素材の進化がデザインも変えた!G-SHOCKの革新
牛山さん:この時計は、G-SHOCKで初めてボタンガードをなくしたんです。改めて見ていただくと、とてもシンプルだと思いませんか?
確かに、言われてみれば、とても“腕時計”的に見えますね。王道のスポーツ・クロノグラフのような。
牛山さん:これもカーボンケースによって生まれた進化です。カーボンというケースの強度があるので従来のボタンガードなしでボタンを設置することができました。ちなみに、このパイプやボタンはチタン製。ガラスを支えているパーツもチタンです。この時計は、外気に触れるすべての金属をカーボンとチタンで構成しています。ステンレススチールを使うと重くなったり、錆びてしまったりしてしまいますからね。
櫃本さん:ベゼルに使っているネジまでチタンですね。実は、このネジの頭にまたこだわりがあって……。
橋本さん:このネジの頭は、私のこだわりです(笑)。気密部分への容易なアクセスを防ぐために特殊な形状にしたんです。こうすると、それ専用の工具から必要になってしまうんですが、それをわかったうえででも、フルカーボンの「グラビティマスター」は特別なものにしたかったので、それを細部でも表現しました。ちなみに、このネジはサファイアガラスを支えるチタンパーツとカーボンベゼルを繋いでいます。このチタンパーツは同時に、モノコックケースとも結合しています。この2段階結合方式により、万が一ベゼルが外れても20気圧防水を保つことができるのです。これ自体は新しい構造ではないのですが、カーボンで実現したことには大きな意味があると思います。
牛山さん:工具から開発したという点では、モジュールも専用工具が必要になりました。モジュールをケースに収めるには、巻き真を外す必要があるのですが、モノコックケースだと文字盤側からしかモジュールにアクセスできない。そうなると従来設計では無理なんです。だから巻き真を取り外すためのレバーの配置を変更し、そのレバーを文字盤側からでも操作できる専用工具を作りました。もちろん3月には発売する商品なので、ネジを止めるドライバーも、巻き真を外す工具も、すでにサービス拠点に配布しています。