-4455
住所:東京都港区北青山3-5-25 青山Sceneビル
営業時間:(月-金)12:00~20:00、(土日祝)11:00~19:00
定休日:無休

 

問い合わせ先:IWCシャフハウゼン TEL.0120-05-1868 https://www.iwc.com/jp/ja/ ※価格は記事公開時点の税込価格です。

Text/山口祐也(WATCHNAVI編集部) Photo/嶋田敦之

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