高級時計ブームを受けて伊勢丹新宿店がコーナーをリフレッシュオープン。面積を拡大した「ブランパン」から読み解く“顧客を飽きさせない”新戦略とは?〈後編〉

<取材協力>
ブランパン

時計コーナーを大きく改修し、さらに利用しやすくなった「伊勢丹新宿店」の取材レポート後編は、同店がブランパンを「ファインウォッチメーカー」に選んだ理由を解説。リフレッシュオープンで新たに導入されたサービスなどについても紹介する。


↑トラディショナルで不変的価値を持つ「ヴィルレ」やタイムレスに女性を魅了する「レディバード」など、ブランパンはドレスウオッチも数々の魅力的なタイムピースを展開。「ブランパン ブティック 伊勢丹新宿店」には、同ブランドのコレクションがフルラインナップされている。

 

 

ラグジュアリーウオッチの目利きが語る「ブランパン」の魅力と位置付け

伊勢丹新宿店のバイヤーに、ブランパンを主要ブランドとして選んだ理由を尋ねたところ次のような答えが返ってきた。

「時計コーナーのリフレッシュオープンに伴い、取り扱う舶来ブランドをファインウォッチメーカーとクリエイティブウォッチメーカーに概略的にカテゴリー分けしました。ファインウォッチメーカーとは、ハイエンドのコンプリケーションウオッチを製造できる高度な技術や極上のクラフトマンシップを保有するブランドを指し、お客様へのサービスにおいてはエクスクルーシブ性やプライベート性に重点を置いています。ブランパンのほか、パテック フィリップ、ブレゲ、ヴァシュロン・コンスタンタン、A.ランゲ&ゾーネ、ジャガー・ルクルトらがこちらに属します」


↑軍用時計として認められ、ラグジュアリー ダイバーズ ウオッチの時代を切り拓いた「フィフティ ファゾムス」。そこから派生したモダン ダイバーズ ウオッチ「フィフティ ファゾムス バチスカーフ」も豊富に揃えられている。

 

「一方のクリエイティブウォッチメーカーは、トレンドや人気デザインを創出しており、エンターテインメント性を求められるお客様の期待に応えることを得意としています。ファッションやカルチャーに敏感で、ご自身のライフスタイルを確立していらっしゃる時計愛好家の方に好まれるウブロやゼニス、ブライトリング、チューダー、タグ・ホイヤー、ロンジンなどがこちらに該当します」

伊勢丹新宿店が取り扱う時計ブランドの中でも、揺るぎない歴史があり、古来の伝統的な機械式時計作りを邁進するブランパンは、生粋の「ファインウォッチメーカー」。伊勢丹新宿店が重点ブランドとしてセレクトした理由も頷ける。


ブランパン「ヴィルレ トラディショナル チャイニーズ カレンダー」 Ref.00888-3632C-55B 1157万2000円/創業地の名を冠する旗艦コレクションの最新作。段差をつけたステップベゼルやリーフ針といったエレガントなスタイルに、グレゴリオ暦と中国暦、ムーンフェイズを組み合わせ、各種表示を特許取得のアンダーラグコレクターで調整できる利便性も魅力。干支がデザインテーマで、深みのあるグリーン文字盤は最高品質のグラン・フー エナメルだ。
スペック:自動巻き(自社製Cal.3638)、毎時2万8800振動、168時間パワーリザーブ。18Kレッドゴールドケース(シースルーバック)、アリゲーターストラップ。直径45.2mm、厚さ15.1mm。3気圧防水。世界限定50本。

 

趣向が凝らされた戦略的なブランド配置や新サービスが時計好きを惹きつける

リフレッシュオープンがもたらしたメリットはまだまだある。前記の「ファインウォッチメーカー」&「クリエイティブウォッチメーカー」で売場のエリアが分けられているが、これらに加えて「ジャパンゾーン」を展開。ここに日本を代表する「セイコー」や「G-SHOCK」をコンセプトショップとしてアイランド型の独立コーナーに集め、人気が高まる国産時計を回遊のメイン導線に置く新しい試みが始まった。なおこれらのブランドからは、日本らしい上質なモノ作りが実感できるハイクラスのコレクションがセレクトされる。


