スイスの高級時計ブランド【ルイ・エラール(Louis Erard)】がニューモデルを発表した。『鉄腕アトム』とのコラボレーションを実現させた「2340 × ASTRO BOY」が限定178本でリリース。価格は105万6000円。
カラーパッドプリントで描かれるアトム
マンガの父・手塚治虫が生み出した『鉄腕アトム』は、いまやポップカルチャーの象徴として世界中で愛されている。子どもを亡くした科学者の悲しみから生まれた小さなロボットは、人間以上に人間らしい心を宿し、正義のために戦った存在であり、希望と共存を掲げたその物語は、国境を越えて語り継がれている。今回、ルイ・エラールは手塚プロダクションと提携し、オリジナルイラストの正式な使用権を得て、コラボレーションモデル「2340 × ASTRO BOY」を完成させた。
本機最大の見どころは、文字盤に大胆にデザインされたアトムだ。カラーパッドプリントにより、アトムのポーズ、ジェット噴射、空気の流れまでが立体的に浮かび上がり、まるでコマ割りの一瞬を切り取ったような躍動感に満ちている。アトムの背後には、シリーズでお馴染みの“地上最大のロボットの一体”であるブランドが繊細なブラックラインで描かれ、その2体の間には未来都市をデザイン。まるで、ひとつの短編アニメを凝縮したような世界観を文字盤上で表現している。
文字盤はインデックスを排しており、6時から12時方向へ走る縦サテン仕上げは未来都市の建造物を想起させ、硬質な表情を作り出した。フルカラーで描かれたアトムに対し、背後に配されたロボットや都市景観は異なる加工技法で仕上げられ、質感のコントラストが緊張感やドラマ性を演出。さらに外周のチャプターリングにホワイトのミニッツトラックが施され、ロゴ部分にはスーパールミノバを塗布。ケースバックには、アトムの伝説と未来への挑戦を象徴する特別なエングレービングも施されており、時計全体を通して作品世界へのオマージュが貫かれている。また、チャプターリングに配された「LOUIS ERARD」のロゴ、ブランドの胸に描かれた「LE」のエンブレムなど、細かなディテールも注目ポイントだ。
新コレクション「2340」をベースに開発
「2340 × ASTRO BOY」は、2025年10月に発表されたばかりの新コレクション「2340」がベースとなる。ブラッシュ仕上げのチタン製ミッドケースに、耐久性を高めるためのステンレススチール製ラグ、ベゼル、リューズ、ケースバックを組み合わせたハイブリッド構造で、一体型ブレスレットを備えるルイ・エラール初のタイムピースとなる。5リンクブレスレットはテーパード形状が美しく、アウターリンクにチタン、センターリンクにステンレスを組み合わせることで、視覚的な立体感と装着時の安定性を強化。バタフライクラスプの滑らかな開閉機構は、日常使いの腕時計として大きな利点となる。本機の内部には、シリーズ初採用となる自動巻きムーブメント「SELLITA SW300-1」を搭載。56時間のパワーリザーブを備え、安定した精度と薄型設計が特徴のムーブメントだ。
『鉄腕アトム』とルイ・エラールという組み合わせには驚かされたが、本機は作品の世界観を現代の時計作りの技術で見事に表現している。世界限定178本というコレクターズアイテムとしての価値も相まって、アトムのファンやブランドの愛好者を強く惹きつける一本といえそうだ。
ルイ・エラール「2340 × ASTRO BOY」 Ref.LE35123TA23BMT12 105万6000円/自動巻き(Cal. SW300-1)、56時間パワーリザーブ。チタンケース、ステンレススチールブレスレット。直径40mm。5気圧防水。世界限定178本。
問い合わせ先:大沢商会 時計事業部 TEL.03-3527-2682 https://www.josawa-watch.com/louis_erard.html ※価格は記事公開時点の税込価格です。限定モデルは完売の可能性があります。
Text/三宅裕丈
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