<取材・撮影協力>
ルイ・エラール(LOUIS ERARD)
1929年にスイスのラ・ショー・ド・フォンで設立された高級時計ブランド【ルイ・エラール(LOUIS ERARD)】は、伝統的なスイス時計のクラフトマンシップを重視しながら、現代的なデザインや機能を採用して人気を博している。また、手の届くプライスゾーンであることも特徴だ。そのようなルイ・エラールのユニークなコラボレーションコレクションに焦点を当てる。
独創性豊かなブランドへとリブランディングを果たす
今から95年ほど前、ラ・ショー・ド・フォンにてルイ・エラールは創業した。当初は自社の時計を製造し、その後は長らく他社に向けたムーブメントのケース内蔵を主要業務としてきた。2000年代に入ってからは、高級時計にインスピレーションを受けた手頃な価格の製品を手がけるブランドとして本格的に再始動。この頃から、レギュレーターを重要機構として搭載するようになった。と、ここまでが以前よりルイ・エラールを知る人々がブランドに抱くイメージではないだろうか。だが、物語はここから劇的に変化する。
↑ルイ・エラール「レギュレーター – ルイ・エラール × アラン・シルベスタイン カーキ」
2019年、ルイ・エラールは突如として時計デザイン界の生ける伝説、アラン・シルベスタイン氏とのコラボモデルを発表。そのお披露目のために来日した際には、当時のCEOとアラン氏、そして現CEOであるマニュエル氏の3名が揃ってインタビューに対応してくれた。王道路線からの脱却を望む当時のCEOが新風を吹き込むべくエムシュ氏に協力を求め、彼の盟友であるアラン氏が期待に応えた。結果、限定品は即完売の大成功。その勢いのままロゴを変更。リブランディングを果たしたのだ。
↑ルイ・エラール「レギュレーター ルイ・エラール × セドリックジョナー ブルー」
コロナ禍の状況にもルイ・エラールは著名な作家や芸術家とのコラボレート作品を製作。同時にギヨシェやエナメルといったスイスの伝統技法を用いたアーティスティッククラフトラインも展開すると、手の届く価格という魅力を維持したまま、旧来の王道クラシック的なブランドイメージだけを完全に払拭した。そして今、ルイ・エラールがどのような一手を次に繰り出すのかは、時計業界人の重要な関心ごとのひとつ。新たなサプライズが早くも待ちきれない。
機能追求の末に考案されたポップさを独自機能で堪能
↑ルイ・エラール「レギュレーター – ルイ・エラール × アラン・シルベスタイン カーキ」Ref.LE85358TT06BTT89 84万7000円
縦に並んだ針の意匠を色も形もアラン流に変化させた文字盤を、シックなカーキグリーンで際立たせた一本。視認性も追求した機能主義的なバウハウスの思想の独自解釈したデザインだ。アーチ形状のケースサイドのバーとリューズにはグレード5、本体部分にはグレード2のチタンを採用。
スペック:自動巻き(Cal.SW266-1)。チタンケース(シースルーバック)、ナイロンストラップ。直径40mm。10気圧防水。世界限定178本。
ハンドメイド時計作家の秀逸技巧が息づく意欲作
↑ルイ・エラール「レギュレーター ルイ・エラール × セドリックジョナー ブルー」Ref.LE85249AA01BVA150 89万1000円
図面もコンピューターも使わず、“直感的に”時計を作り出すという異能の時計師、セドリックジョナーとの共作。6角形の風防に凹面インダイアルなどの意匠が、代表作「アビス」を想起させる。シースルーバックからは、ジョナー氏の手作業による装飾が施された自動巻きローターを鑑賞できる。
スペック:自動巻き(Cal.SW266-1)。ステンレススチールケース(シースルーバック)、グレイン・カーフストラップ。直径39mm。5気圧防水。世界限定178本。
時刻判読を諦めたくなる!? レギュレーターの超訳版
↑ルイ・エラール「エクセレンス レギュレーター ルイ・エラール × オリヴィエ・モセ」Ref.LE85237NN62BVA24 82万5000円
スイス生まれの世界的アーティストであるオリヴィエ・モセは、レギュレーターの3本の黒い針のサイズを統一。作風にも共通する挑戦的な抽象表現を腕時計で作り上げた。「アート作品 – 着用しないでください」と書かれた赤いタグが付属するのも面白い。ケースもサンドブラスト ブラックPVDコーティングでブラックに統一。その姿はまさしく時を刻むオブジェのようだ。
スペック:自動巻き(Cal.SW266-1)。ステンレススチールケース(シースルーバック)、グレイン・カーフストラップ。直径42mm。5気圧防水。世界限定178本。
知る人ぞ知る時計界の重要人物が作り上げた破格すぎる一本
↑ルイ・エラール「エクセレンス リミテッドエディション レギュレーター グラン・フー エナメル」Ref.LE85248AA54BVA153 99万5500円
エナメル文字盤製造の名窯ドンツェ・カドラン製の文字盤をブランド初採用しながら、100万円以下をキープ。現CEOのマニュエル・エムシュ氏の強力な影響力によって実現した衝撃作で、800℃で複数回の焼成を行うグラン・フーエナメル技法、2色のエナメルの使い分けも見どころだ。
スペック:自動巻き(Cal.SW266-1)。ステンレススチールケース(シースルーバック)、グレイン・カーフストラップ。直径39mm。5気圧防水。世界限定99本。
ルイ・エラール取り扱い店舗⚫︎ISHIDA表参道 ⚫︎FORTUNE TIME 阪急メンズ東京 ⚫︎林時計鋪 ⚫︎TITTO COLLECTION ⚫︎トミヤ タイムアート店 ⚫︎Long Slow Distance ⚫︎HANDA Watch World 西荻本店 ⚫︎一光堂 |
問い合わせ先:大沢商会 時計部 TEL:03-3527-2682 https://josawa-watch.com/louis_erard.html
※限定品は数量限定の為、完売の際はご了承ください。価格は記事公開時点の税込価格です。
Text/水藤大輔(WATCHNAVI) Photo/新垣隆太(CASK)
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