↑百貨店にある一般的な時計売場では、国産ブランドはどちらかといえばメインから外れた位置に並べられる傾向が強い。しかしリフレッシュオープン後の伊勢丹新宿店の時計コーナーでは、入口付近のポジションに位置し、誰もが気軽に立ち寄りたくなる雰囲気を生み出した。また同店で最も手に取りやすいG-SHOCKは、毎月中旬にリリースされるニューモデルがいち早く並べられる。

 

こうした職人気質が生み出す珠玉のタイムピースが一堂に会する店舗は、ブティック化の波が顕著な都市部において貴重な存在である。とりわけ、熟練の職人が手作業で仕上げるため年間生産本数が限られる「ファインウォッチメーカー」たるハイブランドが、これほど集められている売場も少ない。奥深い機械式時計への理解を深め、そして広めることにも貢献してくれるに違いない。


ブランパン「フィフティ ファゾムス バチスカーフ コンプリートカレンダー」 Ref.5054-3640-O52B 501万6000円/素材やサイズ、搭載機能で種類豊富なバチスカーフに、月・日付・曜日の表示とアイコニックな顔付きムーンフェイズを融合。ブランパンの哲学と高度な技術に基づき、繊細な18Kレッドゴールドケースながらダイバーズ スペックである30気圧防水を確保している。ブランドカラーの深いブルーを用いたサンバースト仕上げの文字盤をセット。
スペック:自動巻き(自社製Cal.6654.P.)、毎時2万8800振動、72時間パワーリザーブ。18Kレッドゴールドケース(シースルーバック)、セイルキャンバスストラップ。直径43mm、厚さ13.3mm。30気圧防水。

 

また顧客サービスに対する飽くなき追求から、時間がかからない修理や精度チェック、電池やストラップの交換が行えるメンテナンスコーナーの位置を変更し、訪問客がガラス越しに時計修理技能士の作業風景を見物できるようになった点も特徴のひとつだ。これを機にメンテナンスの相談を持ちかけてみるのも良いだろう。さらに三越伊勢丹グループが用意しているクレジットカード「エムアイカード」に紐付く会員向けの新保険サービスもスタートした。時計代金(税抜)の5%を保証サービス料としてエムアイカード決済またはエムアイポイント払いすることで、最大10万円(税込)までの修理代金カバーやオーバーホール代金20%オフなど、アフターサービスにおけるあらゆる優待や特典が受けられる。一部ブランドはサービス対象外だが、購入時計を末長く愛用したい者にとって大きなメリットである。


↑これまで以上にリペアやメンテナンスに関する相談を持ちかけやすくなった伊勢丹新宿店の修理コーナーには、安心して任せられる担当スタッフが常駐している。時計の状態が気になった際、気軽に購入店へ問い合わせられることも時計を長持ちさせるコツ。

 

前編・後編にわたり「ファインウォッチメーカー」として選ばれたブランパンを代表例に、リフレッシュオープンしたばかりの伊勢丹新宿店 時計コーナーについて解説してきた。ここ数年続く高級時計ブームに応えるべく、ユニークな手法とアイデアで新たな百貨店の時計売場像を構築し、アフターサービス面でも長期的に顧客と繋がるためのシステムのアップデートに成功した。日本国内における高級時計の流行発信地といえば、名立たるブランドのブティックが軒を連ねる東京・銀座もしくは大阪・心斎橋がイメージされるが、百貨店一店舗ながら売場編集力やサービスで引けを取らない魅力が伊勢丹新宿店にはある。時計マーケットに新風を巻き起こす存在として、今後の動向にも注目だ。

 

【ブランパン ブティック 伊勢丹新宿店】
TEL:03-3352-1111(大代表)
住所:東京都新宿区新宿 3-14-1
営業時間:10:00~20:00
定休日:不定休 ※施設に準ずる

 

https://www.blancpain.com/ja ※価格は記事公開時点の税込価格です。限定モデルは完売の可能性があります。

Text/山口祐也(WATCHNAVI編集部) Photo/岸田克法

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