古くから人々を魅了してきた「月」は、ミステリアスな存在で憧れの対象だった。だからこそ月面着陸に感動したり、月旅行のプロジェクトに夢を見る。ときにはアートのモチーフにもなって、時計の文字盤上に表現されることもしばしばある。旧東ドイツに位置するグラスヒュッテで、手作業による伝統技法を守るモリッツ・グロスマンも月に魅了されたブランドで、新作「ムーン・イン・スペース」で月を芸術的に描ききっている。
オフセンターのダイアルに繊細に月をエングレイビング
19世紀に活躍したドイツの伝説的な時計師に由来し、その哲学を受け継ぐブランドとして2008年に誕生したモリッツ・グロスマンは、伝統と最新の技術を駆使した高級タイムピースを製造している。ほとんどの作業をハンドメイドで行うため、ごく限られた本数しか生産できないが、その美しさや精巧な作りで世界中のコレクターから支持されている。
今回発表した「ムーン・イン・スペース」は、月の魅力を時計に封じ込めることをテーマとした作品で、月に対するオマージュが込められている。オフセンターのダイアル以外は大胆にもスケルトナイズされ、まるで月が宇宙空間を彷徨っているかのような演出を施した。洋銀製の壮大な“月”のうえには、ホワイトエナメルの時分表示ダイアルと、ブラックエナメルのスモールセコンドをレイアウト。彫金で再現された月面のシルバーとのコントラストは美しく、ブラウンバイオレットに焼き戻したスチール針がアクセントとして花を添えている。
ケースは直径44.5mmとやや大型なのに対し、搭載する「キャリバー102.0」はわずか26mmで、固定リングとブラックゴールド加工された支柱パーツ4本によって支えられている。これを内包するブラックDLC加工でマットな質感に仕上げたケースは、宇宙を支配する闇を表現。当然ながらシースルーバックケースのため、ムーブメントの緻密な作り込みや芸術的な仕上げを楽しむことができる。
浮き彫りによるリアルで立体的な“月”しかり、ダイアル、針、ムーブメントまで、すべてのディテールを高度な技術を持つ職人がハンドメイドで作り出したという贅沢な逸品。ブランドの創立者、クリスティーネ・フッターとそのチームが、“もっとも美しいドイツの職人技”を自負する至高のアートピースが誕生した。
問:モリッツ・グロスマン・ジャパン Tel.03-5615-8185
https://ja.grossmann-uhren.com/
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